借金の返済に悩み、個人再生を検討しているものの、「どのような書類が必要なのだろう」という不安をお持ちの方はいませんか。必要書類は会社員や個人事業主といった職業や、同居するご家族の状況によって変わるため、個々にあわせて準備する必要があります。
この記事では、個人再生に必要な書類一覧をはじめ、万が一資料が揃わない場合の柔軟な代替手段や提出の期限、そして失敗を避けるための作成のコツを解説します。
これらを把握することで全体像がわかり、手続きがスムーズにおこなえるでしょう。個人再生の手続きを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
個人再生に必要な書類一覧

個人再生の際に必要な基本書類は、主に以下の4種類です。
なお、必要書類は申立先の裁判所や手続きの種類によって異なるため、最新の運用を確認して準備しましょう。
個人再生についてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所
1. 借入先や借金の総額がわかる書類
借入先を正確に把握するために必要な書類の代表例は、以下のとおりです。
- 金融機関から届いた督促状や催告書
- 裁判所から届いた訴状や支払督促などの通知書
- 直近の利用明細書や契約書
これらをもとに、債権者の名称や現在の借入残高、借入の時期などを整理していきます。
長年取引があって正確な残高がわからない場合は、弁護士などの専門家に依頼することで、各金融機関から正確な取引履歴を開示してもらうことが可能です。
なお、銀行や消費者金融やクレジットカード会社だけでなく、以下のような借金も含まれます。
- 知人や親族からの借入
- 勤務先からの社内融資
- 奨学金の未返済分
特定の借入を意図的に除外すると、裁判所から不誠実な申立と判断されるケースがあるため注意しましょう。
2. 収入状況を確認できる書類
収入を証明する資料は、職業に応じて異なります。
給与所得者(会社員・パート・アルバイトなど)の方が必要な書類
給与所得者の場合、給与明細書は直近2か月分が求められる運用が一般的です。
源泉徴収票・課税証明書・所得証明書は、小規模個人再生か給与所得者等再生かによって、直近1年分または2年分が必要になる場合があります。
手取り額だけでなく、総支給額から何が差し引かれているのかを明確にする必要があるため、明細書は破棄せず保管しておくようにしましょう。
事業所得者(個人事業主・フリーランスなど)の方が必要な書類
事業所得者の場合は、月ごとの売上の波や経費の妥当性が精査するために、以下の書類が必要です。
- 直近2期分の確定申告書(控え)
- 直近6か月分の事業収支実績表
- 帳簿や売上台帳のコピー
事業を継続しながら返済を継続できることを示すためには、正確な収支管理が欠かせません。
3. 家計状況を把握するための書類
家計の透明性を証明するための主な書類は、以下のとおりです。
- 直近2か月分の家計収支表
- 世帯全員の記載がある住民票(裁判所が指定する期限内に発行されたもの)
- 同居家族の収入証明書(給与明細書や源泉徴収票など)
- 水道光熱費や家賃、通信費の領収書・引き落とし口座の明細
家計収支表の作成にあたっては、食費や日用品費、住居費などの項目ごとに、1円単位で正確に記載することが求められます。
また、同居している配偶者や成人の子供がいる場合、その家族の収支も世帯全体の経済状況として扱われます。
家族のプライバシーに関わる資料であるため、集めることに心理的抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、裁判所が世帯全体の経済状況を正確に判断するために、原則として提出が求められます。
ただし、同居していても「成人の子供が働いていて家計は完全に別」「二世帯住宅で財布は完全に分離している」といったケースでは、例外もあり得ます。
同居家族の書類集めにどうしても不安がある場合は、事前に弁護士へ相談してみましょう。
4. 財産状況を証明するための書類
財産価値を算出するために提出を求められる書類には、以下のようなものがあります。
- すべての金融機関の預貯金通帳のコピー(過去1〜2年分)
- 生命保険や医療保険の解約返戻金証明書
- 自動車の車検証および査定書
- 不動産の登記事項証明書および査定書
預貯金通帳に関しては、休眠口座であっても、名義が存在するものはすべて開示の対象となります。
自動車や不動産などの現物資産を保有している場合は、現在の価値がいくらになるのかを示す客観的な資料が必要です。
自動車であれば中古車買取業者による査定書、不動産であれば不動産鑑定士や信頼できる業者の査定価格をもとに清算価値が計算されます。
これらの資産を不当に低く見積もったり、名義を他人に変更したりする行為は不誠実な申立とみなされるため、ありのままの状況を報告しなければなりません。
個人再生の必要書類を収集・準備する方法

