民事再生・個人再生

個人再生で住宅ローンはどうなる?特則の利用条件やメリット・デメリットを解説 | 千代田中央法律事務所

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借金の返済が難しくなり「大切な持ち家を失うのではないか」と不安を抱える人にとって、個人再生は有力な解決策です。

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用できる条件を満たせば、自宅を維持しながら、住宅ローン以外の借金を整理できる可能性があります。

本記事では、住宅ローンがある人の個人再生について、条件やメリット・デメリット、注意点などを詳しく解説します。

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目次
  1. 個人再生すると住宅ローンはどうなる?
  2. 個人再生で住宅ローン特則を使うための条件
    1. 個人再生を申し立てられる状態であること
    2. 住宅ローンが分割返済であること
    3. 本人が所有・居住している住宅であること
    4. 借入目的が住宅の建設・購入・改良であること
    5. 住宅ローン以外の借金を担保する抵当権が付いていないこと
    6. 住宅が差し押さえられていないこと
    7. 再生計画が債権者・裁判所から認められていること
  3. 住宅ローンが残っている人が個人再生するメリット
    1. 自宅を残したまま借金を大幅に減額できる
    2. 住宅ローンを再度分割払いにできる
    3. 返済期間を延長できる
    4. 強制執行や差押えを停止できる場合がある
  4. 住宅ローンが残っている人が個人再生するデメリット
    1. 住宅ローン自体の返済負担は変わらない
    2. 信用情報機関に事故情報が登録・掲載される
    3. 条件を満たさないと特則が使えない
  5. 住宅ローンが残っている状態で個人再生するときの注意点
    1. ペアローンの際は夫婦双方に個人再生の申立てが必要
    2. 連帯保証人には請求が及ぶ
    3. 滞納している場合は代位弁済から6か月以内に手続きが必要
  6. 個人再生と住宅ローンに関するよくある質問
    1. Q. 個人再生をした後に住宅ローンは組める?
    2. Q. 個人再生をした後、何年住宅ローンは組めなくなりますか?
    3. Q. 個人再生で住宅ローンの巻き戻しは認められますか?
    4. Q. 住宅ローンを滞納しても個人再生は認められますか?
    5. Q. 個人再生で住宅ローン特則を使えない場合はどうしたらよいですか?
  7. まとめ

個人再生すると住宅ローンはどうなる?

住宅の模型を持つ手

個人再生を利用する際、住宅ローン特則という制度を活用すれば、自宅を手放さずに他の借金だけを整理可能です。

住宅ローンを滞納すると、抵当権が実行され、住宅が競売にかけられる可能性があります。住宅ローン特則を利用できれば、住宅ローンの返済を続けながら、住宅ローン以外の借金を整理できます。

住宅ローン特則は、すべての借金を一律に減額する制度ではありません。住宅ローン自体は原則として全額支払う必要があり、元本が直接減るわけではありません。あくまでもカードローンやリボ払いなどの無担保債務について、法的に減額されるものです。

個人再生では、住宅ローン以外の借金をどこまで減らせるかを示す最低弁済基準が設けられています。支払うべき金額は、借金の総額に応じて決まります。

たとえば、住宅ローン以外の借金が600万円の場合、小規模個人再生では最低弁済額の目安は120万円です。ただし、保有財産の価値が120万円を超える場合などは、返済額が増える可能性があります。

借金の種類整理後の扱い調整できる内容
住宅ローン原則として減額なし(全額払う)返済期間の延長、一時的な元本の支払い猶予など
カードローン・消費者金融などカットされる(原則3年で分割返済)最低弁済基準まで圧縮され、残りの支払いは免除

個人再生をして家計を再建するには収支の試算が欠かせません。毎月の手取り収入から生活費を引き、そこから住宅ローンの月額と個人再生の返済額、固定資産税や管理費・修繕積立金を差し引いても、黒字になる必要があります。裁判所は将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあるかを審査するため、現実的な収支計画の立案が重要です。

個人再生についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

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個人再生で住宅ローン特則を使うための条件

家のイラストを持つ両手

住宅ローン特則は有用な制度ですが、利用には裁判所の認可が必要です。以下の要件をすべて満たしているか、事前に必ず確かめておきましょう。

より詳しく条件を知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生の条件とは?できないケースやメリット・デメリットも解説 | 千代田中央法律事務所

