民事再生・個人再生

個人再生が失敗する原因と対策│成功させるポイントまとめ | 千代田中央法律事務所

電卓とはてなマークの積み木 民事再生・個人再生

個人再生は、マイホームなどの大切な資産を守りながら、借金の返済に苦しむ状況を打開できる有効な選択肢です。

住宅ローンを維持しつつ他の債務を大幅に減額できる点が最大の強みですが、手続きにあたっては裁判所が定めるルールを遵守しなければなりません。

本来、個人再生の認可率は90%を超える高い水準にありますが、書類の不備や期限遅れといったわずかなミスから、手続きが認められないケースもあります。

この記事では、個人再生で失敗を招く原因やその兆候、万が一の際のリカバリー策を詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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個人再生の失敗率はどのくらい?

はてなマークと虫眼鏡

個人再生の手続きが無事に認められる確率は、統計上では90%を超えており、大半の申し立て人が借金の減額に成功しています。

しかし、残りの数パーセントに該当してしまうと、生活を立て直す計画が途中で崩れてしまう可能性が高いでしょう。

なぜなら、単に手続きが止まるだけでなく、守りたかった自宅を失ったり、減るはずだった借金が一括請求されたりするといった事態になるためです。

手続きが途中で止まってしまう廃止のなかでも、とくに多いのが再生計画案の提出期限を過ぎてしまうことです。

また、特定の債権者へ優先して返済する偏頗弁済や財産隠し、弁護士や裁判所からの連絡を無視するといった対応は、再生する意欲が乏しいと判断される要因になります。

参照元:最高裁判所司法統計年報(民事・行政編)(52P~)

個人再生の基礎的な情報については、以下の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。

個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

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個人再生が失敗する5つのケース

携帯をみて頭を抱える女性

個人再生の手続きが頓挫してしまう具体的な要因を、5つのケースにわけて解説します。

  1. 必要書類に不備がある場合
  2. 債権者に反対された場合
  3. 継続的な収入がない場合
  4. 財産の隠蔽や偏頗弁済を行っていた場合
  5. 履行テスト中に返済が滞った場合

各ケースの注意点を理解し、手続きを完走するための対策を講じていきましょう。

個人再生の注意点については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

個人再生でやってはいけないことを解説|失敗時のリスクや適切に進めるポイントも紹介 | 千代田中央法律事務所

1. 必要書類に不備がある場合

個人再生を成功させるためには、裁判所が指定するスケジュールを遵守しなければなりません。とくに再生計画案の提出は、1日でも遅れると手続きは自動的に廃止されて終了します。

また、裁判所に納める必要がある、官報広告費や個人再生委員への報酬などに充てられる予納金が支払えない場合も、申し立てが受理されず棄却を招きます。

2. 債権者に反対された場合

小規模個人再生という手続きを利用する場合、債権者による決議が行われます。

以下の条件のいずれかに該当すると、手続きは法律の規定により廃止となります。

  • 債権者数の半分以上が不同意(反対)を表明した
  • 負債総額の過半数を持つ債権者が不同意を表明した

大口の債権者が計画に納得できないと判断すれば、個人の努力だけでは防げない失敗が起こり得ます。

反対されるリスクが高い場合は、債権者の同意が不要な給与所得者等再生への切り替えを検討するなどが有効です。

3. 継続的な収入がない場合

裁判所は、申し立て人が3~5年の間、決まった金額を最後まで支払い続けられるかを細かく確認します。これを履行可能性と呼び、将来の返済見込みを判断する指標です。

手続きが難航する要因としては、支出が収入を上回る自転車操業のような状態が続いていたり、申し立て直後に失業して収入の目途が立たなくなったりするケースがあげられます。

単に「払えます」と主張するだけでは不十分であり、家計簿のような収支の記録を提出し、客観的な返済能力を証明することが大切です。

パートやアルバイトであっても継続性があれば認められる可能性があります。一方で、生活保護受給者は継続的な収入要件を満たさないため、原則として個人再生を利用することは難しく、通常は自己破産が選択肢となります。

4. 財産の隠蔽や偏頗弁済を行っていた場合

裁判所の調査に対して嘘をついたり、一部の債権者だけを優遇したりする行為は、不認可や廃止を招く大きな要因となります。

親族や知人などへの優先返済である偏頗弁済は、すべての債権者を平等に扱う原則に反するため、不当な行為とみなされます。その返済額は清算価値に計上され、結果として毎月の返済額が増えることにつながります。

また、資産を隠したり保険の解約返戻金を報告しなかったりといった財産の隠匿は、不認可の原因になるだけでなく、刑事罰の対象になるおそれもあります。

過去2年分程度の通帳履歴から不自然な資金移動は特定されるため、隠さずに申告しましょう。

5. 履行テスト中に返済が滞った場合

履行テストは、再生計画案にもとづく支払いが現実的に可能かどうかを判断するためのトレーニングです。

ここで振込が遅れたり金額が不足したりすると、裁判所から「返済能力が不十分」と判断される大きな要因となり、不認可に直結するおそれがあります。

また、認可を得て返済が始まった後も注意が必要です。途中で支払いが滞れば「取消し」となり、一度は圧縮された借金も遅延損害金を含めた元の金額にまで膨れ上がり、一括請求を受けるという状況に陥ります。

履行テストから認可後の返済終了まで、スケジュール通りに完走することが経済的再生の絶対条件となります。

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個人再生に失敗したらどうなる?

