自己破産を検討しているものの、「自己破産すると生活はどうなるのか」「家族や仕事に影響はあるのか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
自己破産には、借金の返済義務が免除されるというメリットがある一方で、信用情報への影響や処分の対象となる財産など、事前に理解しておくべき注意点もあります。また、家族や勤務先への影響については、誤解されている情報も少なくありません。
本記事では、自己破産するとどうなるのかについて、家族・仕事・財産・生活への影響を中心にわかりやすく解説します。自己破産後の生活を立て直すポイントや、よくある誤解についても紹介していますので、手続きを検討している方はぜひ参考にしてください。
自己破産するとどうなる?

自己破産は、返済が困難になった方が生活を立て直すための法律上の手続きです。免責が認められると、多くの借金の支払い義務が免除されます。
一方で、信用情報や財産、仕事、家族への影響もあるため、正しく理解しておくことが大切です。ここでは、自己破産のメリットとデメリットを紹介します。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・免責が認められると多くの借金の支払い義務が免除される ・債権者からの督促や差し押さえをストップできる ・最低限の財産を残して借金を帳消しにできる | ・信用情報に影響し、クレジットカードやローンが一定期間利用しにくくなる ・スマートフォンの分割払いの審査に通りにくくなる ・賃貸の入居審査に影響が出ることがある ・管財事件では手続き中の旅行・引越しに制限がかかる場合がある |
自己破産の基本的な内容については、以下の記事にわかりやすくまとめています。
自己破産とは?手続きの進め方や条件、費用相場、注意点を解説 | 千代田中央法律事務所
自己破産のメリット
自己破産には、借金の支払い義務が免除されるだけでなく、督促や差し押さえを止められるなど、生活再建につながるメリットがあります。
免責が認められると多くの借金の支払い義務が免除される
自己破産のメリットは、裁判所から免責許可を受けることで、借金の支払い義務が免除される点です。消費者金融やクレジットカード、銀行カードローンなどの借金は原則として支払う必要がなくなります。
税金や養育費など一部の支払いは残りますが、返済に追われていた生活から離れ、家計を立て直すきっかけになるでしょう。
債権者からの督促や差し押さえをストップできる
弁護士に自己破産を依頼すると、債権者に受任通知が送られます。受任通知が届くと、貸金業者からの電話や書面による直接の督促は原則として止まります。
また、すでに給与や預貯金の差し押さえを受けている場合でも、手続きによって差し押さえを停止できる可能性があります。弁護士に依頼すれば、督促や差し押さえなどの精神的な負担が軽減され、手続きに集中しやすくなるでしょう。
最低限の財産を残して借金を帳消しにできる
自己破産をしても、すべての財産を失うわけではありません。生活に必要な家具や家電、一定額以下の現金などは、自由財産として手元に残せます。
一方で、持ち家や一定以上の価値がある車、解約返戻金のある保険などは処分対象となります。何を残せるかは財産の種類や金額、裁判所の運用によって異なるため、弁護士に相談し、事前に確認しておきましょう。
自己破産のデメリット
自己破産には生活再建につながる面がある一方で、信用情報・財産・住まいなどに一定の制限が生じる場合があります。
ここでは、自己破産による4つのデメリットを解説します。
- 信用情報に影響し、クレジットカードやローンが一定期間利用しにくくなる
- スマートフォンの分割払いの審査に通りにくくなる
- 賃貸の入居審査に影響が出ることがある
- 管財事件では手続き中の旅行・引越しに制限がかかる場合がある
1. 信用情報に影響し、クレジットカードやローンが一定期間利用しにくくなる
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストと呼ばれる状態になり、一定期間はクレジットカードの作成やローンの審査に通りにくくなります。
登録期間は信用情報機関によって異なりますが、一般的には5〜7年程度が目安です。期間経過後は情報が削除されるため、再び審査を受けられる可能性があります。
自己破産によるクレジットカードやローンへの影響について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
自己破産後でもクレジットカードは使える?代替できる決済手段を紹介 | 千代田中央法律事務所
2. スマートフォンの分割払いの審査に通りにくくなる
自己破産後は信用情報に影響が出るため、スマートフォン本体を分割払いで購入する際の審査に通りにくくなることもあります。
ただし、通信契約そのものが必ず解除されるわけではありません。利用料金の滞納がなければ、現在の回線を使い続けることは可能です。なお、機種変更する場合は、本体を一括購入する方法も検討しましょう。
3. 賃貸の入居審査に影響が出ることがある
自己破産をしても、現在の賃貸住宅に必ず住めなくなるわけではありません。ただし、新しく部屋を借りる際に、信販系の家賃保証会社を利用する物件では、信用情報の影響で審査に通りにくくなるおそれがあります。
独立系の保証会社を利用する物件や、保証会社を使わない物件であれば、問題なく借りられる可能性はありますが、住居選びで一定の制限は生じるでしょう。
4. 管財事件では手続き中の旅行・引越しに制限がかかる場合がある
管財事件とは、一定以上の財産がある場合や、裁判所が詳しい調査が必要と判断した場合に行われる自己破産手続きです。
裁判所が選任した破産管財人が財産や借金の状況を調査するため、手続き中は裁判所の許可なく長期間の旅行や引越しが制限される場合があります。
ただし、この制限は手続きが終わるまでの一時的なものであり、免責許可が確定した後は通常どおり旅行や引越しができます。
自己破産しても免除されない支払い

