潰れる会社には、必ず前兆があります。たとえば、給与の遅れや経営陣の急な入れ替わり、社内の空気の変化などです。
経営者として、潰れる会社に現れる前兆を見逃さないことが重要です。会社が潰れそうになっても、経営者の責務として適切に対応すれば、社員の生活やその後のキャリアを守ることにつながるでしょう。
本記事では、専門家である弁護士の視点から潰れる会社の前兆を見極める具体的なポイントを解説します。
さらに、会社が潰れる前兆が見られたときの適切な対応や、債務整理や法人破産を含む法的な最終手段にも言及しています。
経営者として、会社が潰れる前兆が見られた際でも、適切に対応するためのノウハウを紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
潰れる会社に現れる9つの前兆

潰れる会社に見られる前兆として、以下のようなことが挙げられます。
- 社内の雰囲気が悪い
- 社員同士のコミュニケーションが少ない
- 極端な経費削減を実行している
- 主力事業の売上が悪化している
- 給与の未払いや遅れが発生している
- 経営陣の退職が相次いでいる
- 業務量が極端に減っている
- 希望退職者を募り始めている
- 見知らぬ人が会社を出入りしている
上記のような客観的な判断基準を持っておくことで、冷静に会社について考えることが可能になるでしょう。
このようなサインは、ひとつ当てはまるだけでも会社の価値は下がりますが、複数当てはまる場合は、潰れる可能性が高まり深刻な状況であると捉える必要があります。
社内の雰囲気が悪い
挨拶もなくため息や愚痴ばかりといった職場の空気が重い状態は、潰れる会社に見られるわかりやすい前兆です。
経営悪化により社員が将来性や待遇に不安を抱き、モチベーションが急落すれば、業務上でさまざまな悪影響を及ぼします。
雰囲気が悪い状態が続くと、人材の流出による人手不足でさらなる業績の悪化につながり、最悪の場合、倒産や廃業といったリスクもあるでしょう。
経営者として、社内の悪い雰囲気に気づいた場合は、各部署のリーダーと連携をとりながら、改善策を検討することが大切です。
経営の現状も客観的に判断しつつ、早期対策をおこなうことで、会社が潰れるという最悪の結末を回避しましょう。
社員同士のコミュニケーションが少ない
社員同士のコミュニケーションが減り、情報共有が滞っている場合は、会社の経営悪化を示す危険信号です。
経営が悪化すると、経営陣は動揺や人材流出を防ぐため、売上目標や経営数字などの重要情報を意図的に統制することがあります。
その結果、組織の中枢神経が麻痺し、現場の声が経営に届かず、問題解決力が低下します。具体的には、以下のような事例です。
- 以前は共有されていた経営数字が開示されなくなる
- 理由もなくトップダウンで決定が下される
- 各部署のリーダーが質問に対して曖昧な返答しかできない
情報の透明性が失われた企業では、社員が正しい状況を把握できず、重大な判断ミスが起きやすくなります。
経営者は社員が会社の状況を把握できるよう情報の透明性に努め、社内全体で課題解決に取り組める環境を作ることが大切です。
極端な経費削減を実行している
極端な経費削減が見られるようになった場合は、会社の経営が傾いている証拠といえます。
たとえば、コピー用紙や文房具の補充が遅れる、恒例行事の社員旅行が突然中止になるといった極端な経費削減は、会社の資金繰り悪化を示すわかりやすい兆候です。
人件費や取引先への支払いといった、事業継続に不可欠なコストは最後まで守らなければいけませんが、それ以外の経費に関しては削ろうと思えばすぐに実行可能です。
極端な経費削減は職場環境を悪化させ、職員の働く意欲の低下につながり、人材流出による業績の悪化が懸念されるでしょう。
経営者は極端な経費削減が必要になった時点で、自社の資金繰りを見なおし、緊急資金の確保や抜本的な改善策の検討をはじめることが重要です。
