「個人再生後、今のカードはいつ止まるのだろう」「家族カードやETCはどうなるのか?」このような悩みをお持ちの方はいませんか。結論として、弁護士へ依頼し手続きを開始すると、本人名義のカードは原則としてすべて利用停止となります。
本記事では、個人再生に伴って、クレジットカードが止まるタイミングや日常生活への影響、信用情報が回復する時期、再審査に通りやすくするコツを解説します。
この記事を読めば、個人再生の際に注意するポイントを把握できますので、ぜひ参考にしてください。
個人再生をするとクレジットカードは使えなくなる?

個人再生をおこなった場合、以後、クレジットカードは利用できなくなります。いわゆる「ブラックリスト」状態になるためです。
なお、ブラックリストという言葉は多くの場面で耳にしますが、実は正式な名称ではありません。一般的に、「個人信用情報機関」に債務整理などをはじめとする事故情報が掲載されることを意味しています。
個人再生後にカードが停止するタイミングや、付帯サービスへの影響について、以下3つのポイントを解説します。
個人再生の手続きについて詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
個人再生の条件とは?できないケースやメリット・デメリットも解説|千代田中央法律事務所
1. 手続き開始後はクレジットカードが使えなくなる
弁護士に依頼し、代理人として債務整理を開始した旨を各債権者に伝える受任通知が発送された時点で、クレジットカードの利用は停止されます。
通知発送から実際に止まるまでの期間は数日~1週間程度が一般的ですが、ネット決済などは即日停止されることもあります。
受任通知を受け取ったカード会社は、新たな負債の増加を防ぐために会員資格を停止し、利用枠を凍結する措置をとるためです。弁護士に依頼し受任通知を出してもらったら、速やかにカードを破棄し、公共料金の引き落としなどを口座振替へ変更する準備を急ぎましょう。
2. リボ払いやキャッシングも利用停止になる
クレジットカードの利用停止は、ショッピング枠だけでなく、リボ払いやキャッシング機能の喪失も意味します。これらはすべて借金であり、個人再生の手続きではこうした未払残高(債務)をすべて整理の対象に含めなければなりません。
とくに注意が必要なのは、ショッピング枠を換金するクレジットカードの現金化です。これは多くのカード会社が規約で禁止しているだけでなく、債務を不当に増大させる行為として裁判所から不誠実と判断される可能性が高くなります。
このような行為は個人再生の不認可を招くおそれがありますため注意しましょう。クレジットカードによる新たな借り入れに頼るのではなく、家計の圧縮や支払い手段の見直しを優先することが大切です。
3. 家族カードやETCカードも使えなくなる
本会員が個人再生を行う場合、その契約に紐付いている家族カードやETCカードも連動して強制解約されます。家族カードは本会員の信用力を背景に発行されているため、主契約が停止すれば付帯サービスもすべて利用できなくなるのが原則です。
もし、家族に個人再生の事実を話していない場合、家族カードが止まったことで、その事実が知られる可能性もあるでしょう。たとえば、高速道路の料金所でETCゲートが開かなかったり、家族が店舗で決済できなかったりすることで、クレジットカードが止まっていることはすぐにわかってしまいます。
こうしたリスクを回避するためには、以下の対策を事前に行うことが推奨されます。
- クレジットカードが止まる前に、口座振替や銀行振込への切替をする
- 審査不要で発行可能なデビットカードを申し込む
- 審査なしで持てる預託金制のETCパーソナルカードを検討する
個人再生でクレジットカードが使えなくなることによる影響

