借金の返済が苦しくなり、個人再生を検討する際に「手続きにどれくらいの時間がかかるのか」と不安を感じる人は少なくありません。
個人再生は、裁判所への申立てから認可まで約6か月程度かかるのが一般的です。弁護士への相談や書類準備の期間を含めると、全体で6か月〜1年程度を見込む必要があります。
本記事では、個人再生の期間について、督促が止まるタイミングから返済完了、信用情報の回復時期まで、手続きの全体像を詳しく解説します。
個人再生にかかる期間・手続きの流れ

個人再生は、専門家への相談、申立て、開始決定、認可という流れで進んでいき、全体で6か月から1年程度の期間を見込むのが一般的です。それぞれの段階ですべきタスクが異なるため、事前にかかる期間や流れを把握しておきましょう。
| 段階 | 期間の目安 |
|---|---|
| 相談から申立て準備まで | 約1か月〜数か月 |
| 申立てから開始決定まで | 約1か月 |
| 開始決定から認可決定まで | 約4か月〜6か月 |
個人再生自体についてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所
相談から申立て準備まで:約1か月〜数か月
個人再生の準備期間は、実務上もっとも個人差が出やすく、解決までにかかる期間に影響しやすいフェーズです。
弁護士に依頼すると、債権者へ受任通知が送付されます。受任通知が債権者に届くと、貸金業者などから本人への直接の督促は原則として止まります。
その後、住民票・所得証明・通帳のコピーといった財産資料などの各種書類を用意します。東京地方裁判所などの運用では、直近2か月分の給与明細や家計全体の状況を証明する書類の提出が必要です。
書類の準備が遅れるほど、申立て時期も先送りされます。
申立てから開始決定まで:約1か月
裁判所に個人再生の申し立てを行うと、書類審査や補正対応を経て、約1か月を目安に再生手続開始決定が出されます。ただし、裁判所や事案によって期間は異なる点に注意が必要です。
開始決定時には、東京地裁など一部の裁判所では、将来の返済可能性を確認するため、申立後に履行テストが行われることがあります。履行テストでは、裁判所が指定した期限までに毎月決まった金額を振り込まなければなりません。
履行テストで遅れや不足が続くと、返済能力に疑問を持たれ、手続きに悪影響が出るおそれがあります。
開始決定から認可決定まで:約4か月〜6か月
審査の最終段階では、どのように借金を返していくかをまとめた再生計画案を作成し、裁判所の認可を目指します。この期間には、債権者が減額に反対しないかを確認する書面決議や、裁判所の意見聴取といったプロセスも含みます。
認可が確定すると、翌月から減額された後の返済が始まります。返済期間は原則3年、特別な事情がある場合は最長5年です。
認可決定をもって個人再生が終了するのではなく、認可直後から本格的に返済や家計の再建が始まると考えておきましょう。
個人再生の期間が変動する主な要因

個人再生の手続きを終えて生活を再建するまでの期間は、居住地域や準備の状況によって変わります。
申立てから認可までは約6か月が目安ですが、全体の期間は状況次第で1年程度まで延びるケースも少なくありません。
個人再生の手続き期間が変動する主な要因について見ていきましょう。
裁判所による運用の違い
個人再生の手続きは全国共通の法律で行われますが、細かなルールは各地域の裁判所の判断に任されています。東京地方裁判所では、手続き開始から認可確定まで約6か月が目安とされていますが、どの地域も開始決定までの期間が同じとは限りません。
また、裁判所によって選任され、資産や収入を細かくチェックする立場である個人再生委員が選任されるかどうかによっても、必要な期間や費用が変わります。
このほか、持ち家を手放さずに個人再生できる住宅ローン特則を使う場合も、金融機関との調整で期間が延びやすくなります。
提出書類の不足・修正対応
手続きが滞る主な原因は、提出書類の整合性が取れていないことです。裁判所は直近2か月分の給与明細や家計全体の状況を詳しく記した書類を隅々までチェックし、返済能力を厳しく審査します。家計表の数字と通帳の残高が一致していなかったり、入出金の説明ができなかったりすると、追加説明を求められます。
書類の不備を繰り返すと、手続きが強制的に終了する可能性もあるため、正確に提出すべきものを整理しておきましょう。
依頼する専門家の事務スピード
弁護士に依頼してから申し立てるまでの準備期間は、専門家の対応力や事務所の体制によって変動します。受任通知を送れば督促は止まりますが、その後の債権調査などが遅れると、申立てまでの期間が延びます。
実務上、準備期間には多少の幅があります。個人再生の実績が豊富な専門家を選ぶのが重要です。
個人再生の返済期間はどれくらい?

裁判所から再生計画案が認められると、返済が始まります。返済期間は法律や裁判所のルールによって基本的な長さが定められているため、事前の収支シミュレーションが不可欠です。個人再生の返済期間について解説します。
認可後は原則3年
裁判所から再生計画案が認められた後の分割返済は、原則として3年間です。基本的には、認可が確定した月の翌月から、決まった金額を支払っていきます。
3年間のうちに、借金返済に加えて家計を管理する方法を身につけ、借金に安易に頼らない生活習慣をつくるのが望ましいです。
特別な事情がある場合は最長5年まで延長可能
以下のように、裁判所が認めた特別な事情がある場合に限り、返済期間は最長5年まで延長できます。
- 病気や怪我で収入が急減した場合
- 住宅ローン特則を利用しており毎月の合計支払額が生活を圧迫する場合
返済期間を延ばすと、完済までの期間が長くなります。信用情報の登録期間は機関や登録内容によって異なるため、将来ローンを検討する場合は、各信用情報機関への開示請求で登録状況を確認しましょう。
返済期間中は計画どおりの支払いが求められる
返済期間が始まったら、再生計画どおりに遅延なく支払いを続ける必要があります。返済が滞ると再生計画が取り消され、減額された借金が元の金額に戻ってしまう点に注意しなければいけません。
支払いが本当に苦しくなった場合は、再生計画案の変更や、事情に応じて支払いを免除・変更してもらう「ハードシップ免責」の活用も検討するとよいです。
ただし、ハードシップ免責は認められる条件が厳しいため、まずは支払いに遅れないことを日頃から意識しましょう。
個人再生で信用情報機関に登録される期間はどれくらい?