主力事業の売上が悪化している
主力事業の売上の継続的な落ち込みは、企業存続を揺るがす深刻な危機です。会社は事業を通じて利益を生み、現金を得て成り立っています。
主力事業が不振に陥る状況は、会社に入る資金が減り続けている証拠です。
市場変化や競合の台頭、顧客ニーズの変化などさまざまな原因がありますが、経営陣が対応できず旧来のビジネスモデルに固執すれば、財務悪化は避けられません。
新規事業が順調に育っていかなければ、倒産リスクは急速に高まります。たとえば、大口取引先の喪失や業界シェアの低下は、潰れる会社に見られるわかりやすい前兆です。
経営陣が具体的で納得できる再建計画や新事業のビジョンを示せない場合、会社の将来性は信頼できません。早期に状況を見極め、必要であれば自社戦略の抜本的な見なおしをおこなうべきです。
給与の未払いや遅れが発生している
給与の未払いや遅れが生じている場合は、会社が潰れる前兆ではなく、すでに倒産が近づいているかもしれません。
給与の支払いは企業の最優先義務であり、未払いや遅れが生じる場合は、取引先や銀行への返済も遅れている可能性が高く、資金が底をついている可能性があります。
一度未払いや遅れが生じると、会社にとってはマイナスな状況が続き、長引くほどさらに資金調達は困難になります。
経営者として給与の未払いや遅れが発生する状況に直面したら、まず即時に資金繰り表を精査し、支払い優先順位を見なおすことが重要です。
金融機関や取引先へ早期に相談し、追加融資や返済猶予を交渉します。同時に不要な固定費を削減し、売掛金の早期回収や在庫現金化などで短期的なキャッシュ確保を図り、事業継続の道筋を見出しましょう。
経営陣の退職が相次いでいる
経営の中枢にいる役員や経理、財務担当者が相次いで退職する状況は、潰れる会社に見られる前兆といえます。
経営陣は詳細な財務状況や銀行との融資交渉、取引先との資金トラブルなどを把握しているため、経営陣の退職が相次いでいる場合は、再建は困難と判断した可能性があります。
さらに、長年会社を支えてきたベテラン社員や優秀な人材が次々と離れる場合も、成長の見込みがないと見切られている証拠です。
主力社員の流出は、ノウハウの喪失や業務負担の増加、士気低下などを招き、経営の悪化に拍車をかけます。
経営者としては、まず一人ひとりに丁寧に会社の状況を説明したうえで、早急に資金繰りの見なおしと人材流出防止策を講じることが大切です。
また最悪のケースも想定し、法人破産や事業再生の可能性を専門家へ相談しておきましょう。
業務量が極端に減っている
業務量が極端に減り、社員が手持ち無沙汰な状況が増えている場合は、会社の売上が減少している可能性があります。
売上は下がっているにもかかわらず、人件費は以前と同じように使っている状況のため、資金繰りが難しくなり会社が潰れるリスクが高まっているといえます。
たとえば、工場の稼働率低下や営業の訪問先激減などがあり、業務量の低下による固定費削減のためのリストラは避けられないでしょう。
経営者としては業務量が減り売上が確保できないのであれば、自主退職を促し人員整理することで、固定費を削減しつつ、早期の事業再生に備えることが大切です。
従業員を守ることはもちろん、経営者自身と会社の未来を守るためにも、迅速な行動が求められます。
希望退職者を募り始めている
希望退職者を募る必要性が出てきた時点で、経営危機に陥っており、本格的な人員整理が必要になった証拠です。
会社として、現場の社員全員に賃金を支払うことが難しくなったサインでもあり、早急に固定費の削減が必要になっている状況です。
経営者としては苦渋の決断ですが、会社の現状を丁寧に説明し、希望退職という形で社員に協力を求めることが必要になってくるでしょう。
希望退職という形であっても、会社都合で退職を促しているため、退職時期や退職金などについて相談し、社員がスムーズに退職しやすいような状況を整えることが大切です。
