民事再生・個人再生

個人事業主が個人再生する際のポイントや条件、メリット・デメリットを解説 | 千代田中央法律事務所

紙幣と硬貨と電卓、返済の文字 民事再生・個人再生

個人再生は、事業を継続しながら借金問題を根本から解決できる有効な制度です。

しかし、「仕事道具や家を失うのではないか」「廃業するしかないのか」と不安を感じている個人事業主の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、個人再生の仕組みや利用条件について、自己破産や任意整理との違いを交えて具体的に解説します。

また、事業主特有のメリット・デメリット、手続きの具体的な流れや必要書類についてもわかりやすく紹介しています。

資産を守りながら負債を大幅に減らす仕組みを正しく理解することで、大切な事業と生活を再建するための具体的なプランが見えてくるでしょう。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

目次
  1. 個人事業主の個人再生とは
    1. 個人再生は借金を減らして分割返済する仕組み
      1. 法定最低弁済額(借金総額による基準)
      2. 清算価値保障原則(資産総額による基準)
    2. 小規模個人再生と給与所得者等再生は異なる
    3. 任意整理・自己破産との比較
  2. 個人事業主が個人再生できる条件
    1. 負債総額が5000万円以下である場合
    2. 返済不能に陥るおそれがある場合
    3. 将来的に継続収入が見込める場合
    4. 債権者の合意が得られる場合
  3. 個人事業主が個人再生を利用するメリット
    1. 1. 借金元本を最大10分の1まで減らせる可能性がある
    2. 2. 住宅ローン特則によりマイホームの支払いをしながら手続きできる
    3. 3. 借金の原因を問われにくい
  4. 個人事業主が個人再生をする際のデメリット
    1. 信用情報に事故情報が登録される
    2. 官報の掲載がきっかけで周囲に知られるおそれがある
    3. 保証人付きの債務は保証人に請求が及ぶ
  5. 個人事業主が個人再生の際に準備する書類
    1. 【基本的な書類】申立書・債権者一覧・財産目録など
      1. 申立書
      2. 債権者一覧表
      3. 財産目録
    2. 【資産や収入を裏付ける書類】確定申告書・帳簿・通帳など
      1. 確定申告書の控え
      2. 売上台帳・試算表
      3. すべての銀行口座の通帳写し
    3. 【現在の資金状況がわかるもの】家計収支・事業収支など
      1. 家計収支表
      2. 事業収支表
  6. 個人事業主が個人再生する際の流れ
    1. 1. 弁護士に相談して手続きを依頼する
    2. 2. 受任通知を発送して取り立てを制限する
    3. 3. 家計簿や債権一覧など必要書類を準備する
    4. 4. 裁判所へ個人再生の申立てをする
    5. 5. 再生計画案を提出する
    6. 6. 履行テストを行い問題なければ認可が決定する
  7. 個人事業主の個人再生に関するよくある質問
    1. Q. 個人再生にかかる費用はどのくらい?
    2. Q. 確定申告をしてない場合も個人再生を利用できる?
    3. Q. 個人再生後に利用しても事業を継続できる?
  8. まとめ

個人事業主の個人再生とは

空の財布をあける手

個人事業主の個人再生について、以下のポイントにまとめて解説します。

個人再生については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

個人再生は借金を減らして分割返済する仕組み

個人再生は、負債総額に応じて5分の1〜10分の1(最低100万円)まで圧縮し、残った負債を3〜5年かけて分割返済する手続きです。計画通りに完遂すれば、残りの債務はすべて免除されます。

返済額を決定する際には「法定最低弁済額」または「清算価値保障原則」のうち、金額が高い方が採用されます。

法定最低弁済額(借金総額による基準)

法定最低弁済額(借金総額による基準)とは、住宅ローンを除く負債総額に応じ、法律で決められた最低限支払うべき金額です。

負債総額(住宅ローン除く)最低限返済が必要な額
100万円未満借金の全額
100万円以上 〜 500万円未満100万円
500万円以上 〜 1,500万円未満借金の5分の1
1,500万円以上 〜 3,000万円未満300万円
3,000万円以上 〜 5,000万円以下借金の10分の1(500万円)

清算価値保障原則(資産総額による基準)