個人再生の手続きの際、以下の段階ごとに必要な書類が異なります。
それぞれの収集手順や実務上の注意点を詳しく見ていきましょう。
裁判所に提出するために作成する書類
裁判所に提出する主な書類は以下のとおりです。
| 書類名称 | 書類の概要と主な役割 | 作成時の重要ポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 申立書 | 裁判所に対して、個人再生の手続きを公式に開始するよう求める基本の書面 | 申立てに至った経済的な背景や、借金が膨らんでしまった具体的な理由・経緯を詳細かつ正確に記述する |
| 債権者一覧表 | すべての借入先、現在の正確な負債残高、借入の原因などを一覧にまとめたもの | 債権者の漏れがあると不認可になる場合があるため、全債権者を記載する |
| 財産目録 | 現金、預貯金、不動産、自動車、生命保険の解約返戻金など、自身が所有するすべての資産とその評価額を記載した書類 | 資産の隠匿を疑われないよう、手元の財産を漏れなく洗い出す必要がある |
これらは裁判所が審査をおこなううえで重要な資料であるため、弁護士などの専門家に確認してもらいながら作成しましょう。
申立するために個人で用意する必要書類
個人で収集する必要がある書類と取得方法は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 主な取得先・発行元 | 具体的な取得方法・手順 |
|---|---|---|
| ・住民票(世帯全員の記載があるもの) ・戸籍謄本 ・直近の課税証明書 | 市区町村の役所 | 役所の窓口で直接申請するか、マイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアなどで取得する |
| 直近の給与明細書 | 勤務先の会社 | 勤務先に発行を依頼する |
| 通帳の明細コピー | 取引のある金融機関 | 銀行のATMや窓口で手元にあるすべての通帳を最新の状態まで記帳する |
住民票や課税証明書は多くの場合コンビニで取得できますが、戸籍謄本については本籍地の自治体がコンビニ交付に対応している必要があります。
また、お住まいの場所と本籍地が異なる場合は、事前にコンビニのマルチコピー機などから利用登録申請が必要になるケースがあるため、早めの確認がおすすめです。
申立後に必要な書類
個人再生の申立後に必要な書類として、以下のようなものがあげられます。
- 家計収支表
- 日々の買い物におけるレシートや領収書
- 光熱費、通信費、家賃などの固定費の支払証明書
- 手続き中に発生した臨時の収入や支出に関する明細の保管
手続き開始後の生活態度やお金の使い方は、裁判所から選任される個人再生委員によってチェックされるケースがあります。
これは、無駄な贅沢品への支出がないか、ギャンブルへの支出が完全に断たれているかなどが、再生計画を認可するかどうかの重要な判断基準となるためです。
個人再生が不認可にならないための必要書類を作成するコツ

個人再生が問題なく許可され、スムーズに生活再建へ進むための具体的なコツを3つ紹介します。
1. 記入漏れがないか事前に確認する
書類への記入漏れを防ぐためのチェックポイントは以下のとおりです。
- 過去に利用したきり放置している消費者金融や、保証人になっている案件がないかを信用情報機関の情報をもとに照合する
- 過去に作った口座やネット口座など、すべての名義口座をリストアップする
- 通帳の履歴にあるまとまった金額の出金について、何に使ったのかを領収書やメモをもとに明確に説明できるようにしておく
自分で情報が探せない場合や不明な点がある方は、弁護士などの専門家に相談しながら進めましょう。
2. 書類の不足や提出期日に注意する
個人再生を進めるうえで大切なのが、裁判所が定めた締め切りの期日を1日でも過ぎないようにすることです。
住民票などの公的な書類は裁判所が指定している期限以内に発行されたものでなければ受理されず、古いものを使うとそれだけで書類の不足とみなされてしまいます。
もし、提出期限を過ぎてしまうと手続きが途中で打ち切りになるおそれがあるため、注意しましょう。
3. 作成が難しい場合は、弁護士に依頼する
個人再生の書類作成や財産の計算が難しい場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
個人再生では、債権者一覧表や財産目録、家計収支表など、複数の書類を正確に作成する必要があります。記載漏れや計算ミスがあると、裁判所から追加説明や補正を求められ、手続きが長引くおそれがあります。
書類作成に不安がある場合は、申立先の最新資料を確認するか、弁護士に相談しましょう。
個人再生の費用について、詳しくは以下の記事でも紹介しています。
個人再生の費用の相場は?負担を抑える方法や払えない場合の対処法を解説 | 千代田中央法律事務所
個人再生の必要書類が揃わない場合の対処法