経営者は、希望退職者を募りつつ、専門家に相談しながら、民事再生や私的整理や会社の再建に動き出しましょう。
見知らぬ人が会社を出入りしている
普段見かけない銀行員やコンサルタント風の人物が頻繁に訪れ、経営陣と会議を重ねている状況は、潰れる会社の前兆といえるでしょう。
たとえば、出入りしている人物がメインバンクの融資担当者や、法人破産の手続きをサポートする弁護士などの可能性もあります。
とくに、上記のような人たちが頻繁に出入りしている場合は、すでに債務整理や廃業などに動き出している可能性もあるため、社員にとってはリスクの高い状況といえます。
経営者としては、急な倒産で社員に迷惑をかけることは避けたいところです。そのため、こまめに専門家と相談をしながら、資金繰りを見なおしつつ、リスクを最小限に抑えた対策が求められるでしょう。
潰れる会社で見られる経営者の特徴

続いて、潰れる会社の経営者に見られる、以下のような前兆についても解説します。
社員は上記の情報を参考に、自社の今後を予測できますし、経営者は自分自身を見なおすきっかけになるでしょう。
社員を大切にしていない
社員を一人ひとりの人間として大切にする姿勢がなく、気分次第で方針を覆す社長のもとでは、組織の活力が失われるのは避けられません。
このような経営者の特徴は潰れる会社に共通しており、従業員を軽視する企業ではモチベーションが著しく低下します。
社員を大切にしない経営者がいると、優秀な人材は将来性に見切りをつけ離職し、ノウハウが蓄積されず人手不足が常態化するでしょう。
残された社員の負担増がさらなる業績悪化を招く悪循環に陥ります。とくに研修をはじめとした人材投資を無駄と断じる経営者のもとでは、社員の成長やスキル向上は期待できません。
会社の業績を安定させ、潰れるリスクを下げたいのであれば、経営者はまず社員を大切にしたうえで、働きやすい環境を実現させましょう。
業務内容を把握していない
「売上を2倍にしろ」といった根拠のない精神論を振りかざし、現場の実態を把握していないような無謀な指示を出す経営者は、会社の倒産リスクを上げる要因といえます。
経営者は、ビジネスの最前線で何が起きているかを把握し、顧客のニーズや社員の課題を解決できなければ、適切な経営判断は不可能です。
現場とかけ離れた戦略は失敗を招き、社員を疲弊させ、貴重な人材や利益を無駄にするおそれがあります。
主力製品の強みや、主要取引先との関係すら答えられないリーダーを信頼するのは難しく、社員の意欲低下は避けられません。
会社の業績を安定させるためには、まず経営者自身が業務内容を把握し、各部署のリーダーとこまめに情報共有しつつ、現場の業務改善に努めましょう。
お金の管理を経理に任せっぱなしにしている
お金の管理を経理担当者に任せっぱなしにしている経営者がいる場合は、会社が潰れるリスクが高まっているといっても過言ではありません。
たとえば、損益計算書上で利益が出ていても、手元に現金がなければ給与や取引先への支払いが滞り、会社は倒産します。
経営者は、会社のお金の流れを把握したうえで、適切な指示を出すことが大切です。
基本的な財務管理は経理担当者がおこなっても問題ありませんが、銀行との融資交渉や資金繰りの局面では、経営者が的確に判断することが欠かせません。
経営者は経理担当者と情報共有しながら、お金の流れを把握し、適切なキャッシュフローを構築することが重要になってくるでしょう。
社会の変化に対応していない
過去の成功体験に固執し、新しい技術や市場の変化に対応できない経営者は、会社を時代遅れにし、緩やかな衰退を招きます。
ビジネス環境や顧客ニーズは常に変わるため、競合他社が新ツールやサービスを導入している中、過去の手法に固執し続ければ、市場から取り残されるのは必然です。
変化を拒むことは未来への投資放棄であり、企業成長を止める可能性があります。企業が成長しなければ、意欲の高い社員は離れていき、人材流出による業績悪化にもつながるでしょう。