住宅ローンと書かれた積み木

ここでは、個人再生の手続きが失敗した結果、日常生活や経済基盤にどのようなダメージが生じるのかを解説します。

どのような不利益が発生するのかを把握することが、再出発に向けた現実的な計画を立てる第一歩です。

減額効果が得られず元の返済義務が残る

個人再生が失敗すると、借金を圧縮して生活を立て直すチャンスが失われ、元の大きな借金と遅延損害金を全額返済する義務が復活します。

本来、認可を受ければ借金を原則として5分の1〜10分の1程度まで大幅に減らすことができますが、失敗した瞬間にその法的効力は消滅します。

債務を減らすはずの手続きで、かえって遅延損害金を増やしてしまうケースもある点に注意が必要です。

督促や差押えなど債権者対応が再開する

個人再生手続きの失敗が確定すると、制限されていた債権者からの督促や、給与の差押えといった回収行為がすぐに再開されます。

弁護士に依頼している間や裁判所に申し立てをしている間は取り立てが制限されていますが、失敗後はその保護がなくなります。

債権者は一括請求をおこなうことが多く、放置すれば預金口座や給料が没収されるリスクもあるため注意が必要です。

職場に借金の事実が伝わるなどの二次被害を防ぐためにも、迅速に次の方針を決定したほうがよいでしょう。

住宅ローン特則を利用できず住宅を失う

個人再生に失敗すると住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が適用されなくなり、マイホームを手放さなければならない可能性が高くなります。

住宅ローン特則は、住宅ローン以外の借金だけを整理することで家を守る仕組みですが、手続き自体が失敗すればこのルールも無効です。

その結果、家が競売にかけられ、住まいを強制的に退去せざるを得ない事態になるかもしれません。

住まいの問題は家族にも大きな影響を与えるため、状況をしっかり把握しておきましょう。

弁護士費用や予納金など手続き費用が返ってこない

もし個人再生の手続きが失敗に終わったとしても、これまでにかかった費用の多くは返金されず、金銭的な損失が発生します。

弁護士に支払う着手金は事務作業に対する対価であるため、原則として戻りません。

また、官報公告費や再生委員への報酬として裁判所に納めた予納金も、既に消費されていれば返還されません。

再度手続きに挑戦するなら、改めて相応の費用を用意しなければならない点に注意しましょう。

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個人再生に失敗したときのリカバリー策

天秤

個人再生が止まってしまった際に検討すべき、再起のための4つのリカバリー方法を解説します。

  1. できるだけ早く弁護士に相談する
  2. 不備を解消して個人再生を再申立てする
  3. 任意整理で利息カットと再生計画を組み直す
  4. 自己破産に切り替えて免責を目指す

失敗の原因を冷静に分析し、状況に応じた次の方針へ迅速に移行することが大切です。

1. できるだけ早く弁護士に相談する

個人再生の手続きが失敗したとわかったら、一刻も早く弁護士に現状を相談することが、生活の破綻を食い止める有効な手段となります。

廃止が確定すると、制限されていた督促や給料の差押さえがすぐに再開されるおそれがあるためです。

弁護士は、再申立てが可能か、あるいは別の手続きに切り替えるべきかを法的な視点で即座に判断してくれます。些細なことでも正直に現状を打ち明け、次の手段を相談するのが得策です。