個人再生の必要書類が用意できない場合の解決策について、以下4つのポイントを解説します。
- 給与明細がない場合は課税証明書での代替を相談する
- 退職金見込額証明書を取得しにくい場合は就業規則(退職金規程)で代用できる場合がある
- 通帳を紛失した場合は銀行で取引履歴明細書を取得する
- 必要書類が不明な場合は弁護士や裁判所に確認する
1. 給与明細がない場合は課税証明書での代替を相談する
勤務先が紙での給与明細を発行していない場合、Web画面のスクリーンショットや、明細データをダウンロードして印刷したもので対応できるかを確認します。
それも用意できない場合は、役所で手に入る直近の課税証明書や所得証明書を取り寄せ、給与が振り込まれる銀行口座の通帳履歴と組み合わせることで、収入の正しい証拠として裁判所に認めてもらえる場合があります。
一つの書類が用意できないからといって諦めず、対応可能な方法がないか専門家に確認してみましょう。
2. 退職金見込額証明書を取得しにくい場合は就業規則(退職金規程)で代用できる場合がある
退職金制度がある勤務先に一定期間勤めている場合、退職金見込額を示す資料を求められることがあります。
しかし、会社に個人再生の手続きを検討していると知られたくないため、発行を求めにくいという声がよく聞かれます。
このような状況では、勤務先に証明書を依頼しにくい場合は、退職金規程や就業規則、給与明細などで代替できるか、弁護士を通じて申立先の運用を確認しましょう。
3. 通帳を紛失した場合は銀行で取引履歴明細書を取得する
長年放置していた口座の通帳を失くしてしまったり、紙の通帳がないネット銀行を利用している場合でも、過去1~2年分の取引履歴は提出しなければなりません。
現物を紛失したときは、銀行の窓口に行けば過去の取引履歴明細書を発行することが可能です。
注意点として、長期間にわたって記帳をおこなっていなかった口座では、複数の取引が一括して合計記帳としてまとめられてしまうことがあります。
明細が不明であると審査を通らないため、内訳明細を別途発行してもらう手続きが必要になる点に留意しておきましょう。
4. 必要書類が不明な場合は弁護士や裁判所に確認する
どの資料を集めればよいのか判断に迷う場合は、自己判断をせずに必ず代理人弁護士や申立先の地方裁判所に直接確認を取りましょう。
もっとも避けるべきなのは、不明な点を放置して期日を引き延ばしたり、意図的に書類を出さなかったりすることです。
個人再生の運用ルールは、申立てをおこなう各地域の裁判所ごとに独自の運用がなされている場合があるため、正確な情報収集が求められます。
個人再生の必要書類に関するよくある質問

個人再生の必要書類に関するよくある質問に回答します。
Q. 個人再生で家族・同居人の書類は何が必要ですか?
Q. 個人再生で提出する通帳は何年分必要ですか?
Q. 個人再生での通帳提出はいつまでにおこなえばよいですか?
個人再生に関するよくある疑問について、こちらの記事でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
個人再生で裁判所はどこまで調べる?主な調査内容とその理由を解説 | 千代田中央法律事務所
Q. 個人再生で家族・同居人の書類は何が必要ですか?
A. 個人再生で家族に関して提出を求められる主な書類は、以下のとおりです。
- 配偶者や同居家族の直近2か月分の給与明細書または源泉徴収票
- 家族名義の預貯金通帳のコピー(生活費の移動がある場合など)
- 家族が所有する自動車の車検証(世帯共通の資産とみなされる場合)
これらは、申立人本人が家族の口座にお金を隠していないか、あるいは家計の収支が家族の収入によってどのように支えられているかを客観的に確認するために用いられます。
Q. 個人再生で提出する通帳は何年分必要ですか?
A. 個人再生の手続きでは、自分が保有しているすべての金融機関の口座を対象として、申立先の裁判所が指定する期間分のコピーや取引履歴を提出します。これには残高が0円になっている口座や、長年使っていない休眠口座もすべて含まれます。
過去1〜2年分を求められることが多いため、早めに記帳し、不足分は金融機関で取引履歴を取得しましょう。
Q. 個人再生での通帳提出はいつまでにおこなえばよいですか?
A. 個人再生での通帳提出は、裁判所へ正式な申立てをおこなうタイミングまでに行う必要があります。
長期間記帳していなかった通帳の取引履歴を銀行の窓口に請求する場合、書類が手元に届くまで3週間程度かかることもあるため、逆算して早めに手続きしましょう。
まとめ

個人再生を成功させるためには、必要書類を漏れなく正確に揃えることが重要です。
会社員や個人事業主といった状況によって集める資料は変わりますが、万が一手元にない場合でも柔軟な代替手段が用意されているため安心してください。
手続きで大切なのは、通帳の履歴や家族の収入などを自己判断で隠さず、すべてをオープンにすることです。
ひとりで必要書類を集めるのが難しい場合は、信頼できる弁護士へ事前に相談し、二人三脚で揃えていきましょう。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