清算価値保障の原則とは、自己破産をした場合「債務者の財産を売って回収できたはずの金額」のことです。

個人再生は財産を没収されない代わりに、財産を全部売ったときと同等以上の金額は分割で返済するというルールになっています。

特に個人事業主は、以下のものが財産としてカウントされる可能性があります。

  • 仕事の道具: 車両、機械、パソコン、什器など
  • 商売のお金: まだ入金されていない売掛金、商品在庫
  • 個人の資産: 預貯金、不動産、保険の解約返戻金

資産価値が高いほど返済額が増える傾向にあるため、まずは正確な資産評価が再建計画の鍵となります。

小規模個人再生と給与所得者等再生は異なる

個人再生には、主に個人事業主が利用する小規模個人再生と、サラリーマンなどが利用する給与所得者等再生の2種類が存在します。

事業主が手続きを進めるための主な要件は、以下のとおりです。

  • 住宅ローンを除いた無担保の借金総額が5,000万円以下である
  • 将来にわたって継続的、または繰り返し収入を得る見込みがある

とくに収入の継続性は、裁判所から必ずチェックを受けるポイントです。

過去2~3年分の確定申告書や直近の試算表などを提出し、一時的な利益ではない安定した事業継続能力を証明しなければなりません。

また、小規模個人再生では、作成した再生計画案に対して債権者のみなし同意(積極的な賛成は不要で、一定数以上の反対がなければ同意とみなされる方式)が必要です。具体的には、債権者の過半数、または債権額の半分を超える反対があった場合に手続きは失敗します。

任意整理・自己破産との比較

債務整理の主な種類として、個人再生・任意整理・自己破産の3つがあげられます。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

手続きの種類借金の減り方適用できる主な条件向いている人
個人再生元本を大幅カット継続的な収入がある資産を守りながら再建したい方
任意整理利息をカット安定した収入がある特定の借金だけ整理したい方
自己破産全額免除支払い不能の状態借金額が多い、就労できないなど、自力での再建が難しい方

任意整理は、特定の債権者と個別に交渉し、将来利息のカットなどを目指す手続きです。裁判所を通さないため迅速ですが、元本そのものを大幅に減らすことは難しく、負債額が大きい場合は解決できません。

自己破産では、すべての借金の支払い義務が免除されますが、原則として20万円を超える価値のある財産は処分・配当の対象となります(生活必需品や99万円以下の現金など、法律上保護される自由財産を除く)。資格制限により一定期間就けない職業があるなど、事業継続には不向きな側面があります。

自己破産について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

自己破産とは?手続きの進め方や条件、費用相場、注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主が個人再生できる条件

ノートとペン

ここでは、個人事業主が個人再生できる条件について詳しく解説します。

要件を一つずつ確認し、自身が対象となるかを冷静に判断していきましょう。

負債総額が5000万円以下である場合

個人再生をおこなうための前提条件として、住宅ローンを除いた負債総額が5,000万円以下でなければなりません。

この負債額には、一例として以下のようなものが含まれます。

  • 銀行融資(公的融資)
  • カードローン
  • 買掛金
  • リース契約の残債

一方で、所得税や消費税、社会保険料といった公租公課は、この5,000万円の枠には含まれません。これらは一般優先債権として扱われ、個人再生の手続きとは別に全額を支払う義務があります。

たとえ税金の滞納が多額であっても、それ以外の借金が5,000万円以内であれば、手続きを進められる可能性があります。

返済不能に陥るおそれがある場合

裁判所に個人再生を認めてもらうためには、客観的に見て、支払不能のおそれがあることを示す必要があります。

裁判所は提出された家計簿や資金繰り表を精査し、無理な返済が事業継続を阻害しているかを審査します。

このまま放置すれば廃業を避けられないという危機的な状態であれば、個人再生による債務圧縮をおこなう正当な理由として認められやすくなります。

将来的に継続収入が見込める場合

個人再生の成功を左右する大きな要因は、将来的に借金を返済できるかどうかです。

事業主はサラリーマンと比較して収益の変動が激しいため、裁判所から返済能力を細かく問われる傾向があります。

認可を得るためには、確定申告書や試算表、今後の収支見込みを盛り込んだ事業計画が必要です。

現在の収支が赤字であっても、具体的な改善策によって返済原資を捻出できる見込みがあれば、将来の返済能力が認められるケースもあります。

債権者の合意が得られる場合

小規模個人再生の手続きが認められるためには、反対した債権者の数が全債権者の半数未満であり、かつ反対した債権額の合計が全債権額の半分を超えていないことが条件となります。