個人再生を申し立てられる状態であること

住宅ローン特則を使うには、個人再生を申し立てられる状態でなければなりません。具体的には、住宅ローンを除いた借金の総額が5,000万円以下であり、今後も継続して返済を続けられる安定した収入が求められます。

継続的に収入が見込める人が行う「小規模個人再生」では、将来にわたり定期的に収入を得られるかどうかが重視されます。

一方、給与所得のある人が行う「給与所得者等再生」では、収入の変動が小さいことが要件です。借金が5,000万円を超えている場合や無職の場合は、手続きを進められません。

住宅ローンが分割返済であること

住宅ローン特則を利用するためには、ローンが建物の購入や土地の取得のために借り入れたものであり、分割返済の契約であることが条件です。

すでに保証会社による代位弁済が行われた場合でも、代位弁済から6か月以内に個人再生を申し立てれば、住宅ローン特則を利用できる可能性があります。6か月を過ぎると、住宅ローン特則による巻き戻しが難しくなるため、早急な対応が必要です。

本人が所有・居住している住宅であること

住宅ローン特則を利用できる建物は、再生債務者本人が所有し、実際に居住しているものでなければなりません。投資用マンションや親戚に貸している家は、対象外です。

店舗併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が居住用スペースであることが条件です。住民票の記載だけでなく、実態として生活の拠点があるかが問われます。

借入目的が住宅の建設・購入・改良であること

住宅ローン特則利用のためには、ローンが家の建設や購入、リフォームなどの改良に必要な資金貸付でなければなりません。

リフォーム資金は特則利用の条件として認められますが、借り換えの場合は元の住宅ローンとの関連性や資金使途を確認する必要があります。契約書や資金の使途を精査し、借り換え前の住宅ローンとのつながりが証明できるかがポイントです。

また、カードローンの返済資金と混同されているケースでは、特則が使えないおそれがある点に注意しなければいけません。

住宅ローン以外の借金を担保する抵当権が付いていないこと

個人再生で住宅ローン特則を使うには、住宅ローンを貸している会社以外の債権者が、家に抵当権を持っていないことが条件です。抵当権とは、万が一返済が止まった際に、債権者が優先的に不動産を売って回収できる権利のことです。

事業資金のために家を担保に入れたり、親族の借金の保証人になって担保を設定したりしていると、特則は適用されません。他の借金の担保がある状態では、住宅ローン特則を利用できない可能性が高いため、注意しましょう。

住宅が差し押さえられていないこと

住宅ローン以外の借金による強制執行や、税金滞納による差押えが進行している状況では、特則だけで家を守ることは困難です。裁判所が抵当権の実行を止める「中止命令」を出す場合もありますが、税金は免除の対象外となります。

個人再生で他の借金を減らせても税金の差押えは消滅しないため、別の対策を並行して講じなければなりません。この場合は、役所の窓口で分納の相談を行うなどの対応が必要です。

再生計画が債権者・裁判所から認められていること

個人再生で特則を使うには、住宅ローンを払いながら、他の借金を原則3年で返していく再生計画案を裁判所に認めてもらう必要があります。

個人再生では、最低支払額の返済が求められます。たとえば、小規模個人再生の最低弁済額は、以下のように借金総額によって異なります。

借金総額最低弁済額
100万円〜500万円100万円
500万円〜1,500万円5分の1
1,500万円〜3,000万円300万円

月々の支払いを考慮したうえで、住宅ローンや固定資産税を払っても家計が問題なく管理できることを証明しなければなりません。

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住宅ローンが残っている人が個人再生するメリット

書類に記入するビジネスマン

住宅ローン特則を活用すれば、生活の拠点である自宅を維持したまま、他の借金だけを整理し、家計を立て直せます。

具体的なメリットを見ていきましょう。

自宅を残したまま借金を大幅に減額できる

個人再生では、住宅ローン以外の消費者金融やカードローンなどの借金を、原則として5分の1程度まで圧縮できます。自己破産のように家を失うことはなく、収入の範囲内で返済を続けながら、持ち家を家族に残せます。

手続きごとの違いを整理してみましょう。

債務整理の手段住宅ローンの返済その他の借金・財産
個人再生全額返済する・借金は原則5分の1などに縮小
・自宅は残せる
自己破産免責が認められれば支払義務は免除される・借金は原則全額免除
・自宅は抵当権の実行などにより原則処分される