ここでは、個人再生によってクレジットカードが使えなくなるデメリットを3つ解説します。
1. 各種支払いを滞納するリスクがある
クレジットカードの停止で警戒すべきは、電気やガス、通信費などの生活インフラの決済が途絶えることです。なかでも注意が必要なのが、携帯料金に含まれるスマホ端末代金の分割払いです。引き落としができず料金の滞納が発生すると、スマホ会社の社内ブラックとなってしまい、以後の通信回線の契約に影響が出ます。
ほかにも、クレジットカード払い指定の生命保険料や損害保険料などにも注意が必要です。クレジットカードの自動決済ができないと、知らぬ間に滞納扱いになってしまうことがあります。
「支払い滞納で、いざというときに保険が使用できなかった」といった事態を避けるためにも、どの固定費をクレジットカード払い設定にしているのか、きちんと把握しておきましょう。
2. クレジットカードに貯まっていたポイントやマイルが失効する
クレジットカードが強制解約されると、蓄積してきたポイントや航空会社のマイルは原則としてすべて失効します。解約後はオンラインサービスへのログインも制限される場合があるため、残高確認や交換もできなくなるケースもあります。
もし多くのポイントをお持ちの場合は、個人再生の手続き開始前に消化するのが得策です。一度失ったポイントやマイルは戻ってこないため、事前の対策が必要です。
3. クレジットカードで購入した商品が回収される場合がある
分割払いやリボ払いで購入した商品の未払残高がある場合、その商品がカード会社に引き揚げられる可能性があります。これは、代金を完済するまでは商品の所有権が会社側に残るという所有権留保にもとづいた措置です。
とくに以下の製品は、回収の対象になりやすい傾向があります。
- ローンが残っている車
- パソコン、タブレット端末、スマートフォン
- ブランド品、貴金属
- 大型家電、ゲーム機など換金性が高いもの
回収を免れたい一心で、特定のカード残高だけを優先して返済することは偏頗弁済(へんぱべんさい)にあたり、再生計画が不認可となる大きなリスクを伴います。状況を正直に弁護士へ相談し、ルールに従って処理を進めましょう。
個人再生後はいつからクレジットカードを作れる?

個人再生をおこなうと、信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が記録されるため、クレジットカードを作成するためには、一定の待機期間が必要になります。目安は以下のとおりです。
個人再生におけるブラックリストなどのデメリットについては、以下の記事でも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
個人再生の8つのデメリットと対策|メリットや具体的な流れも解説|千代田中央法律事務所
5~7年の経過後が目安
新しいクレジットカードを発行できるタイミングは、各信用情報機関から事故情報が抹消される5~7年後が一般的な目安です。ブラックリスト状態が解除されたら、新しいクレジットカードを作成できる可能性があります。
信用情報機関は主に以下の3つにわかれており、それぞれのブラックリスト掲載目安は以下のとおりです。
| 機関の名称 | 属性 | ブラックリストに登録される期間 |
|---|---|---|
| JICC | 銀行、消費者金融、信販系クレジットカード会社などが提携 | 5年程度 |
| CIC | 銀行、消費者金融、信販系クレジットカード会社などが提携 | 5年程度 |
| KSC | 各銀行と提携 | 個人再生手続開始決定日から7年 |
ただし、上記はあくまで目安であるため、実際に作れるようになるまでの期間は個々の状況によって異なります。
社内ブラックになるとその会社のカードは作れない
信用情報機関のデータが消去されたとしても、過去に個人再生の対象としたカード会社では、審査に通過できない可能性があります。
企業側は、過去の支払い遅延や滞納などの記録を独自に保持しているからです。これを社内ブラックと呼びます。
クレジットカードの再取得を目指す際は、かつて迷惑をかけた会社やその系列グループを避けるのが無難です。ブラックリストの期間経過後であっても、できるだけ過去に契約関係のなかった別系列の会社へ候補を絞るとよいでしょう。
個人再生後にクレジットカードを作るコツ

