コラム26
法人破産申立書の作成ポイント
:成功するためのガイド
要約
法人破産の申立書作成には、正確な情報の記載と適切な書類の準備が不可欠です。本コラムでは、申立書の基本構成、申立理由の明確化、財産目録や負債一覧の作成ポイント、添付書類の準備方法、そしてリスク管理に関する具体的なアドバイスを提供します。
目次
- 申立書の基本構成と記載事項
- 破産原因の明確化
- 財産目録と債権者一覧表の作成
- 添付書類の準備と作成手順
- 申立書作成に伴うリスク管理と対応策
1. 申立書の基本構成と記載事項
- 法人破産の申立書は、裁判所に対して法人が破産手続きを開始するための重要な書類です。そのため、申立書には正確で具体的な情報を記載することが求められます。基本的には、申立人の情報(法人名、所在地、代表者など)、破産原因(支払い不能ないし債務超過)、現在の財産状況、負債状況、及び、申立てに至った経緯の詳細などが含まれます。
申立てに至った経緯は明確にし、裁判所・破産管財人がすぐに必要な情報にアクセスできるようにすることが重要です。たとえば、最初に法人の概要や現在の事業状態を簡潔に説明し、その後に破産の具体的な理由を詳細に記載します。特に、裁判所が理解しやすいように、経営困難に至った経緯を具体的に示し、客観的な事実に基づく説明を行うことが求められます。
さらに、申立書には法人の財務状況を示す財産目録や負債一覧などの添付書類が必要です。これらを適切に記載し、必要な情報を網羅することで、破産手続きを円滑に進めることができます。
2. 破産原因の明確化
- 破産原因の明確化は、法人破産申立書作成の中で最も重要な要素の一つです。破産手続きが開始されるためには、法人が支払い不能の状態にあることを証明しなければなりません。そのため、申立書には、それを裏付ける資料により客観的に明確にする必要があります。また、支払い不能に至った経緯についても、具体的に記載する必要があります。
例えば、「業績不振による売上減少」「主要取引先の倒産に伴う資金繰りの悪化」など、経営難に至った直接的な原因を簡潔かつ正確に説明します。また、過去数年間の経営状況や主要な取引先との取引状況など、背景情報も申立理由を補完するために役立ちます。
さらに、申立理由は法的な視点からも適切に表現する必要があります。具体的には、支払い不能の状態にあることを示すために、債務超過の状況や返済不能な債務の詳細を明記します。
3. 財産目録と債権者一覧表の作成
- 財産目録と負債一覧は、法人の財務状況を正確に反映するために必要不可欠な書類です。財産目録には、法人が所有する資産(不動産、現金、預貯金、設備、株式など)を全て記載します。特に、資産の価値を正確に評価し、可能な限り最新の資産価値を記載することが重要です。
債権者一覧表には、法人が負うすべての債務を詳細に記載します。これは、取引先への支払いや金融機関からの借入金、従業員への未払い賃金など、法人が支払う義務のある債務をすべて含める必要があります。債権者の名前や住所、債務の金額なども正確に記載します。
財産目録と債権者一覧表は、破産者の資産と負債のバランスを端的に示す重要な情報となるため、これらの書類の作成には慎重を期す必要があります。特に、資産や負債の評価が誤っていると、裁判所での審理が遅延する可能性があるため、申立代理人の弁護士には正確に伝えるとともに、裏付け資料をできる限り提出する必要があります。
4. 添付書類の準備と作成手順
- 法人破産の申立書には、いくつかの添付書類が必要です。主な添付書類としては、財産目録、債権者一覧表、申立てに至った経緯などが挙げられます。これらの書類を整備し、正確に作成することが破産手続きの円滑な進行に繋がります。
決算書は、過去2年間のものを提出するのが一般的です。決算書には法人の財務状態や経営成績が反映されており、破産に至る経緯を客観的に示すための資料として機能します。また、銀行口座の明細や取引先リストは、法人の資金繰り状況や取引の履歴を示すものであり、裁判所・破産管財人が破産手続きを進めるうえで参考となります。
添付書類の作成には、申立書と同様に正確性が求められます。申立代理人弁護士から指示された資料はできる限り提出しつつ、経緯等についてもできる限り詳細にかつ正確に伝えることが重要となります。
5. 申立書作成に伴うリスク管理と対応策
- 法人破産の申立書を作成する際には、いくつかのリスク管理が必要です。まず、申立書や添付書類に不備があった場合、裁判所での審理や、破産管財人のもとでの手続きが遅延し、破産手続き全体が長引くリスクがあります。
また、財産目録や債権者一覧表に記載されている情報が不正確である場合、債権者との間でトラブルが発生する可能性があります。特に、債務金額や債権者情報が正確でないと、換価した財産の配当などの手続きで追加対応が必要となり、破産手続きが円滑に進まなくなるリスクが高まります。
さらに、法人破産手続きでは、破産申し立て後の破産管財との連携も重要なポイントです。申立後に選任される破産管財人が円滑に業務を進められるよう、必要な情報を正確かつ網羅的に提供することで、手続き全体の効率化が図られます。
このコラムでは、法人破産申立書の作成における重要なポイントについて解説しました。適切な準備と正確な記載が、破産手続きを円滑に進めるための鍵となります。