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自己破産が会社にバレたらクビになるの?会社に知られる原因とバレない対策を解説 | 千代田中央法律事務所

段ボールを抱えるビジネスマン 自己破産

「自己破産をしたら会社にバレて、クビになるかもしれない……」と悩んでいませんか?

結論からいうと、自己破産が会社へ自動的に通知されることはなく、それを理由とした解雇も法律で禁じられています。

会社に知られる可能性はゼロではありませんが、必要以上に心配することはありません。この記事では、自己破産が会社にバレる原因から雇用への影響、リスクを最小限に抑える対策まで網羅的に解説します。

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自己破産したら会社にバレる?

顔を覆って困る女性

ここでは、自己破産と会社への通知に関する基本的な原則と、例外的に知られる可能性について解説します。

自己破産しても必ず会社にバレるわけではない

自己破産の手続きを開始したからといって、裁判所や弁護士から自動的に勤務先へ通知がいくという仕組みは、日本の法律には存在しません。

個人の債務整理は、あくまで個人の財産に関する私的な問題です。そのため、本人のプライバシーは法的に保護されており、手続きに関わる機関が第三者、とりわけ勤務先のような利害関係のない組織へ情報を漏らすことは原則としてありません。

また、後述しますが、仮に会社に知られたとしても、それを理由に従業員を解雇することは法律で禁じられています。

状況によってはバレることもある

原則として会社に知られることはない一方で、特定の状況下では、手続きの過程で会社が関与せざるを得なくなり、結果として知られてしまうケースがあります。

しかし、手続きが必要となるのは、いくつかのケースに限られます。重要なのは、どのような場合に知られるリスクがあるのかを事前に把握し、それぞれに対して適切な対策を講じることです。

自己破産についての基礎情報は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

自己破産とは?手続きの進め方や条件、費用相場、注意点を解説

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自己破産が会社にバレる原因

給与明細と時計

自己破産が勤務先に知られる経路は、主に以下の5つのパターンです。

  1. 社内貸付など会社からの借入がある場合
  2. 給料の差し押さえ命令が会社に送達された場合
  3. 退職金見込額証明書の発行依頼が必要な場合
  4. 資格制限のある職種で就業制限が発生する場合
  5. 官報に掲載された情報を社内の人が見た場合

ご自身の状況と照らし合わせ、どのリスクに注意すべきかを理解しましょう。

1. 社内貸付など会社からの借入がある場合

勤務先やその関連団体から何らかの借金がある場合、自己破産の事実は会社に知られることになります。一例として、以下のようなケースがあげられます。

  • 社内貸付制度の利用
  • 提携する労働金庫からの借入
  • 共済組合からの借入(公務員の場合)

自己破産の手続きが開始されると、弁護士からすべての債権者宛てに受任通知が送付され、その後、裁判所からも債権の有無や金額を確認するための照会通知が届くのが一般的です。

これらの通知は会社の人事部や経理部が受け取ることになるため、担当者を通じて会社側に事実が伝わることになります。

2. 給料の差し押さえ命令が会社に送達された場合

給料の差し押さえは、勤務先に借金問題が知られるもっとも代表的な経路です。

具体的には、まず債権者が裁判所に対して貸金返還請求訴訟を提起したり、より簡易な手続きである「支払督促」を申立てたりします。この申立てが認められると、裁判所から勤務先へ債権差押命令が送達されることになるのです。

会社は法律上第三債務者という立場になり、この命令を無視することはできません。そのため、差押命令に従い、給与の一部(原則として手取り額の4分の1)を債権者へ支払う、または法務局へ供託するなどの手続きをおこないます。

この一連の手続きは会社の担当部署を経由するため、きわめて高い確率で借金の事実が知られることになります。

3. 退職金見込額証明書の発行依頼が必要な場合

自己破産手続きでは、申立人が将来受け取る可能性のある退職金も財産の一部と見なされます。そのため、裁判所は破産管財人を通じて財産状況を正確に把握する目的で、退職金見込額証明書の提出を求めることがあります。