ここでは、個人再生後にクレジットカードを作る際のコツを4つ紹介します。
1. 事故情報(ブラックリスト)が消えるまで待つ
個人再生の手続き後、信用情報機関に事故情報が登録されている間は、どのカード会社に申し込んでも審査に落ちる可能性が極めて高くなります。審査落ちの記録も信用情報に数か月間残ってしまうため、焦って申し込むのは逆効果です。
まずはご自身の事故情報が完全に抹消されているか、信用情報機関へ情報開示請求をおこない、事故情報が消えた状態になっていることを確認してから申し込むのが確実です。
2. 審査に通りやすいカード会社に申し込む
事故情報の抹消後は、新規顧客開拓に積極的な以下のジャンルのクレジットカードから検討するのが有効です。
| カードのジャンル | 特徴 | 審査の傾向 |
|---|---|---|
| 流通系カード | スーパーや百貨店、ショッピングモールなどが発行しているカード | 主婦層や若年層を含めた自社店舗での日常利用を促進しているため、比較的柔軟な審査が期待できる |
| 外資系カード | 外資系企業が発行しているカード | 過去の履歴(クレジットヒストリー)よりも、現在の支払い能力(職業や年収)を重視して審査をおこなう傾向があると言われている |
「自分が作りたいクレジットカード」という基準ではなく、審査の通りやすさを優先するとよいでしょう。
3. 申し込み時にキャッシング枠を設定しない
クレジットカードの申し込み時は、キャッシング枠を希望しない(0円)に設定し、ショッピング枠のみで申請するのがポイントです。
キャッシング枠を希望すると貸金業法にもとづく審査が加わるため、審査落ちのリスクが高まります。
まずは少額のショッピング枠からスタートし、信頼を徐々に取り戻していくことが大切です。
4. 短期間に複数のカードへ申し込まない
クレジットカードが作れるか不安だからといって、短期間に何社ものクレジットカードへ同時に申し込むのは絶対に避けましょう。信用情報機関には、カードの申し込み事実も約6か月間記録されます。
短期間に複数の申し込みがあると、「お金に困っているのではないか」「他社で審査落ちしたから次々に申し込んでいるのではないか」と警戒されかねません。「申し込みブラック」の状態を避けるため、申し込みは一度に1社に絞り、万が一落ちた場合は半年以上の期間を空けてから再チャレンジしてください。
個人再生でクレジットカードが使えない期間の代替手段

個人再生によって、クレジットカードが使えない空白期間は、以下の手段を組み合わせることで補えます。
これらは借金ではないため、個人再生の手続き中でも原則として発行・利用が可能です。
銀行口座直結のデビットカードを使う
代替手段としてもっともおすすめなのは、国際ブランド(VisaやMastercardなど)付きのデビットカードです。主なメリットは以下のとおりです。
- 審査なしで、銀行口座があれば原則誰でも発行できる
- 口座残高の範囲内でしか使えないため、使いすぎを防げる
- ネットショッピングや店舗での支払いはクレジットカードとほぼ同じように使える
各銀行が発行しているデビットカードがあるため、詳しくはカードを作りたい銀行のホームページなどをご確認ください。
審査不要のプリペイドカードを活用する
デビットカードと並んで便利なのが、事前にお金をチャージして使うプリペイドカードです。VisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドが付いたタイプであれば、クレジットカードと同じように街の店舗やネットショッピングで利用できます。
最大の特徴は、コンビニなどで現金チャージしてすぐに使える点です。審査が一切ないため、個人再生の手続き中であっても問題なく発行できます。
「今月使う分だけをチャージする」という使い方ができるため、家計管理を見直すリハビリ期間の決済手段としても有効です。
口座振替や現金払いに切り替える
これまでクレジットカードで自動決済していた公共料金(電気・ガス・水道)や携帯電話料金、サブスクリプションサービスなどは、速やかに口座振替や現金払いへと切り替えましょう。
受任通知が送られてクレジットカードが止まると、これらの決済がすべて滞ってしまうためです。とくにスマホ端末代金を分割払いしている場合、滞納すると通信系の信用情報にも傷がつき、将来のカード再取得に悪影響を及ぼします。
クレジットカードが止まる前に、各会社のマイページなどから支払い方法の変更手続きを急いで進めてください。
配偶者や両親などに家族カードを発行してもらう
自分名義のクレジットカードは作れなくなりますが、安定した収入のある配偶者や両親などが本会員となり、その付帯カードとして自分名義の家族カードを発行してもらう方法もあります。
家族カードの審査対象となるのは、あくまで主契約者である本会員の信用情報です。そのため、自分が個人再生をしてブラックリスト状態であっても、本会員の信用に問題がなければ原則として発行されます。
ただし、家族カードの利用分はすべて本会員の口座から引き落とされるため、事前にしっかりと利用ルールの話し合いをしておき、家族に迷惑をかけない運用を徹底することが大前提です。
個人再生におけるクレジットカードのよくある質問