実務上は、大手金融機関などが反対する例は少ないとされていますが、あくまで判断は個々のケースにより異なります。

これは、自己破産によるゼロ回収よりは、計画的な返済を受ける方が経済的合理性が高いと判断されるためです。

合意を円滑に得るためには、資産隠しなどの不誠実な行為をおこなわず、透明性の高い情報開示に努める姿勢が求められます。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主が個人再生を利用するメリット

メリットの積み木

ここでは、個人再生のメリットを3つ詳しく解説します。

  1. 借金元本を最大10分の1まで減らせる可能性がある
  2. 住宅ローン特則によりマイホームの支払いをしながら手続きできる
  3. 借金の原因を問われにくい

制度を活用することで、どのような経済的・精神的なメリットを享受できるのかを確認しましょう。

1. 借金元本を最大10分の1まで減らせる可能性がある

個人再生のメリットは、利息のカットにとどまらず、借金元本そのものを大幅に削減できる点です。

裁判所に提出した再生計画案が認められれば、負債総額に応じて圧縮される可能性があります。

たとえば負債が4,000万円あるケースでは、清算価値がそれを下回っていれば、返済額を400万円まで減らせるケースも考えられます。3~5年で分割返済していくため、月々の負担を軽くして、生活を安定させることが可能です。

2. 住宅ローン特則によりマイホームの支払いをしながら手続きできる

住宅資金特別条項、通称「住宅ローン特則」は、自宅を所有する債務者にとって心強い制度です。

この特則を利用することで、住宅ローンを支払いながら、他の一般の借金だけを大幅にカットできます。

具体的には以下のメリットがあるでしょう。

  • 自宅を失うことなく手続きが進められる
  • 引っ越し費用や新たな事務所の契約コストを回避できる
  • 家族の生活環境を維持できるため、精神的な不安が少ない

自己破産では、マイホームは処分の対象となりますが、個人再生であれば自宅に住み続けながら再起を図ることが可能になります。

3. 借金の原因を問われにくい

個人再生は、借金を作ってしまった経緯や理由が、手続きの成否に直接影響しないことが特徴です。

たとえ借金の原因がギャンブルや私的な遊興費、あるいは強気な投資による経営判断のミスであったとしても、法的なペナルティを受けることなく手続きを進められます。

裁判所がこの制度で重視するのは、過去に何をしたかではなく、決まった返済額を将来にわたって最後まで払い続ける能力があるかという点です。

どのような借金であっても、返済計画を完遂する意欲さえあれば、裁判所から平等に再起のチャンスを与えられます。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主が個人再生をする際のデメリット

デメリットの積み木

次に、個人再生のデメリットについて詳しく解説します。

デメリットを具体的に把握することで、事前に対策を講じやすくなるでしょう。

個人再生のデメリットについては、こちらの記事でも解説しています。

個人再生の8つのデメリットと対策|メリットや具体的な流れも解説 | 千代田中央法律事務所

信用情報に事故情報が登録される

個人再生の手続きを開始すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。

これにより、手続き開始(認可決定)から約5〜7年の間は、新規融資やクレジットカードの発行、ローンなどが制限されます。

デビットカードの活用や、銀行振込での対応など、現金中心で生活や事業をおこなえるよう準備しておくことが重要です。

官報の掲載がきっかけで周囲に知られるおそれがある

裁判所で手続きが始まると、官報に住所や氏名が掲載されます。

官報は一般の方が日常的に目にする媒体ではありませんが、金融機関や信用調査会社はチェックしています。

そのため、以下の点には注意が必要です。

  • 金融機関などの与信管理担当者に知られる可能性がある
  • 官報の情報をもとにした、ダイレクトメールが届く
  • 新規の大きな取引をおこなう際、相手方の信用調査で発覚するリスクがある

周囲に知らせるかどうか、その場合どのように伝えるかなどは、あらかじめ検討しておくとよいでしょう。

保証人付きの債務は保証人に請求が及ぶ

個人再生でもっとも注意すべき点が、保証人への影響です。

債務者自身の借金が個人再生で減額されたとしても、保証人の支払い義務が減ることはありません。

個人再生の申し立てをおこなった時点で、債権者は保証人に対して残額の一括請求をおこなうのが一般的です。

親族や知人が保証人になっている場合、多大な迷惑をかけるだけでなく、人間関係に修復不可能な亀裂が生じるリスクがあります。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主が個人再生の際に準備する書類