自己破産で免責が認められると、多くの借金の支払い義務は免除されます。しかし、法律上、自己破産をしても支払い義務がなくならないものもあります。
自己破産後の生活設計にも関わるため、対象となる支払いを事前に確認しておきましょう。
税金や社会保険料は原則として免除されない
所得税や住民税、固定資産税などの税金や、国民健康保険料・国民年金保険料などの社会保険料は、自己破産をしても原則として支払い義務がなくなりません。これらは「非免責債権」と呼ばれ、生活を立て直すための自己破産制度でも免除の対象外です。
滞納したまま放置すると延滞金が発生するほか、自治体などによる差し押さえを受ける可能性もあります。
支払いが難しい場合は、早めに市区町村や年金事務所へ相談し、分割納付などが利用できるか確認することが大切です。
養育費や婚姻費用は免除されない場合がある
子どもの養育費や別居中の配偶者に支払う婚姻費用は、自己破産をしても免除されない債権に該当します。これらは、子どもや配偶者の生活を守るために法律上特別に保護されているためです。
自己破産をしたからといって支払い義務がなくなるわけではなく、原則として引き続き支払う必要があります。
収入の減少などで支払いが難しくなった場合は、一方的に支払いを止めるのではなく、相手方との話し合いや家庭裁判所での調停を通じて金額の見直しを検討しましょう。
罰金や一部の損害賠償は免除されない場合がある
刑事事件で科された罰金や科料、刑事訴訟費用などは、自己破産をしても原則支払い義務は残ります。
また、故意に他人へ損害を与えた場合の損害賠償や、悪質な飲酒運転などによる人身事故の損害賠償も、免責が認められません。一方で、通常の交通事故など過失によって発生した損害賠償については、状況によって免責の対象となります。
ご自身のケースが免責されるか判断が難しい場合は、弁護士へ相談し、一つひとつ確実に手続きを進めていきましょう。
自己破産すると家族はどうなる?

自己破産を検討する際、「家族に迷惑をかけるのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。自己破産は本人の借金を整理するための手続きであり、家族への影響は限定されています。
ここでは、自己破産すると家族がどうなるのか、4つのポイントを解説します。
自己破産による家族の貯金や収入などへの影響について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
自己破産の家族への影響|家族の貯金や収入、家族名義の車や家はどうなる? | 千代田中央法律事務所
1. 家族に借金の返済義務は原則生じない
自己破産をしても、配偶者や親、子どもなどの家族が本人に代わって借金を返済する義務は原則としてありません。
借金は契約した本人が負うものであり、家族が契約者や保証人でなければ返済を求められることはありません。また、自己破産を理由に家族の財産が処分されることも原則ありません。
ただし、家族名義を利用した財産隠しなどが疑われる場合は、裁判所が調査を行うことがあります。
2. 家族が保証人・連帯保証人の場合は請求を受ける可能性がある
家族が借金の保証人や連帯保証人になっている場合は、本人の借金の返済を求められる可能性があります。債権者は、本人が自己破産しても、保証人に対して残っている債務の返済を請求できます。
そのため、保証人となっている家族には事前に事情を説明し、必要に応じて弁護士へ相談しましょう。保証人の状況によっては、任意整理や個人再生など別の債務整理が向いているケースもあります。
自己破産した場合の連帯保証人への影響については、以下の記事にわかりやすくまとめています。
自己破産した場合に連帯保証人はどうなる?影響を抑えるポイントを解説 | 千代田中央法律事務所
3. 家族の信用情報には影響しない
自己破産をしても、事故情報が登録されるのは本人の信用情報のみです。家族の信用情報まで影響を受けることはなく、家族名義でクレジットカードを作成したり、ローンを申し込んだりすることも原則として可能です。
そのため、本人が自己破産したことだけを理由に、家族が住宅ローンや自動車ローンなどの審査を受けられなくなることはありません。
4. 本人が本会員の家族カードは利用できなくなる場合がある
本人が本会員として契約しているクレジットカードは、一般的に自己破産の手続きに伴い利用できなくなります。そのため、そのカードに付帯する家族カードも利用停止となる可能性があります。
ただし、家族自身の信用情報に問題がなければ、新たに家族が本人名義でクレジットカードを申し込むことは可能です。家族カードが使えなくなった場合は、家族名義のクレジットカードやデビットカードなどを利用するとよいでしょう。
自己破産すると仕事はどうなる?

