債務整理

任意整理と個人再生の違い|メリット・デメリットや切り替え方法も解説 | 千代田中央法律事務所

札束を持つ手 債務整理

債務整理は、借金返済の負担を軽減し、生活を立て直す法的手続きです。なかでも任意整理と個人再生は、財産を維持しながら完済を目指す人に適しています。

毎月の支払いが滞り督促に悩まされる日常から脱却するには、将来利息の免除を目指すのか、元本そのものの圧縮が必要なのかを見極めることが欠かせません。自身の希望に合わせて最適な手続きを選択すれば、平穏な生活を取り戻せるはずです。

この記事では、任意整理と個人再生の違いや、それぞれのメリット・デメリット、手続きの切り替え方法を解説します。

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任意整理と個人再生の違い

任意整理の文字を指す人形

借金の返済が苦しくなったとき、主に検討されるのが「任意整理」と「個人再生」です。両者は同じ債務整理の手続きですが、減額の仕組みや守れる財産、家族への影響に違いがあります。

それぞれの特徴や、同じく債務整理の手段である自己破産との違いを正しく理解したうえで、自分の状況と照らし合わせて選ぶことが大切です。

任意整理とは

任意整理は、将来かかる利息をなくして、元金だけを分割で返していく方法です。消費者金融は借入額によって年15〜20%、クレジットカードのリボ払いは年15〜18%程度の金利がかかることが多く、この利息負担をゼロにするだけでも返済は楽になります。

また、整理する借金を自分で選べる点も特徴で、親族や知人が保証人になっている借金を除外することも可能です。

任意整理は裁判所を介さない手続きであり、官報に名前が載ることもありません。家族に内緒で手続きを進めたい方にも向いています。

個人再生とは

個人再生は、裁判所の力を借りて借金の元金を最低弁済基準に基づき減らす手続きです。

借金の総額が500万円の場合、100万円まで圧縮される可能性があります。住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すれば、住宅ローンだけは払い続けながら債務の圧縮ができるため、マイホームが没収される心配はありません。

ただし、債権者平等の原則があるため、任意整理とは異なり特定の借金だけを対象から外すことはできません。また、保証人がいる場合は、保証人へ債務請求が行われます。

個人再生についてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生とは?メリットやデメリット・具体的な手順や利用時の注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

自己破産との違い

自己破産は裁判所を通じて債務を免除してもらう手続きです。借金をすべてゼロにする代わりに、家や車などの資産を手放す必要があります。

自己破産と任意整理・個人再生の違いは「借金を返し続けるかどうか」という点です。任意整理や個人再生は、一定の金額を3〜5年かけて支払うことで生活の基盤を守ります。債務がなくなるわけではない点に注意が必要です。

また、自己破産には警備員や士業といった特定の仕事ができなくなる資格制限がありますが、任意整理や個人再生にはそのような制限はありません。そのため、キャリアへの影響は最小限に抑えられます。

自己破産についてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

自己破産とは?手続きの進め方や条件、費用相場、注意点を解説 | 千代田中央法律事務所

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任意整理をするメリット

任意整理と書かれた積み木

任意整理は、裁判所を介さず貸主と話し合うことで生活を立て直す手続きです。「家族に秘密にしたい」「家や車を失いたくない」という人にとっては、柔軟な解決策といえます。

任意整理のメリットを確認していきましょう。

利息を減らせる

任意整理の強みは、将来発生する利息をゼロにできる点です。消費者金融やクレジットカードのリボ払いのように、返済しても元金が減らない債務でも、利息カットにより3〜5年での完済が見込めるようになります。

滞納期間が長く遅延損害金が膨らんでいる場合も、免除交渉を行えば総支払額を抑えられます。

裁判所を通さずに手続きができる

任意整理は裁判所を介さない私的な手続きであるため、官報に住所や氏名が載ることはありません。弁護士が受任通知を送ると、その時点で債権者の直接の督促や電話が制限されます。

また、同居家族の収入証明書が不要で、裁判所へ出向く手間がない点も強みです。日常生活への影響を最小限に抑えられます。

財産を手元に残しやすい

任意整理は整理したい借金だけを選べる仕組みであり、大切な財産を守れます。仕事で使う車のローンや、親族が保証人になっている借金を対象から外し、高利なカードローンだけを整理するといった設計も可能です。

住宅ローンを除外すれば、マイホームに住み続けながら他の借金負担を軽くすることもできます。

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任意整理のデメリット

ビックリマークが書かれた積み木

ません。また、整理ができるかどうかは相手との話し合いで決まるため、こちらの希望が必ず通るとは限らない点も注意が必要です。

任意整理のデメリットを確認しましょう。

元本の減額ができない

任意整理は利息を免除する交渉にとどまり、借り入れた元本そのものを減らす法的効力はありません。負債総額が自身の返済能力を大きく超えている場合、利息がなくなっても毎月の支払いが家計を圧迫する可能性があります。