会社が潰れるリスクを回避し、業績の回復や維持を実現するためには、経営者自身が社会の変化を把握し、さまざまなニーズに対応することが重要です。
会議への出席率が激減している
経営者があるときから急に会議に姿を見せなくなった場合は、経営危機に陥っている可能性があります。
会議不参加の理由としては、以下のようなことが挙げられます。
- 業績悪化を社員に追及されることを避けるため
- 追加融資交渉や会社売却などの交渉のため
- 法的整理に向けた弁護士との密会のため
経営者が会議を欠席し続け、説明責任を果たさないと、意思決定の遅延や社員の不安増大を招き、組織全体の機能低下を招くでしょう。
会社の業績が著しく悪化し倒産のリスクが高まっている場合は、経営者として早めに説明責任を果たし、今後の対応を明確に示すことが重要です。
会社に潰れる前兆が見られるときにまずやるべき行動

ここでは、自社に潰れる会社の前兆が見られた際に、経営者や役員がやるべきことを5つ紹介します。
異変に気づいた時点で早めに行動することで、会社や従業員を守ることにつながります。
1. 現状を定量的に把握する
会社の危機を前にして、経営者として最初にすべきことは、感覚や希望的観測を一切排除し、数字で会社の健康状態を正確に把握することです。
客観的なデータに基づかない判断は、失敗のリスクが高まります。損益計算書上の利益や赤字だけでなく、貸借対照表で資産と負債のバランスを確認し、会社の本当の現在値を知る必要があります。
とくに、会社の現金の流れを示すキャッシュフロー計算書は、日々の現金の出入りを管理し、あと何ヶ月分の運転資金が残っているのかを正確に把握するための重要な書類です。
厳しい現実を直視するのは辛い作業ですが、定量的な状況把握なくして、有効な次の一手は打てません。
2. 専門家に相談する
危機的な状況を自社だけ、あるいは自分ひとりで乗り切ろうとせず、外部の専門家に相談することが重要です。経営危機の局面では、財務や法務、事業再生といった専門知識が不可欠です。
外部の専門家に相談することで、社内にはない客観的な視点や、過去の多くの事例から得たノウハウが、自社が気づかなかった解決策や選択肢を示してくれるかもしれません。
たとえば、顧問税理士や公認会計士に詳細な財務診断を依頼する、地元の商工会議所や中小企業再生支援協議会といった公的機関に支援制度について問い合わせる、といった対策が考えられます。
状況が深刻な場合は、事業再生に強い弁護士に相談し、民事再生や破産といった法的な選択肢についても検討する必要があります。
早期に相談するほど、選択肢は多くなるため、経営危機の前兆が少しでも見られた時点で専門家に相談しましょう。
3. 再建の可能性を冷静に分析する
客観的なデータと専門家への相談が済んだら、次に「この事業は本当に再生可能なのか」を冷静に分析し判断しましょう。
限られた経営資源を、再生の見込みがない事業に投下し続けることは、傷口を広げ、損失を拡大させるだけです。
状況に応じて、不採算事業から撤退したり、会社全体を縮小したりといった損切りの決断も、会社全体を救うためには必要になってきます。
分析のポイントは、現在の危機が一時的な資金不足によるものなのか、それともビジネスモデル自体が市場の変化に対応できず崩壊しているのかを見極めることにあります。
主力製品やサービスに、まだ競争優位性や将来性が残っているか判断することが重要で、事業を継続すること自体が目的になってはいけません。
経営者は、再建して企業価値を高めるか、被害を最小限に抑えて事業をたたむかの経営判断が求められます。
4. 資金繰りや支払い計画を立てなおす
再建の道を選択した場合、最優先で取り組むべきは、日々の支払いを乗り切るための資金繰り計画の再構築です。会社は赤字になった段階では潰れませんが、現金が尽きた瞬間に倒産するリスクが高まります。