個人再生の手続きをすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。手続きが終わっても事故情報は一定期間残り続け、登録期間も信用情報機関によって異なります。事故情報の登録期間や注意点について理解しておきましょう。
事故情報は5年〜7年残る
事故情報は信用情報機関によって登録される期間が異なります。具体的には以下のとおりです。
| CIC | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| JICC | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| 全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 破産・民事再生手続開始決定等の日から7年を超えない期間 |
CICやJICCでは、借金を完済して契約が終わってから5年程度で情報が消えるのが一般的です。
一方、銀行が加盟する全国銀行個人信用情報センターは、官報(国が発行する公報)に掲載される民事再生の手続き開始の事実をもとに情報を登録するため、開始決定から7年ほど記録が保持されます。
信用情報が登録される期間は、信用情報機関や登録内容、契約終了時期によって異なります。個人再生後にローンを検討する場合は、完済後に各信用情報機関へ開示請求を行い、登録状況を確認しましょう。
期間中はクレジットカードやローンの契約が難しくなる点に注意
事故情報が登録されている間は、新しくクレジットカードをつくったりローンを組んだりすることが難しくなります。
住宅ローンや自動車ローンに加え、スマートフォン端末の分割払い審査にも影響が及びます。このほか、信販系保証会社を利用する物件では、信用情報が審査に影響する場合があります。
端末は一括払いで購入する、入居審査は信販系以外の保証会社を利用している物件を選ぶ、引越しを延期するといった工夫で、生活の再建を進めましょう。
登録状況は開示請求で確認できる
自分の信用情報の状態は、各機関に対して開示請求することで確認できます。CICやJICCはスマートフォンからオンラインで申し込みができるため、自宅や外出先からでも確認が可能です。銀行系の機関も郵送やオンラインでの確認に対応しています。
返済が終わってから数年が経ち、新たにローンを組む際に信用情報を確認したいときは、開示請求をして問題ないかチェックしておくと安心です。
個人再生の期間に関するよくある質問

個人再生の期間に関する質問や疑問をまとめました。手続きを検討する際の参考にしてください。
Q. 個人再生の最短期間は?
Q. 自己破産と個人再生ではどちらが期間が長いですか?
Q. 個人再生でブラックリストになる期間はどれくらいですか?
Q. 借入期間が短い場合、個人再生はできますか?
Q. 個人再生の最短期間は?
A. 裁判所へ書類を提出してから再生計画の認可が確定するまでの最短期間は、おおむね6か月前後です。ただし、この期間は裁判所での審査期間を指しており、書類収集などの準備期間は含まれていません。
実際には弁護士への相談から債権調査・家計の整理などでさらに数か月かかるため、相談から認可までは1年程度を見込んでおくのがよいです。
Q. 自己破産と個人再生ではどちらが期間が長いですか?
A. 自己破産は、同時廃止事件か管財事件かによって期間が大きく異なります。個人再生は再生計画案の作成や債権者対応が必要なため、自己破産より長くなる傾向があります。
個人再生が長引く理由は、減額された借金を原則3年かけて返済する再生計画案を作成する過程があるためです。解決までの見通しを立てる際は、認可後の返済期間も含めて考えていきましょう。
Q. 個人再生でブラックリストになる期間はどれくらいですか?
A. 個人再生でブラックリストになる期間は、5〜7年程度が目安です。
信用情報に事故情報が登録されるブラックリスト状態の期間は、情報を管理する機関によって異なります。
クレジットカード会社や消費者金融が加盟するCIC・JICCは契約期間中および契約終了後5年以内、銀行などが加盟する全国銀行個人信用情報センター(KSC)の場合は、破産・民事再生手続開始決定等の日から7年です。
Q. 借入期間が短い場合、個人再生はできますか?
A. お金を借りてから申し立てまでの期間が短いこと自体で、制度が使えなくなるという決まったルールはありません。
ただし、個人再生は「継続的に収入を得る見込み」があることを重視する手続きです。借入れから申立てまでの期間が短い場合、借入れの経緯や返済可能性について説明を求められることがあります。収入や家計状況を整理し、再生計画を履行できる根拠を示すことが重要です。
個人再生の具体的な条件について知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
個人再生の条件とは?できないケースやメリット・デメリットも解説 | 千代田中央法律事務所
まとめ

個人再生の期間は、専門家への相談から認可まで一般的に1年程度、裁判所の手続きだけでも約6か月を要します。必要書類をスムーズに揃えれば、手続きの長期化を避けられるでしょう。
認可後は原則3年の分割返済が始まりますが、計画どおり完済していけば生活再建の可能性も高まります。認可までの手続きは複雑で高度な知識が求められるため、専門家へ相談するのが望ましいです。
千代田中央法律事務所では、個人再生に関する相談を受け付けています。現状にあった最善の解決策で、生活の立て直しを目指しましょう。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