2. 不備を解消して個人再生を再申立てする

提出期限が間に合わなかったことが原因で手続きが廃止された場合は、資料を整え直すことで再チャレンジが可能です。

再申立てを成功させるためには、資料準備の体制を根本から見直す必要があります。

たとえば、役所や勤務先から取り寄せる書類をリスト化し、カテゴリー別にフォルダを分けて管理するなど、収集スピードと正確性を高める工夫を取り入れましょう。

一度失敗した原因を真摯に受け止め、弁護士と密に連携しながら期限に余裕を持って書類を揃えることが、次回の認可を得るための確実な道筋となります。

3. 任意整理で利息カットと再生計画を組み直す

裁判所を通した手続きがどうしても難しい場合は、任意整理で返済プランを組み直すことも検討しましょう。

任意整理とは、弁護士が債権者と直接交渉し、将来利息をカットしてもらう手続きです。

特定の債権者だけを除外して交渉できる柔軟さがあり、元本の減額幅は小さいものの月々の返済額を調整できます。

細かい家計の調査や複雑な書類作成を避けられるため、状況によっては有効な選択肢となります。

4. 自己破産に切り替えて免責を目指す

家計の再建が難しく、減額された債務すら支払える見込みがない場合は、自己破産へ切り替えるのが賢明な判断です。

自己破産は、借金の支払い義務をすべて免除してもらう免責という手続きを目指すものです。

破産すれば住宅などの資産を維持することはできませんが、借金自体は解消できるため、生活の立て直しという点では強力な手段となります。

自己破産について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

自己破産とは?手続きの進め方や条件、費用相場、注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

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個人再生を成功させるポイント

ステップと指を立てるビジネスマン

個人再生を無事に成功させ、平穏な生活を取り戻すために欠かせない準備と心構えについて解説します。

統計的に高い成功率を誇る手続きですが、残りの数パーセントに該当しないためには、事前の準備と専門家との連携が欠かせません。

債務整理の実績がある弁護士へ早期に相談する

個人再生の手続きを確実に進めるには、実績豊富な弁護士をパートナーに選ぶことが大切です。

個人再生は債務整理手段のひとつであり、専門家に知識や経験がなければ、裁判所からの修正指示などが増え、手続きの終了まで時間がかかる可能性があります。

事務所によっては費用の分割払いに対応してくれる場合もあります。複数の事務所で相談し、自分と相性のよい専門家を見つけましょう。

無理のない再生計画案を立てる

裁判所から認可を得るためには、履行可能性があると認められなければなりません。これは、3~5年の期間、最後まで返済をやり遂げる能力があるかという点が判断基準です。

家計の収支状況から、生活費を差し引いた余剰金で無理なく返済を続けられるかどうかがポイントです。

返済額の設定が適切でなかったり、現実離れした収入計画を立てたりすると、不認可を招くおそれがあります。

再生計画を守るために収支を改善する

個人再生を単なる借金の減額と捉えず、生活習慣を根本から見直す機会だと考えることが成功への近道です。

ギャンブルや過度な浪費を断ち切って家計を改善し、新たに借金をつくらずクレジットカード利用を控える生活を確立しましょう。

支出の妥当性を問われた際、しっかりとした管理の姿勢を示せれば信頼が得やすくなり、手続きもスムーズに進む可能性が高くなります。

反対する業者・債権者がいるかを確認する

小規模個人再生では、債権者による書面決議が行われるのがルールです。

特定のカード会社や政府系金融機関のなかには、反対意見を出す業者も存在するため、事前の調査が欠かせません。

もし大口の債権者が反対するリスクが高い場合は、債権者の同意が不要な給与所得者等再生への切り替えを検討することも手段のひとつです。

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個人再生に関するよくある質問

書籍を持ち考えるビジネスマン

個人再生を検討する際、または手続き中に多くの人が抱く不安や疑問に回答します。

Q. 個人再生でどのようなものを失う?
Q. 個人再生の際、通帳はどこまで調べられる?
Q. お金がないときに弁護士費用はどうすればいい?

Q. 個人再生でどのようなものを失う?

A. 個人再生の際、ローンが残っている車などは、契約上の所有権留保によってローン会社に引き揚げられるケースが多く見られます。

一方で、住宅ローン特則を利用すれば、マイホームを失わずに手続きを進めることが可能です。

なお、自己破産のような資格制限はないため、職業に影響が出て、職を失う懸念はありません。

個人再生における車の取り扱いについては、以下の記事を参考にしてみてください。

個人再生すると車は引き上げられる?車のローンがある際の対策や残す方法を解説 | 千代田中央法律事務所

Q. 個人再生の際、通帳はどこまで調べられる?

A. 裁判所は、家計状況や隠し財産がないかをチェックするため、原則として直近2年分程度の預貯金通帳の写しを精査します。

すべての銀行口座における入出金履歴が確認され、不自然な引き出しや、親族の口座への送金がないかが細かく確認されます。

スマホ決済やネット銀行などの利用履歴も、忘れずに申告しましょう。

Q. お金がないときに弁護士費用はどうすればいい?

A. 弁護士費用が払えないから申し立てができないと諦める必要はありません。

多くの法律事務所では分割払いに対応しており、また収入が一定以下であれば、法テラスの民事法律扶助制度による費用の立て替えも可能です。まずは専門家に相談し、自分に合った支払い方法を確認しましょう。

個人再生の費用については、以下の記事もあわせて参考にしてください。

個人再生の費用の相場は?負担を抑える方法や払えない場合の対処法を解説 | 千代田中央法律事務所

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まとめ

×マークをつくる女性

個人再生でやってはいけないことを正しく理解し、誠実な姿勢で手続きに臨めばスムーズに手続きが完了できる可能性が高まります。

偏頗弁済や財産隠し、書類の期限の徒過など、見落としやすいポイントに注意し、家計の再建を目指しましょう。

信頼できる専門家に依頼することで、迷わずに手続きを進めることが可能です。

千代田中央法律事務所では、個人再生や債務整理の相談を受け付けています。個人再生に失敗したくない人は、ぜひご相談ください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。