証明書を会社に発行依頼する際に使用目的を尋ねられるため、これによって自己破産を疑われるケースがあるかもしれません。

ただし、申立人のプライバシーに配慮し、多くの裁判所では会社の就業規則にもとづいて弁護士が算出した計算書で代替することが認められています。

4. 資格制限のある職種で就業制限が発生する場合

一部の特定の職業や資格については、法律で破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者が欠格事由として定められています。これは、その職業に高いレベルの財産的管理能力や信頼性が求められるためです

以下の職業や資格を持つ人は、手続き期間中、その業務に就くことができません。

  • 弁護士、司法書士、税理士など
  • 宅地建物取引士、生命保険募集人など
  • 警備員、建設業者、旅行業務取扱管理者など

該当する場合は、会社に対して事情を説明し、一時的な配置転換や休職といった措置を講じてもらう必要が生じます。このケースでは自己破産の事実を隠すことはできないため、早めに自己申告しましょう。

5. 官報に掲載された情報を社内の人が見た場合

自己破産をすると、国が発行する機関紙である官報に、申立人の氏名と住所が掲載されます。掲載のタイミングは、破産手続開始決定時と免責許可決定時の合計2回です。

官報は誰でも閲覧できるため、たまたま紙面を見た知人や会社の人が、自分の名前を見つけるかもしれません。しかし、官報は特殊な機関紙であり、日常的に読んでいる人はほとんどいないと考えてよいでしょう。

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自己破産がバレたら会社をクビになる?

解雇予告通知書

次に、自己破産と雇用に関する法的なルールと、不当な扱いから身を守るための正しい知識について以下の4項目を解説します。

  1. 自己破産を理由に解雇することは違法
  2. 自主退職を促される可能性はある
  3. 会社の就業規則より法律が優先される
  4. 人事評価への影響は基本的にはない

それぞれを詳しくみていきましょう。

1. 自己破産を理由に解雇することは違法

従業員が自己破産したという事実のみを理由として解雇することは、法的に認められません。

この労働者保護の根拠となっているのが労働契約法第16条です。この法律は、「解雇が有効と認められるためには、客観的にみて合理的な理由があり、かつ社会の常識に照らして妥当でなければならない」と定めています。

自己破産は、あくまで個人の財産管理に関する私生活上の問題です。従業員の業務を遂行する能力や勤務態度とは直接の関連性がないため、解雇に求められる「客観的に合理的な理由」には該当しない」というのが裁判例で確立された法的な解釈です。

参照:労働契約の終了に関するルール│厚生労働省

2. 自主退職を促される可能性はある

直接的な解雇は違法ですが、遠回しに退職を促す、いわゆる退職勧奨をおこなってくるケースはあり得ます。

退職勧奨は、あくまで会社からのお願いであり、法的な強制力はありません。従業員側が応じる義務はないため、退職の意思がない場合ははっきりと断りましょう。

もし、不当な配置転換や職場での嫌がらせといった行為を受けた場合は、いつ、誰から、どのような言動や扱いを受けたのかを詳細に記録に残しておきましょう。

3. 会社の就業規則より法律が優先される

多くの企業の就業規則には、懲戒解雇事由として、「素行不良で会社の名誉または信用を著しく毀損したとき」といった内容が定められています。

しかし、就業規則はあくまで社内ルールであり、労働契約法や労働基準法といった国の法律に反する内容は、その効力が認められません。就業規則よりも国の法律が優先されることを、頭に入れておきましょう。

4. 人事評価への影響は基本的にはない

自己破産の事実が、昇進や昇給といった人事評価に直接的な影響を与えることも、基本的にはないと考えられます。人事評価は、あくまで従業員の業務遂行能力、実績、勤務態度といった、職務に関連する客観的な指標にもとづいておこなわれるべきものです。

個人のプライベートな財産問題を評価に反映させることは、プライバシーの侵害や、法の下の平等に反する差別的な扱いと見なされるおそれがあります。

万が一、自己破産後に明らかに不合理な低評価をつけられた場合は、会社にその評価の具体的な根拠の説明を求めましょう。

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自己破産が会社にバレないようにする対策

お札と電卓

会社に知られることなくスムーズに自己破産の手続きを進めるための効果的な3つの対策を解説します。

  1. 給料が差し押さえになる前に債務整理を検討する
  2. 会社からの借入がある場合は任意整理を検討する
  3. できるだけ早い段階で弁護士に相談する

それぞれを詳しくみていきましょう。

1. 給料が差し押さえになる前に債務整理を検討する

前述のとおり、会社に自己破産の事実が知られるケースとして、給料の差し押さえがあげられます。給料の差し押さえを回避すれば、会社に知られずに債務整理を進めやすくなるのです。