元本を3年から5年で分割して完済できる見通しが立たない状況では、別の解決策を模索しなければなりません。無理な返済計画で合意しても再度破綻するリスクがあるため、慎重な収支確認が重要です。

債権者が和解に応じない場合がある

任意整理は貸主との直接交渉によって成立するため、相手が応じなければ手続きは進みません。業者によっては将来利息のカットを拒否したり、分割回数を特定の回数以下に制限したりすることもあるでしょう。

また、任意整理には法的拘束力がないため、交渉中に給与が差し押さえられるなどの強制執行を止められません。差し押さえされると、返済計画なども再考する必要があります。

安定収入がないと返済が難しい

任意整理は、減額後の元本を数年間にわたり一度も滞納せずに支払い続けなければなりません。雇用形態にかかわらず、毎月一定の金額を確実に捻出できる継続的な収入が必要です。

返済額が手取り月収の3分の1を超えるような計画は破綻の危険性が高まるため、根本的な減額措置への切り替えを検討したほうがよいでしょう。病気や失業による一時的な収入減にも対応できるよう、予備費を見込んだ家計管理が求められます。

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個人再生のメリット

借金減額と書かれた積み木

個人再生は、裁判所の認可を得ることで借金の元金を大幅に減らし、生活を立て直すための手続きです。給与の差し押さえなどの強制執行を止める力があるため、すでに法的措置を受けている状況でも生活基盤を守りながら再起を図れます。

個人再生のメリットを確認しましょう。

借金の元本を圧縮できる

個人再生の大きな強みは、借金の元金を原則として5分の1程度まで減らせる点です。たとえば、借金総額が500万円であれば100万円まで圧縮され、残りの400万円は免除されます。

この金額を原則3年で分割返済すれば完済となるため、多額の負債を抱えている人にとっては、現実的な手段といえるでしょう。

自宅や車を残せる可能性がある

個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を適用すれば、マイホームのローン返済を継続しながらそのほかの借金を整理できます。自己破産のように自宅を失うことなく、家族の生活環境を守れるのがメリットです。

自動車についても、ローンが完済されており一定の要件を満たせば、財産的価値を返済額に上乗せする形で手元に残せるケースが存在します。

個人再生では、清算価値保障原則にもとづき、所有財産の総額以上に相当する額を返済すれば資産の処分を免れます。

個人再生と車の関係性について知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生すると車は引き上げられる?車のローンがある際の対策や残す方法を解説 | 千代田中央法律事務所

浪費・ギャンブルが債務の原因でも整理できる

個人再生では、債務の原因がどのようなものであっても再生計画の認可が下りる可能性があります。基本的に、将来の安定した収入が見込まれ、返済計画通りに支払う意思があれば認められるとおさえておきましょう。

同じく裁判所を通じて手続きする自己破産は、ギャンブルや浪費が原因だと免責が認められない場合があります。個人再生はネガティブな理由で借金をつくった人でも利用しやすく、これからの生活をどう立て直すかに重点を置いた手続きといえるでしょう。

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個人再生のデメリット

頭を抱える女性

個人再生はすべての借金を平等に扱う厳しいルールがあります。任意整理のように特定の借金だけを除外できないため、保証人や守りたい財産がある場合は事前に十分確認しておかなければなりません。

個人再生のデメリットを見ていきましょう。

個人再生のデメリットについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

個人再生の8つのデメリットと対策|メリットや具体的な流れも解説 | 千代田中央法律事務所

特定の借金だけを除くのが難しい

個人再生には債権者平等の原則があり、特定の貸主だけを有利に扱うことはできません。「車のローンだけは払い続ける」「親戚が保証人の借金だけは手続きから外す」といった調整は不可能です。

とくに保証人付きの借金がある場合、本人が減額を受けた分は保証人へ請求されるため、保証人の負担が大きくなります。親族や知人への影響を避けたい人にとっては、手続き前に慎重な検討が必要です。

官報に個人情報が掲載される

個人再生を行うと、国が発行する官報に氏名や住所が掲載されます。一般の人が日常的に目にする機会はほとんどありませんが、金融機関や貸金業者は定期的に確認しています。

掲載情報を利用した闇金業者からのダイレクトメールが届くケースもあり、それが家族の目に触れて借金の事実が発覚することもあるでしょう。郵送物の管理や個人情報掲載のリスクには注意が必要です。

手続きが複雑で時間がかかる

裁判所を介する個人再生は、準備すべき書類が多く、弁護士への依頼から再生計画認可まで1年〜1年半程度を要することが一般的です。

主な書類は以下のとおりです。

  • 直近3ヵ月分の給与明細
  • 通帳のコピー
  • 家計収支表
  • 退職金見込額の証明など

詳細な資料は、裁判所に提出するためにもすべて揃える必要があります。

加えて、予納金として裁判所に納める実費も発生します。任意整理に比べて費用・手間ともに負担が増えやすい点にも注意しなければなりません。

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任意整理と個人再生はどっちがいい?