自己破産を検討している方の中には、「会社を辞めなければならないのでは」「勤務先に知られてしまうのでは」と不安を感じる方もいるでしょう。
ここでは、自己破産すると仕事はどうなるのか詳しく解説します。
自己破産だけを理由に解雇されることは原則ない
自己破産をしたことだけを理由に会社から解雇されることは、原則としてありません。自己破産は個人の借金を整理するための制度であり、仕事の能力や勤務態度とは別の問題です。
そのため、自己破産したという事実だけで雇用契約を終了させることは認められないでしょう。ただし、会社のお金を横領したといった、自己破産とは別の理由がある場合は、この限りではありません。
自己破産が会社に知られる原因やバレない対策などを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
自己破産が会社にバレたらクビになるの?会社に知られる原因とバレない対策を解説 | 千代田中央法律事務所
会社に知られる可能性は高くない
自己破産をしたことが、裁判所や債権者から勤務先へ通知されることはありません。そのため、会社に知られる可能性は高くないといえます。
ただし、給与の差し押さえを受けている場合や、退職金見込額証明書などを会社へ依頼する必要がある場合は、事情を知られる可能性があります。また、官報には氏名などが掲載されますが、一般の企業が日常的に確認する可能性は低いでしょう。
一部の職業に一時的な制限がかかる
自己破産では、手続き中に一部の資格や職業で就業制限を受ける場合があります。対象となるのは、警備員や生命保険募集人、宅地建物取引士など法律で定められた資格職です。
ただし、この制限は免責許可が確定するまでの一時的なものであり、手続きが終了すると原則として資格は回復します。対象となる職業に就いている場合は、事前に弁護士へ相談し、具体的な影響を確認しておくと安心です。
自己破産すると財産はどうなる?

自己破産をすると、一定以上の価値がある財産は処分の対象となります。一方で、生活を維持するために必要な財産まで失うわけではありません。
財産の種類や価値によって扱いが異なるため、どのような財産が残せるのかを事前に確認しておきましょう。
持ち家は原則として処分対象になる
自己破産では、本人名義の持ち家は原則として処分の対象となります。住宅ローンが残っている場合は、金融機関によって競売や任意売却などの手続きが進められることが一般的です。
ローンを完済している場合でも、不動産は換価できる財産として売却されることがあります。ただし、個別の事情によって対応が異なることもあるため、自宅を残したい場合は早めに弁護士へ相談しておきましょう。
車は価値やローンの有無によって扱いが変わる
自己破産で車を残せるかどうかは、車の価値やローンの有無によって異なります。ローン返済中の車は、所有権留保が設定されている場合、ローン会社に引き揚げられるのが一般的です。
一方、ローンを完済している場合でも、査定額が一定額を超えると処分対象になることがあります。価値が低い車であれば手元に残せるケースもあるため、査定額を確認した上で状況を把握しましょう。
自己破産による所有している車への影響について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
自己破産で所有している車はどうなる?ローンの有無による違いを解説 | 千代田中央法律事務所
預貯金・保険・退職金は一定額を超えると処分対象になる場合がある
預貯金や生命保険の解約返戻金、退職金見込額なども財産として扱われます。そのため、一定額を超える場合は処分の対象となるケースがあります。
現金は99万円まで、預貯金や保険の解約返戻金・退職金見込額などは20万円前後を目安に、裁判所の判断で自由財産として残せる場合があります。
財産の内容や金額によっては管財事件となる場合もあるため、申立て前に財産状況を整理しておきましょう。
生活に必要な財産は手元に残せる
自己破産をしても、生活を維持するために必要な財産まで処分されるわけではありません。一定額以下の現金や価値の低い預貯金、日常生活で使用する家具・家電、衣類などは自由財産として手元に残せます。
また、賃貸住宅に住んでいる場合は、家賃の滞納がなければそのまま住み続けられます。どの財産が残せるかは裁判所の運用によって異なるため、弁護士に相談し事前に確認しておきましょう。
自己破産に関するよくある誤解

