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コラム31

法人代表者が個人の破産のみ申立てをする際の留意点

法人代表者が単独で破産申立てを行う際、いくつかの重要な留意点が存在します。まず、管轄裁判所の選定は破産事件の基本的な事項です。法人の破産事件は、通常、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所に提出しますが、代表者個人の場合、住所地を管轄する裁判所に申立てることが一般的です。このような場合、法人と代表者の破産手続きを同時に行うことができる場合があります。

次に、法人と代表者が密接に結びついている場合、代表者個人のみの破産申立ては法人の財産調査が不十分となりがちです。特に小規模の法人では、代表者個人と法人の財産が混同されることが多く、その区別が曖昧な場合があります。このような場合、法人の財産調査を行わない限り、代表者個人の財産状況を正確に把握することは難しくなります。また、法人の破産が行われない場合、代表者個人の破産が開始されると、法人と代表者の委任関係が終了し、法人の清算が困難になるため、法人の債権者に不利益をもたらす可能性があります。

さらに、法人の財産状況を十分に説明できない場合、裁判所は管財事件として取り扱い、破産管財人による調査が行われることになります。この調査により、法人の資産や負債の状況を確認し、債権者に対する公平な処理が図られます。特に、同時廃止事件と破産管財事件の振り分けが重要であり、裁判所によっては、法人代表者の破産は原則として管財事件として扱われることが多いです。

また、法人の破産が行われない理由を裁判所に説明する際、申立代理人は、法人の財産と個人の財産が混同されていないことや、法人の資産が散逸していないことを証明するための資料を提出する必要があります。この証明が不十分な場合、裁判所は予納金を増額し、管財人による調査が行われることがあります。

最後に、法人の破産申立てを行わずに代表者個人の破産のみを申立てる場合でも、法人に関する十分な調査と説明が求められ、法人の債権者への説明責任も発生します。

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