自宅を手元に残したいのであれば、個人再生を選択するのが望ましいです。

個人再生で自宅だけでなく車を残したい場合は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生すると車は引き上げられる?車のローンがある際の対策や残す方法を解説 | 千代田中央法律事務所

住宅ローンを再度分割払いにできる

保証会社が金融機関に債務を肩代わりする代位弁済をしていても、個人再生をすれば住宅ローンの支払いを再度分割払いにできる可能性があります。具体的には、代位弁済から6か月以内に個人再生を申し立てれば、分割払いで返済ができる状況に戻せます。

競売が避けられない状況であっても、期限内に手続きを済ませれば、返済負担を緩和できるかもしれません。

返済期間を延長できる

住宅ローン特則を利用して個人再生する場合、一定の条件を満たせば、住宅ローンの返済期間を延長できる場合があります。延長期間には上限があり、債務者の年齢や返済可能性も考慮されます。月々の返済額が少なくなるため、ローンの返済負担が緩和されるのがメリットです。

一定の条件を満たす場合は、元本の返済を一時的に待ってもらう据置期間の設定もでき、月々の返済額を抑えながら住み慣れた家を守れます。

強制執行や差押えを停止できる場合がある

競売や差押えが始まっていても、個人再生を申し立てると停止できる場合があります。停止される主なシチュエーションは、裁判所が再生計画を認める見込みがあると判断した場合です。

民間債権者による競売や強制執行については、裁判所の命令により手続きを一時的に止められる場合があるため、家計の再生について考えられる時間の確保が可能です。ただし、税金の滞納による差押えは免除されないため注意が必要です。

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住宅ローンが残っている人が個人再生するデメリット

債務と書かれた積み木と困る人形

個人再生における住宅ローン特則には利点がある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

メリット・デメリットを比較し、生活への影響を予測したうえで手続きをするかどうか決めるのが重要です。

住宅ローン自体の返済負担は変わらない

個人再生を行っても住宅ローンの元本は減りません。個人再生はあくまで住宅ローン以外の借金を大幅にカットするものです。住宅ローンはこれまでの契約通りに払うか、返済期間を延ばして月々の負担を調整するのみにとどまります。

最終的に支払う総額は変わらないため、ほかの借金が減って浮いた分を確実に住宅ローンの返済に回すといった厳格な家計管理が必要です。

信用情報機関に事故情報が登録・掲載される

個人再生の手続きを開始すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。事故情報が登録されると、ローンやクレジットカードの審査に通らなくなります。

事故情報の掲載期間は信用情報機関によって異なります。具体的には以下のとおりです。

  • JICC・CIC:契約終了から5年以内
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC):手続き開始から7年

手続き開始からしばらくは、現金や審査なしで利用できるデビットカードで家計を管理するようにしましょう。

条件を満たさないと特則が使えない

個人再生で家を残すには、法律が定める要件をすべてクリアしなければなりません。前述のとおり、建物が居住用であることや住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと、代位弁済から6か月以内であることなどが条件です。

条件から外れると、選択肢が自己破産のみになり、家を手放さなければなりません。延滞が始まっている場合は、早急に専門家へ相談しましょう。

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住宅ローンが残っている状態で個人再生するときの注意点

ビックリマークと虫眼鏡、PC

住宅ローンが残っている状態での個人再生では、契約状況や周囲への影響を正確に把握しておく必要があります。

夫婦でローンを組んでいる場合や保証人がいる場合は、個人の判断で進めると家を手放す事態を招きかねません。

以下の注意点をおさえて、適切に手続きを進めましょう。

ペアローンの際は夫婦双方に個人再生の申立てが必要

ペアローンでは、夫婦双方の債務や担保関係を確認する必要があります。片方だけが個人再生をしても、もう一方の返済義務は残るため、夫婦双方での申立てが必要になるケースがあります。

この場合、片方だけが手続きをしても、もう一方の返済義務は残ったままです。そのため、パートナーの返済が滞れば、家が競売にかけられるリスクに引き続きさらされます。

双方の再生計画が裁判所に認められてはじめて、家を維持できるとおさえておきましょう。

連帯保証人には請求が及ぶ

個人再生で本人の借金が減額されても、その効果は連帯保証人には及びません。債権者が保証人に対して持つ権利はそのまま残るため、保証人には債権者から残額の請求が及ぶ可能性があります。