自己破産には、「戸籍に記録されるの?」「仕事や生活ができなくなる?」といった誤解を抱く方もいるでしょう。実際には法律で定められた生活再建のための制度であり、借金を整理したことだけで社会生活に大きな制限を受けるわけではありません。
ここでは、自己破産についてよくある誤解を解説します。
- 戸籍や住民票に記録されることはない
- 年金受給や選挙権などの権利を失うことはない
- 借金滞納でも給与が全額差し押さえられるわけではない
- 生活保護が受けられなくなることはない
- 家賃滞納がなければ強制退去されるとは限らない
- 自己破産の事実が周囲に知られる可能性は低い
戸籍や住民票に記録されることはない
自己破産をした事実が、戸籍や住民票に記載されることはありません。そのため、戸籍謄本や住民票を取得した第三者に、自己破産したことが知られることなく、マイナンバーカードに情報が記録されることもありません。
自己破産は借金を整理するための裁判所の手続きであり、身分関係を証明する公的書類とは別に管理されています。
年金受給や選挙権などの権利を失うことはない
自己破産をしても、選挙権や被選挙権を失うことはありません。また、公的年金を受け取る権利にも影響はなく、自己破産だけを理由に年金が支給されなくなることもありません。
自己破産は経済的な再出発を支援する制度であり、国民としての基本的な権利は守られます。自己破産は、社会生活を続けながら生活を立て直すことができる制度です。
年金そのものは自己破産をしても受給できますが、年金保険料を滞納している場合は差し押さえの対象となることがあります。
年金の未納によるリスクや差し押さえの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
年金未納だと差し押さえ対象になる?条件や流れ、対処法を解説 | 千代田中央法律事務所
借金滞納でも給与が全額差し押さえられるわけではない
借金を滞納して債権者から給与の差し押さえを受ける場合でも、給与の全額が差し押さえられるわけではありません。給与の差し押さえには、法律上の上限があり、生活に必要な一定額は手元に残されます。
また、自己破産の手続きが始まると、すでに行われている差し押さえが中止されたり、新たな差し押さえを防げたりする場合があります。給与をすべて失うのではないかと不安な場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
生活保護が受けられなくなることはない
自己破産を理由に、生活保護を受けられなくなることはありません。すでに生活保護を受給している場合も、自己破産によって受給資格を失うわけではありません。
収入や資産の状況によっては、自己破産と生活保護を併用しながら生活を立て直すケースもあります。生活保護を受給している方は、弁護士やケースワーカーへ相談することで、安心して手続きを進められるでしょう。
家賃滞納がなければ強制退去されるとは限らない
自己破産をしただけで、現在住んでいる賃貸住宅から退去する必要がありません。家賃を滞納していなければ、契約を継続して住み続けられます。
ただし、家賃を長期間滞納している場合は、契約解除を求められる可能性があります。また、新たに賃貸住宅を契約する際は、保証会社によっては審査に通らないケースもあります。
自己破産による滞納している家賃の免責について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
自己破産で家賃滞納分は免責される?対象範囲・退去リスク・注意点を解説 | 千代田中央法律事務所
自己破産の事実が周囲に知られる可能性は低い
自己破産をしたことが、裁判所や債権者から勤務先や友人へ通知されることはありません。そのため、周囲に知られる可能性は高くないといえます。
ただし、同居家族の収入証明書の提出が必要になったり、自宅を売却したりする場合には、家族に事情を説明する必要が生じます。また、自己破産の事実は官報に掲載されますが、一般の方が日常的に官報を確認することはほとんどありません。
自己破産前にやってはいけない行動