必要書類と書かれたバインダー

ここでは、個人再生の際に準備する書類を解説します。

種類主な書類
基本的な書類・申立書
・債権者一覧表
・財産目録
資産や収入を裏付ける書類・確定申告書の控え
・売上台帳・試算表
・すべての銀行口座の通帳写し
現在の資金状況がわかるもの・家計収支表
・事業収支表

書類に不備があると手続きが長期化するため、丁寧にチェックしながら準備しましょう。

【基本的な書類】申立書・債権者一覧・財産目録など

まず、手続きの土台となる以下の基本書類を揃えます。

申立書

個人再生を開始したい旨を裁判所に伝える公式な書類です。住所氏名などの基本情報のほか、借金に陥った経緯などを記載します。

債権者一覧表

すべての借入先を網羅したリストです。銀行やカード会社はもちろん、知人や親族、買掛金のある仕入れ先などもすべて正直に記載しなければなりません。

財産目録

預貯金だけでなく、仕事で使っている車両、機械、パソコン、さらには未回収の売掛金や在庫も「資産」としてすべて書き出します。

【資産や収入を裏付ける書類】確定申告書・帳簿・通帳など

次に、現在の事業実態と、返済し続ける力を証明する資料を揃えます。

確定申告書の控え

確定申告書の控えは、直近2〜3年分が必要です。

現在は税務署の受領印が廃止されているため、電子申告の受領通知(メール詳細)や、書面提出時の申告書等提出証明書などをセットで用意しておくとよいでしょう。

売上台帳・試算表

確定申告後の現在の経営状況を示す資料です。帳簿が未整理の場合は、この機会に数字を正しく整理し、経営の透明性を高める必要があります。

すべての銀行口座の通帳写し

過去1〜2年分を、仕事用・個人用問わず提出します。裁判所が、不自然なお金の動きや隠し口座がないか確認します。

【現在の資金状況がわかるもの】家計収支・事業収支など

日々の暮らしと、個人事業主としての事業における現金の流れを可視化する資料も作成します。

家計収支表

家計収支表には、世帯全体の収入と、食費や光熱費などの支出を2〜3か月分、細かく記録します。

事業収支表

農家や建設業のように季節で売上が変動する場合、年間平均で返済が可能であることを論理的に説明するための重要な資料です。裁判所は、事業資金と生活費の混同を強く懸念します。

私的な流用がないかチェックするため、家計管理の規律を示すことが認可を勝ち取るための大きなポイントとなります。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主が個人再生する際の流れ

文字を書こうとするビジネスマン

個人事業主が借金を整理し、事業を立て直すための手続きには、法律で定められた明確なステップがあります。一つひとつの工程を正しく理解し、着実に進めることが再起を確実にする道となります。

  1. 弁護士に相談して手続きを依頼する
  2. 受任通知を発送して取り立てを制限する
  3. 家計簿や債権一覧など必要書類を準備する
  4. 裁判所へ個人再生の申立てをする
  5. 再生計画案を提出する
  6. 履行テストを行い問題なければ認可が決定する