家族や親族が保証人になっている場合は、事前に影響を話したうえで、個人再生が適切な手続きなのかよく考えながら手続きを進めていく必要があります。

滞納している場合は代位弁済から6か月以内に手続きが必要

住宅ローンを滞納し、保証会社が銀行へ全額を肩代わりした代位弁済の状態になっている場合、猶予はわずかです。

その日から6か月以内に再生手続きを申し立てなければ、住宅ローン特則は使えなくなります。状況ごとの対応は以下のとおりです。

延滞なし・延滞初期家計収支を見直し、早めに専門家に相談する。
代位弁済から6か月以内早急に申立て準備をして、期限内に裁判所へ提出する。
代位弁済から6か月超住宅ローン特則の利用は難しくなるため、任意売却や他の債務整理を検討する。

選択肢が狭まると、債務整理にさらなる時間を要する可能性があります。滞納していても家を手元に残したいのであれば、早急に個人再生の手続きを始めましょう。

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個人再生と住宅ローンに関するよくある質問

Q&Aの積み木と家の模型

個人再生と住宅ローンに関する質問や疑問をまとめました。手続き時や手続きを本格的に検討する際の参考にしてください。

Q. 個人再生をした後に住宅ローンは組める?
Q. 個人再生をした後、何年住宅ローンは組めなくなりますか?
Q. 個人再生で住宅ローンの巻き戻しは認められますか?
Q. 住宅ローンを滞納しても個人再生は認められますか?
Q. 個人再生で住宅ローン特則を使えない場合はどうしたらよいですか?

Q. 個人再生をした後に住宅ローンは組める?

A. 個人再生をした後、一生ローンが組めなくなるわけではありません。信用情報が回復すれば、再び審査を受けられます。

ただし、事故情報の記録が消えた後も、金融機関は独自の基準で審査します。過去にトラブルがあった銀行は避ける、頭金をしっかり準備する、といった工夫が重要です。

Q. 個人再生をした後、何年住宅ローンは組めなくなりますか?

A. 一般的には、個人再生の手続きから約5年〜7年程度はローンを組むのが難しくなります。

ローンを組めなくなる期間は信用情報機関によって異なり、JICCやCICでは5年、全国銀行個人信用情報センター(KSC)では7年を超えない期間が登録の目安です。

Q. 個人再生で住宅ローンの巻き戻しは認められますか?

A. 住宅ローンの代位弁済が行われた日から6か月以内に個人再生を申し立てれば、巻き戻しが認められる場合があります。

手続きが認められると、保証会社が行った支払いはなかったものとみなされ、元の分割払いを続ける権利が復活します。

6か月を過ぎると巻き戻しは認められないため、早めに準備を済ませるのが望ましいです。

Q. 住宅ローンを滞納しても個人再生は認められますか?

A. 滞納している最中であっても、家計収支に問題がなく、他の借金を3年から5年で返していける見込みがあると判断されれば、再生計画は認められます。

手続き中は競売を中止させる命令を出せる場合がありますが、滞納分も計画期間内に支払う必要があるため、返済計画は緻密である必要があります。

Q. 個人再生で住宅ローン特則を使えない場合はどうしたらよいですか?

A. 住宅ローン特則を利用できない場合は、任意売却も選択肢になります。任意売却では、市場価格に近い金額で住宅を売却できる可能性がありますが、債権者の同意や売却期限が必要です。

一方、競売までに売却を完了する必要があるため、任意売却に対応した不動産会社や弁護士へ早めに相談する必要があります。

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まとめ

書籍を読みながら指を立てる弁護士

個人再生時に住宅ローン特則を利用すれば、カードローンなどの負債を圧縮しつつ、マイホームを残すことが可能です。ただし、保証会社による代位弁済から6か月以内という期限や、複雑な利用条件を満たさなければなりません。

滞納や差押えが迫っている場合でも、早期に手続きを進めれば事態を回避できる可能性があります。

千代田中央法律事務所では、住宅などの財産を守りつつ債務を整理する手段を、個人再生を含めてご提案します。住宅を手元に残しつつ再起を図りたい人は、無料相談をご活用ください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。