自己破産では、裁判所に対して財産や借金の状況を正確に申告することが求められます。手続き前の行動によっては、免責が認められにくくなったり、手続きが複雑になったりする場合もあるでしょう。
ここでは、自己破産前にやってはいけない行動を3つ紹介します。
1. 財産を隠す
預貯金や不動産、自動車などの財産を家族名義へ変更したり、現金を隠したりする行為は避けましょう。自己破産では、破産管財人や裁判所が財産状況を確認するため、財産隠しが判明すると免責が認められない可能性があります。
また、故意に財産を隠したり、不当に処分したりした場合は、免責に影響するだけでなく、刑事上の責任を問われる可能性もあります。財産は隠さず、正確に申告することが大切です。
2. 親族や友人にだけ返済する
自己破産を申し立てる前に、親族や友人など特定の相手にだけ借金を返済することは避けましょう。このような行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、債権者を平等に扱うという自己破産の考え方に反します。
返済したお金が後から取り戻されることもあり、返済した相手に迷惑をかける可能性もあります。自己破産前に、特定の相手に返済しようか迷う場合は、事前に弁護士へ相談し、適切に対応しましょう。
3. 破産直前に借入れやカードの現金化を行う
返済できないことを理解しながら新たな借入れをしたり、クレジットカードの現金化を行ったりすることは避けてください。こうした行為は、返済意思がないまま借入れをしたと判断され、免責が認められないおそれがあります。
また、自己破産前に借金を増やすことで、手続きが複雑になることも考えられます。資金が必要な場合でも自己判断で借り入れるのではなく、早めに弁護士へ相談することが大切です。
自己破産以外で借金を解決する方法

借金問題を解決する方法は、自己破産だけではありません。借金の額や収入、残したい財産などによっては、任意整理や個人再生が適している場合もあります。
それぞれ特徴が異なるため、ご自身の状況に合った手続きを選ぶことが大切です。
まずは弁護士に相談する
借金の返済が難しいと感じたら、一人で抱え込まずに、まずは弁護士へ相談しましょう。借金の状況に応じて自己破産だけでなく、任意整理や個人再生など最適な手続きを提案してもらえます。
また、弁護士へ依頼すると債権者へ受任通知が送付され、銀行や消費者金融などからの督促が止まるため、落ち着いて今後の生活や返済方法を考えられるようになるでしょう。
自己破産を弁護士に依頼することで、トラブルなくスムーズに進めやすくなります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
自己破産を弁護士に依頼する際の基礎知識│費用や選び方、家族にバレない方法を紹介 | 千代田中央法律事務所
家を残したい場合は個人再生を検討する
住宅ローンが残っている自宅をできるだけ維持したい場合は、個人再生が向いています。個人再生では、住宅ローン特則を利用することで、住宅ローンを返済しながら、そのほかの借金を大幅に減額できます。
安定した収入があり、減額後の借金を継続して返済できる見込みがある方はぜひ検討しましょう。
個人再生については、以下の記事でわかりやすく解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。
個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所
利息や遅延損害金を減らしたい場合は任意整理を検討する
借金を返済する意思や収入があるものの、毎月の返済負担を軽くしたい場合は任意整理を検討しましょう。
任意整理とは、裁判所を利用せずに債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金の減額・免除を目指す手続きです。整理する借金を選べるため、住宅ローンや保証人が付いている借金を対象外にできる点が特徴です。
任意整理のメリットやデメリット、個人再生との違いについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
任意整理と個人再生の違い|メリット・デメリットや切り替え方法も解説 | 千代田中央法律事務所
自己破産後の生活を立て直すコツ

自己破産は借金問題を解決するための手続きですが、その後の生活を安定させるためには家計管理を見直すことも大切です。
無理のない支出管理や貯蓄を習慣にすることで、再び借金に頼らない生活を目指しやすくなります。
家計簿をつけて収支を把握する
生活を立て直すためには、毎月の収入と支出を把握することが重要です。家計簿アプリやノートなどを活用し、何にお金を使っているのかを確認しましょう。
また、家賃や保険、通信費やサブスクリプションなどの固定費を見直すことで、確実に支出を抑えられます。クレジットカードが利用できない期間は、デビットカードや現金を活用すると、お金の流れを管理しやすくなるでしょう。
少額でも貯金を習慣化する
自己破産後は、少額でも貯蓄を続ける習慣を身につけることが大切です。毎月決まった金額を先に貯蓄へ回す「先取り貯蓄」を取り入れると、無理なくお金を残しやすくなります。
急な出費に備えた資金があれば、再び借入れに頼るリスクを減らすことにもつながります。収入に合わせて無理のない金額から貯金を始め、コツコツ継続することを意識しましょう。
信用情報の回復時期を確認する
自己破産による信用情報への影響は永久に続くものではありません。事故情報は一定期間が経過すると削除されるため、その後はクレジットカードやローンを申し込める可能性があります。
信用情報が回復しているか確認したい場合は、CIC(株式会社シー・アイ・シー)・JICC(株式会社日本信用情報機構)・KSC(全国銀行個人信用情報センター)などの信用情報機関へ情報開示を請求できます。事故情報が削除されていることを確認した上で、計画的に生活再建を進めていきましょう。
自己破産に関するよくある質問