債権者が差し押さえに至るまでには、督促→訴訟→判決→差し押さえという段階的なプロセスがあり、数か月の時間を要します。

この時間的猶予がある間に弁護士へ相談し、受任通知を送付してもらえれば、債権者からの直接の取立ては停止し、差し押さえのリスクを回避することが可能です。

2. 会社からの借入がある場合は任意整理を検討する

会社や関連団体からの借入がある場合、自己破産ではなく、任意整理が有効な選択肢となる場合があります。

任意整理は、裁判所を介さず、交渉する債権者を選べる手続きです。そのため、会社からの借入を交渉の対象から外し、他の借金のみを整理することで、会社に知られることなく問題解決を図れる可能性があります。

ただし、任意整理は原則として将来利息をカットし、元金を長期分割で返済していく交渉です。元金そのものは減額されないため、借金の総額が大きい場合には解決が難しいケースもあります。

3. できるだけ早い段階で弁護士に相談する

すべての対策の基礎となるのが、問題が深刻化する前に、債務整理の専門家である弁護士や司法書士に相談することです。

早期に相談することで、以下のような多くのメリットが得られます。

  • 最適な手続きの選択肢が広がる(任意整理、個人再生など)
  • 給料の差し押さえリスクを防げる
  • 債権者からの厳しい督促が止まり、精神的な平穏を取り戻せる

多くの法律事務所では、債務整理に関する初回相談を無料で実施しています。まずは無料相談を活用し、専門家の視点から現状を分析してもらうことが、問題解決への安全な道筋です。

自己破産について弁護士に相談する際には、以下の記事も参考にしてください。

自己破産を弁護士に依頼する際の基礎知識│費用や選び方、家族にバレない方法を紹介

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自己破産に関するよくある質問

座って頭を抱える女性

最後に、自己破産を検討している方からよく寄せられる質問と、その回答をまとめました。

Q. 自己破産したことを自ら会社に報告する義務はありますか?
Q. 自己破産後の給料は通常どおりもらえますか?
Q. 転職活動の際に自己破産がバレることはありますか?

手続きに関する疑問点をクリアにし、安心して次のステップへ進みましょう。

Q. 自己破産したことを自ら会社に報告する義務はありますか?

A. 原則として、自己破産した事実を会社に報告する法的な義務はありません。

自己破産は個人のプライバシーに関わる事柄であるため、手続きをおこなったことを自ら会社に伝える必要はありません。ただし、例外として前述した資格制限のある職種に従事している場合は、業務上の必要性から報告が必要です。

Q. 自己破産後の給料は通常どおりもらえますか?

A. 自己破産をしても、給料は通常どおり全額もらえます。

給料は労働の対価であり、自己破産を理由に減額されたり、支給が停止されたりすることはありません。給与の差し押さえを受けていた場合、破産手続の開始によって差し押さえが解除されるため、手取り額は増加します。また、破産手続の開始後に得た給料は「新得財産」として、破産者が自由に使うことができます。

自己破産後の日常生活については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

NO.57自己破産後の生活は何が変わる?財産・家族・仕事への影響と乗り越え方

Q. 転職活動の際に自己破産がバレることはありますか?

A. 転職活動で自己破産したことが知られる可能性は、きわめて低いと考えられます。

企業が採用選考の目的で、応募者の信用情報を照会することは法律で禁じられています。また、履歴書への記載や面接での申告義務もありません。

一般的な転職活動においては、過去の自己破産歴を知られる心配はほとんどないでしょう。

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まとめ

コスモスの花

本記事では、自己破産が会社にバレる原因から雇用への影響、そして具体的な対策までを網羅的に解説しました。

借金問題は、一人で抱え込んでも解決が難しい問題です。一人で悩まずに、できるだけ早い段階で弁護士などの専門家を頼ってください。

自己破産は、どうしても生活が立ち行かなくなってしまった方の、人生を再建するための、国が認めた救済制度です。しかし、その制度や手順は複雑ですので、専門家のサポートが欠かせません。まずは一度、無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。