傾く天秤

任意整理と個人再生のどちらを選ぶか判断する際は「利息をなくせば返せるか、それとも元金を減らさないと無理か」で見極めるのがポイントです。

借金の総額だけでなく、家族への影響やマイホームの有無といった優先事項によって、最適な手続きは変わります。

任意整理が適しているケース

「周囲に知られたくない」「特定のローンだけは除外したい」という人には任意整理が向いています。

具体的なケースについて解説します。

財産を手元に残したい

手元に財産を残す場合は、任意整理が適しています。たとえば、仕事で使う車のローンを除外して手続きすれば、引き揚げを防いでそのまま乗り続けられます。

また、住宅ローンを整理対象から外せば、マイホームを守りながらほかの借金を整理可能です。親族が保証人の借金を引き続き返済していけば、保証人への一括請求も回避できます。

費用や手間を極力減らしたい

費用や手間を減らしたいのであれば、任意整理を検討しましょう。任意整理なら裁判所へ行く必要がなく、弁護士がすべての窓口になるため日常生活への影響がほとんどありません。

同居家族の収入証明書などの複雑な書類準備も不要で、スピーディーに返済計画を検討できます。

返済総額が少ない

返済総額が少ない場合も任意整理が適しています。借金総額が300万円以下であれば、利息をなくすだけで月々の返済額が現実的な範囲に収まるケースが多いです。

高金利の利息がなくなることで、支払ったお金をすべて元本の返済に充てられます。3〜5年の分割払いに組み直せば、現在の家計の範囲内で完済を目指せるでしょう。

個人再生が適しているケース

「借金が膨らみすぎて利息カットだけでは返せない」という状況であれば個人再生が適しています。借金総額を原則5分の1(最低100万円)まで圧縮し、月々の負担を下げられます。

具体的なケースは、以下の通りです。

返済総額が多い

返済総額が多い場合は、個人再生のほうが適しています。借金総額が500万円を超えている場合でも、100万円まで圧縮されることで月々の返済額が大きく下がる可能性があります。

また、任意整理では完済まで5年以上かかるような負債でも、原則3年で解決できます。多額の負債を抱える人は検討してみましょう。

差し押さえが始まっている

差し押さえされている人は、個人再生を検討してみましょう。

個人再生は法的な手続きであり、給与や口座を差し押さえる強制執行が始まっていても、裁判所を通じて停止させられます。任意整理にはない法的効力により、生活基盤を守りながら手続きを進められます。

すでに裁判所から支払督促が届いているような緊急時でも、保護された状態で対応可能です。

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任意整理から個人再生への切り替えはできる?

はてなマークを持つ手

任意整理を始めた後でも、返済が苦しくなれば個人再生へ切り替えることは可能です。無理をして滞納すると、債権者からの信頼を失い、一括請求を求められるリスクが高まります。

返済計画が収入に見合っているか数値で再確認し、より効果的な手続きへ切り替える判断が大切です。切り替えを検討すべきシーンや切り替え時の注意点を解説します。

切り替えを検討したいシーン

任意整理中に業者が将来利息のカットに応じない場合や、分割回数を制限してきて月々の負担が増える場合は、切り替えを検討すべきです。急な支出で返済額が手取り月収の30%を超えてしまった場合も、元金が減らない任意整理では対応が難しくなってしまいます。

業者が給与の差し押さえを強行してきた場合、任意整理では止められないことも考慮し、早めに判断したいところです。

切り替え時の注意点

個人再生に切り替える際は、手続きの違いを正しく理解しておく必要があります。個人再生は裁判所を通す手続きになるため、任意整理では除外できていた保証人付きの借金や車のローンもすべて整理対象に含めなければなりません。弁護士費用などの追加費用がかかることや、官報への掲載も避けられません。

また、特定の債権者にだけ返済を続ける偏頗弁済(へんぱべんさい)をすると、裁判所から手続きの認可が下りなくなるリスクがあります。自己判断で一部の相手にだけ返済を続けることは控え、必ず専門家に相談しながら進めてください。

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まとめ

胸に手を当てるビジネスマン

任意整理か個人再生か決める際は「利息をなくせば返せるか」「元金を減らさないと完済が難しいか」を冷静に見極めるのが重要です。家族への影響やマイホームの維持など、守りたい生活基盤に合わせた手続きを選べば、再破綻も防げます。

督促や差し押さえに悩む日々を終わらせるためには、専門家への相談が欠かせません。千代田中央法律事務所では、債務整理に関する相談を受け付けています。個々にあった解決策で、借金の悩みを解消しましょう。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。