最後に、個人再生後のクレジットカードに関するよくある質問に回答します。
Q. 使っていないクレジットカードも解約されますか?
Q. クレジットカードの残債はどうなりますか?
Q. 個人再生の際クレジットカードの利用額も対象にできますか?
Q. クレジットカードを残すことはできますか?
Q. クレジットカードを現金化してもよいですか?
ここでの回答は一例となるため、より詳しく確認したい場合は弁護士などの専門家に相談しましょう。
Q. 使っていないクレジットカードも解約されますか?
A. 個人再生を行うと、使用状況に関わらず、原則としてすべてのクレジットカードが解約されます。個人再生の手続きでブラックリストになると、基本的に以後のクレジットカード利用はできません。
カード会社は定期的に信用情報をチェックしているため、自ら通知をしなくてもいずれ強制解約になるケースがほとんどです。
Q. クレジットカードの残債はどうなりますか?
A. クレジットカードの残債(分割払いの残りなど)は、他の借金と合算され、個人再生の手続きに沿って減額されます。
減額された後の残債は、再生計画にもとづいて原則3年(最長5年)で分割返済していくことになります。
Q. 個人再生の際クレジットカードの利用額も対象にできますか?
A. クレジットカードの利用額(ショッピング枠の未払残高やキャッシングの借入分)もすべて個人再生の整理対象になります。
個人再生には「債権者平等の原則」というルールがあり、一部の借金だけを除外して手続きを進めることは認められません。
そのため、他の金融機関からの借金と同様に、クレジットカードの利用残高も一括して裁判所に申告し、減額手続きをおこなう必要があります。
Q. クレジットカードを残すことはできますか?
A. 個人再生後、クレジットカードを使える状態で手元に残すことは不可能です。前述のとおり、個人再生を開始するとブラックリストに情報が登録されます。
利用残高がゼロで、個人再生の対象から外れているカードがあったとしても、カード会社がその事実を検知した時点で強制解約の処置がとられます。
そのため、どのような手段を使っても、個人再生後に特定のクレジットカードだけを残して使い続けることはできません。
Q. クレジットカードを現金化してもよいですか?
A. 個人再生の手続きを控えている、あるいは検討している段階でのクレジットカードの現金化は、絶対におこなわないようにしましょう。
クレジットカードの現金化(ショッピング枠を使って購入した商品をすぐに売却して現金を得る行為など)は、多くのカード会社が規約で禁止しています。
これらの行為は、裁判所から不誠実に債務を増大させていると見なされる可能性が高くなります。最悪の場合、個人再生の手続き事態が不認可になるリスクを伴うため注意しましょう。
まとめ

個人再生においてクレジットカードの問題は避けて通れませんが、正しい知識を持っていれば過度におそれる必要はありません。受任通知後は一時的に不便が生じますが、デビットカードやプリペイドカードなどの代替手段へ早めに移行することで、日常生活への影響は最小限に抑えられます。
事故情報が登録される5~7年間は、借金に頼らない健全な家計を築く期間と捉えましょう。この期間にしっかりとした金銭感覚を身につければ、数年後に再びカードを手にしても、きちんと家計の管理ができるようになるでしょう。
不安な点や具体的な手続きについては、まずは専門家である弁護士へ気軽に相談してみることをおすすめします。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