事業再生計画が立派でも、それを実行するための時間と資金がなければ、ただの机上の空論に終わってしまいます。キャッシュフローの維持こそが、再生に向けた命綱です。
具体的な行動としては、以下のとおりです。
- 金融機関と交渉し返済スケジュール変更を要請する
- 売掛金の回収を早期化する
- 買掛金の支払いを交渉して延長してもらう
- 役員報酬の削減や遊休資産の売却なども検討する
経営者はさまざまな手段でキャッシュを確保し、緻密な資金繰り表を作成して1円単位で現金の出入りを管理する徹底した姿勢が求められます。
5. 社内で情報共有しチーム全体に協力を募る
再建計画に一定の目処が立ったら、会社の危機的状況と再建への決意を、誠意を持って社員に伝え、全社的な協力を要請することが重要です。
不確かな噂や秘密主義は、社員の不安と不信感を煽り、優秀な人材の離職を招いて組織を内部から崩壊させます。
すべての情報を開示する必要はありませんが、経営者が自らの覚悟を示し、正直に現状の困難さと今後のプランを共有することで、社員も自分事として危機に向き合ってくれる可能性があります。
現場でしか生まれないコスト削減のアイデアが出たり、苦しい状況だからこそ組織の一体感が高まったりすることもあるでしょう。
経営危機を乗り越えるためにも、社員一人ひとりの協力が必要不可欠です。経営者が自らが、会社の危機的状況を説明するのは、再建を目指すうえで重要なコミュニケーションです。
会社に潰れる前兆が見られ状況改善が難しいときの最終手段

会社に潰れる前兆が見られ、対策を講じたにもかかわらず状況が改善しない場合は、以下のような最終手段を検討することも重要です。
経営者は感情的な判断を避け、会社や従業員、自分自身を守るためにも、法に則った冷静な選択が求められます。
事業再開を目指す場合は民事再生や休眠を検討する
事業に再生の余地があり、再起を目指す場合は、民事再生や会社の休眠が効果的です。
民事再生は裁判所の監督下で経営者が事業を継続しつつ、借入金返済を大幅に圧縮して再建を目指す方法です。主力事業が黒字でも過去の負債で資金繰りが困難な場合に用いられます。
一方で会社の休眠は、一時的に事業活動を停止しつつ法人格は維持する手続きで、経営者の健康問題や市場の一時的混乱時に将来の再開を見据えて選ばれる手段です。
どちらも事業延命や再生の手段ですが、再建計画の実現可能性が厳しく問われ、民事再生は複雑な法的手続きが伴います。決断前には、必ず事業再生に強い弁護士に相談しましょう。
会社の休眠については、以下の記事で詳しく解説しています。
会社の休眠とは?廃業やみなし解散との違い、メリット・デメリットを解説
借金の返済を最優先に考える場合は債務整理を検討する
債権者が限定的で交渉の余地がある場合は、裁判所を介さない任意整理が効果的です。
任意整理は、弁護士が代理人となり、取引先や金融機関と直接、借金の減額や返済期間の延長などを交渉する方法を指します。
破産のような法的手続きに比べ、事業への影響や信用低下を抑えやすく、手続きも迅速かつ低コストで済む場合が多いのが魅力です。
ただし、債権者全員の同意が必須で、1社でも反対すれば成立せず、法的手続きに移行するリスクがあります。
任意整理を成功させるためには、すべての債権者が納得する公平かつ実現可能な返済計画が必要で、専門的な交渉力を要するため、弁護士に相談することが大切です。
以下の記事では、任意整理以外にも、さまざまな債務整理を紹介しているので参考にしてください。
会社の債務整理の基礎を解説!借金解決に向けた手続きの種類やメリット・デメリット
再建が難しい場合は法人破産や廃業を決断する
会社の資産をすべて換金しても負債を返済できない債務超過状態で、再建の見込みがない場合は、法人破産または廃業を決断することになります。
事業継続が不可能なまま放置すれば負債が増え、従業員や取引先に被害が広がります。