自己破産を検討する際は、手続きにかかる期間や信用情報への影響、住まいや戸籍への影響など、さまざまな疑問を抱く方も少なくありません。
ここでは、自己破産についてよくある質問に回答します。
Q. 自己破産の手続きにはどれくらいの期間がかかる?
Q. 自己破産するとブラックリストにはどれくらいの期間掲載される?
Q. 自己破産すると戸籍や住民票に記録される?
Q. 自己破産後も賃貸住宅に住み続けられる?
Q. 自己破産後にクレジットカードはいつ作れる?
Q. 自己破産の手続きにはどれくらいの期間がかかる?
A. 自己破産の手続き期間は、財産の有無や手続きの種類によって異なります。財産が少ない場合に選ばれる同時廃止事件では、申立てから免責許可決定まで約4〜8ヶ月程度が目安です。
一方、一定以上の財産がある場合などに行われる管財事件では、破産管財人による調査や財産の換価が行われるため、約6ヶ月〜1年程度かかることがあります。実際の期間は、裁判所や個別の事情によっても異なります。
以下の記事では、自己破産の期間や、手続き中にしてはいけないことなどをまとめているので、そちらも参考にしてください。
自己破産の期間はどれくらい?期間中にしてはいけないことを紹介 | 千代田中央法律事務所
Q. 自己破産するとブラックリストにはどれくらいの期間掲載される?
A. 自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに掲載されるため、一定期間はクレジットカードやローンの審査に通りにくくなります。
登録期間は信用情報機関によって異なりますが、一般的には5〜7年程度が目安です。この期間が過ぎると事故情報は削除され、再びクレジットカードやローンを申し込めるようになるでしょう。
Q. 自己破産すると戸籍や住民票に記録される?
A. 自己破産をした事実が、戸籍や住民票に記載されることはありません。そのため、戸籍や住民票を見ただけで自己破産したことが第三者に知られることはないでしょう。
自己破産は借金問題を解決するための法律上の制度であり、公的な身分や権利に直接影響するものではありません。誤った情報を信じて、必要以上に不安を感じる必要はないでしょう。
Q. 自己破産後も賃貸住宅に住み続けられる?
A. 現在住んでいる賃貸住宅は、家賃の滞納がなければ自己破産だけを理由に退去しなければならないわけではありません。ただし、家賃を長期間滞納している場合は、契約解除を求められるおそれがあります。
また、新たに賃貸住宅を契約する際は、信販系の家賃保証会社を利用する物件では審査に通らない可能性があります。物件によって審査基準は異なるため、独立系保証会社を利用する物件も選択肢に入れましょう。
Q. 自己破産後にクレジットカードはいつ作れる?
A. 自己破産後は、信用情報に事故情報が登録されている間、新たにクレジットカードを作ることは難しくなります。一般的には5〜7年程度で事故情報が削除され、その後はクレジットカードの申込みができるようになります。
ただし、登録期間が過ぎたからといって必ず審査に通るわけではありません。カード会社ごとに審査基準は異なるため、まずは信用情報が回復しているか確認した上で申し込みを検討しましょう。
まとめ

自己破産をすると、多くの借金の支払い義務が免除される一方で、信用情報への登録や一定の財産の処分などの影響があります。しかし、戸籍や住民票に記録されることはなく、自己破産だけを理由に会社を解雇されたり、家族の信用情報に影響したりすることも原則ありません。
自己破産は、借金問題を解決し、生活を立て直すための法律上の制度です。ご自身の状況によっては、自己破産以外の債務整理が適している場合もあります。
自己破産をするべきか判断に迷っている場合や、ご自身のケースでどのような影響があるのか知りたい場合は、早めに弁護士へ相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