事前に全体の流れを把握しておくことで、優先順位が明確になり、スムーズに再出発の準備を整えられます。

1. 弁護士に相談して手続きを依頼する

返済が滞り、個人再生を検討し始めたら、まずは債務整理の経験が豊富な弁護士に相談しましょう。

個人事業主の再生は、売上の変動や経費の処理など会社員より複雑なため、プロの目線で本当に返済を続けていけるかのシミュレーションをおこなうことが大切です。

正式に依頼をすると費用が発生しますが、多くの事務所で分割払いが可能です。

弁護士は現状を分析し最適な戦略を立ててくれるだけでなく、複雑な書類作成や裁判所とのやり取りをすべて代行してくれるため、経営再建に集中できる環境を作れます。

2. 受任通知を発送して取り立てを制限する

弁護士と契約を結ぶと、すぐに全債権者へ受任通知が送付されます。

これは弁護士が債務者の代理人になったことを知らせる公式な書面で、これが相手に届いた瞬間に、直接の督促や取り立ては法律によって制限されます。

返済も一時的に停止となるため、その間に生活を立て直し、手続きに必要な費用を準備できます。

ただし、借入のある銀行口座は凍結される可能性があるため、事前に売掛金の入金先を変更しておくなどの対策を講じておくと安心です。

3. 家計簿や債権一覧など必要書類を準備する

取り立てが制限されている間に、裁判所へ提出するための大量の書類を準備します。

特に、債権一覧表や、直近の売上がわかる通帳のコピーなどは、審査の合否を分ける重要な資料です。

不備や提出の遅れがあると手続きが中断されるおそれもあるため、弁護士のサポートを受けながら確実に揃えましょう。

この作業は、自身の支出や事業の収支を徹底的に見直す機会でもあり、どんぶり勘定を改めて規律ある経営へと脱皮するきっかけになります。

4. 裁判所へ個人再生の申立てをする

必要書類が揃ったら、居住地を管轄する裁判所へ正式に申し立てをおこないます。

受理されると、裁判所によって個人再生委員が選任される場合があります。個人再生委員とは、中立的な立場で財産状況を確認し、手続きを補助する専門家です。

個人再生委員から追加の資料を求められた際には、隠しごとなく誠実に対応することが鉄則です。

5. 再生計画案を提出する

個人再生の手続きが順調に進むと、最終段階として再生計画案を提出します。再生計画案とは、大幅に減額された借金を、今後どのようなスケジュールで返済していくかをまとめた計画書です。

再生計画案には、毎月の返済額や3〜5年の返済期間を具体的に記載します。無理のある計画ではその後の認可が得られないため、事業の見通しを考慮しながら、弁護士と相談して現実的な内容を作成することが重要です。

この計画案が債権者の同意を得て裁判所に認められれば、認可決定へと進みます。

6. 履行テストを行い問題なければ認可が決定する

再生計画案の提出後、裁判所では履行テストと呼ばれる試験的な積立がおこなわれます。

履行テストとは、実際に計画通りの金額を数か月間継続して積み立てられるかを確認し、返済能力を最終チェックする試験期間です。

履行テストをクリアすれば裁判所から正式に認可が下り、負債の大幅カットが確定します。

ここで一度でも遅れが生じると、完遂する能力なしと見なされ、認可が下りないおそれがあるため、期限はかならず守りましょう。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

個人事業主の個人再生に関するよくある質問

はてなマークと人形

最後に、個人再生に関するよくある質問について詳しく解説します。

Q. 個人再生にかかる費用はどのくらい?
Q. 確定申告をしてない場合も個人再生を利用できる?
Q. 個人再生後に利用しても事業を継続できる?

不安や疑問を解消しておくことは、再出発に向けた意思を固めるために不可欠です。

Q. 個人再生にかかる費用はどのくらい?

A. 個人再生の手続きにかかる弁護士費用の相場は50~60万円ほどですが、裁判所に納める予納金(再生委員が選任された場合は別途15万円前後)が加算される場合があります。

多くの弁護士事務所では分割払いに対応しているため、まとまったお金がない場合でも、まずは相談してみることを推奨します。

個人再生の費用についてさらに詳しくは、以下の記事でご確認ください。

個人再生の費用の相場は?負担を抑える方法や払えない場合の対処法を解説 | 千代田中央法律事務所

Q. 確定申告をしてない場合も個人再生を利用できる?

A. 未申告の状態で個人再生を利用することは、極めて困難です。

裁判所は返済能力の根拠として確定申告書を重視するためです。

未申告の期間がある場合は、申し立ての前に期限後申告をすべて済ませましょう。

Q. 個人再生後に利用しても事業を継続できる?

A. 個人再生後の事業継続は可能です。

個人再生の場合、仕事に使う車両や機械、売掛金などを守りながら借金だけを整理できるため、事業に影響を与えにくいといえます。

ただし、数年間は銀行融資が受けられない期間があるため、資金繰りについてはより一層注意しましょう。

個人再生を借り入れに頼らず手元の現金だけで回すキャッシュ経営に改善するきっかけと捉え、地に足のついた事業運営を目指しましょう。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

まとめ

四つ葉のクローバー

借金の返済に追い詰められた個人事業主にとって、個人再生は事業継続と負債の大幅カットを同時に実現し得る選択肢です。

マイホームや商売道具を守りながら、再起に向けた計画を立てることで、再び経営に集中できる環境を取り戻せる可能性があります。

個人再生を成功させる鍵は、収支状況の正確な把握と、裁判所に認められる書類準備にあります。

手続きは複雑で専門的な知識が求められるため、手遅れになる前に債務整理に強い弁護士へ相談することがおすすめです。

プロのサポートを受けることで、心理的な負担を軽減しながら事業再興への一歩を踏み出すことができるでしょう。

>>個人再生に強い千代田中央法律事務所について詳しく見る

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。