法人破産は裁判所に申し立て、破産管財人が資産を公平に分配し会社を清算する手続きです。廃業は、負債返済可能な資産がありつつも事業継続を断念する自主的な解散です。
破産はネガティブな印象がありますが、経営者を債務責任から解放し再スタートを促す国の救済制度でもあります。
法人破産や廃業については、以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産とはどういう手続き?費用相場やメリット・デメリット、スケジュールを解説
廃業手続きの流れと必要書類│法人、個人事業主の違いや適切な相談先について | 千代田中央法律事務所
会社に潰れる前兆が見られる際に専門家に相談するべき理由

会社に潰れる前兆が見られる際に、まず専門家に相談するべき理由は、以下の3つです。
会社の危機的状況において、自社の人間だけで対処するのは危険です。最善の選択をするためにも、専門家に相談することが経営者としての責務といえます。
1. 会社が潰れそうな状況で経営者が冷静に判断するのは難しい
経営者は長年の情熱や資産を投じた会社に対し、ここまで続けたのでやめられないという気持ちや、今まで何とかなったといった固定観念に囚われ、冷静な判断が難しくなります。
そのため、経営危機に陥っているにもかかわらず、状況を軽視して対策を後回しにする可能性があります。
会社に潰れる前兆が見られた際は、経営者や社内メンバーだけで判断せず、第三者である外部の専門家に相談しながら、最適な手段を検討しましょう。
2. 冷静に現状を分析し最適な選択肢を提案してもらえる
事業再生や法的手続きに関する専門知識と経験を持つ専門家は、経営者や社内メンバーだけでは見つけられない最善の選択肢を提示してくれます。たしかに経営者は事業のプロですが、事業再生や倒産法務のプロではありません。
専門家は、数多くの危機的状況を経験しており、財務データを正確に分析し、その会社の状況に応じたあらゆる選択肢のメリットやデメリットを熟知しています。
具体的には、以下のような手段があります。
- 税理士が財務状況を分析し具体的なコストカットの改善策を立案する
- 弁護士が法的なリスクを洗い出し会社を守るための最適な手続きを提案する
- 中小企業再生支援協議会が公平な立場で再建計画の策定を支援する
専門家への相談は、会社の未来を示す選択肢の地図を手に入れるようなものです。その地図を基に、どの道を進むべきか、情報にもとづいて判断できるようになるでしょう。
3. 早期に準備することで個人資産や従業員への影響を最小限にできる
専門家への相談は早ければ早いほど、経営者個人の資産を守り、従業員に対して誠実な責任を果たす準備ができます。
多くの中小企業経営者は会社の借入金に個人保証をしており、対応が遅れると会社だけでなく個人破産のリスクも高まります。
さらに、従業員の解雇や未払賃金問題は法的トラブルに発展しやすいため、専門家が法的手続きを適切に進めることが重要です。
経営者は潰れる会社の前兆が見られた際は、早めに専門家に相談し、会社資産の流出防止や公平な分配につなげましょう。
会社破産の手続きによる個人資産へのリスクは、以下の記事で詳しく解説しています。
会社破産の手続きによるリスクと個人資産を守るための対策を解説
まとめ

会社の将来にわずかでも不安を覚え、「もしかしたら潰れる前兆なのかも」と感じた場合は、決して見過ごさず適切に対処することが重要です。
社内の雰囲気の悪化や極端な経費削減、主力事業の売上低下や給与の遅延・未払いなどは、資金繰りが限界に近く、潰れる会社に見られる前兆といえます。
このような前兆は決して放置せず、事実を客観的に捉え、経営者として会社や従業員を守ることが大切です。
本記事の内容を参考に、潰れる会社に見られる前兆を察知し、早めに対処することでリスクを最小限に抑えましょう。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

