ファクタリングを利用したものの、「返済資金が用意できない」「業者から執拗な督促や脅しを受けている」といったトラブルに直面する事業者もいるのではないでしょうか。
ファクタリングは本来、資金繰りを改善するための手段ですが、違法性の高い業者に依頼することで、かえって経営や生活を追い詰めてしまうリスクもあります。業者選びに失敗すると、信用低下や取引先への影響、最悪の場合は事業継続の断念につながるため、注意が必要です。
本記事では、ファクタリングによるトラブルが起きた際に弁護士へ相談すべき理由を整理します。また、具体的な相談ケースや依頼のメリット・注意点、弁護士の見極め方までをわかりやすく解説します。
適切な知識を身につけ、ファクタリングのトラブルに対して、慌てることなく冷静に対処しましょう。
ファクタリングのトラブルは弁護士に相談するべき?

ファクタリングの返済に行き詰まったり、業者から強い督促を受けたりしている場合は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。こうしたトラブルは当事者だけでの解決が難しく、放置すると資金繰りの悪化や、取引先への債権譲渡通知など、事業継続に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
弁護士に依頼すれば、受任通知の発送により、実質的に貸金業と判断される取引については、業者からの直接連絡や督促を止められる可能性があります。また、契約が偽装ファクタリングや違法な給与ファクタリングに該当する場合には、契約無効を主張し、法外な手数料の支払いを免れるかもしれません。
さらに、取引先への債権譲渡通知についても、弁護士が法的リスクを指摘することで回避できる可能性があります。弁護士事務所の中には、分割払いや法テラスに対応しているところもあり、資金に余裕がなくても相談は可能です。
ファクタリングのトラブルで弁護士への相談が必要な5つのケース

ファクタリングの利用後、「資金繰りが行き詰まっている」「業者の対応が異常」と感じた時点で、弁護士への相談を検討すべきサインです。
ここでは、トラブルが深刻化する前に専門家に相談すべき典型的な5つのケースを整理し、早期相談の重要性を解説します。
- 支払期日までにお金を用意できず、資金繰りが行き詰まっている
- しつこい取り立てや嫌がらせを受けている
- 手数料が極端に高く、高利貸しのようになっている
- 契約書をもらえず、契約内容がはっきりしないまま進んでいる
- 取引先や家族に連絡するとほのめかされ、脅されている
1. 支払期日までにお金を用意できず、資金繰りが行き詰まっている
支払期日にお金を用意できず、資金繰りが行き詰まっている場合は、危険な自転車操業の状態であり、早急に弁護士に相談すべきケースです。
この状態では、ファクタリングを重ねても根本的な資金繰りは改善せず手数料負担だけが膨らみ、最終的には倒産や生活破綻に至るリスクが高まり、自力での立て直しは困難です。
弁護士に相談すれば、業者への支払いを一時的に停止し、分割返済や減額交渉だけでなく、法的整理を含めた再生策を検討できるでしょう。
2. しつこい取り立てや嫌がらせを受けている
しつこい取り立てや嫌がらせを受けている場合は、正当な督促の範囲を超えており、早急に弁護士へ相談すべきケースです。
このような状況では、精神的な負担が大きくなり、冷静な判断ができないまま不利な条件を受け入れてしまうリスクがあります。状況を放置すると、業者の要求がさらに強まり、事態が悪化するおそれもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、受任通知の送付により、業者から本人への直接連絡や取り立てを止められる可能性があります。交渉窓口も弁護士に一本化され、精神的な安全を確保したうえで問題解決に向き合えます。
3. 手数料が極端に高く、高利貸しのようになっている
手数料が極端に高く、高利貸しのような状態に陥っている場合は、正規のファクタリングではなく、偽装ファクタリングやヤミ金融に該当する可能性があり、弁護士への相談が不可欠です。
このようなケースは、出資法の上限金利を大幅に超える悪質な取引と判断され、契約自体を無効にできる余地があります。高い手数料を支払い続けてしまうと、資金繰りは改善せず、負担だけが膨らんでいくでしょう。
弁護士であれば、契約の実態を法的に分析し、元本を含めた返済義務がないと主張したり、過払い金の返還請求を検討したりできます。違法性が疑われる場合は、早い段階で専門家に確認することが重要です。
4. 契約書をもらえず、契約内容がはっきりしないまま進んでいる
契約書を交付しない、または控えを渡さないまま取引を進める業者は、悪質な違法業者である可能性が高く、早急に弁護士へ相談すべき状況です。
契約書がなければ、後から手数料や支払条件を一方的に変更されても反論が難しくなり、極めて不利な立場に追い込まれます。このまま取引を続けると、想定外の請求を受けるリスクが高まるでしょう。
契約書が手元になくても解決を諦める必要はなく、入出金履歴やメール、LINEなどのやり取りは重要な証拠となります。弁護士に依頼することで、証拠をもとに契約の実態を立証し、適切な交渉を行うことが可能です。
5. 取引先や家族に連絡するとほのめかされ、脅されている
「支払わなければ取引先に通知する」「家族に連絡する」と示唆されている場合は、業務妨害や恐喝に該当する可能性があり、弁護士に相談すべきケースです。
取引先への連絡を恐れて支払いを続けても、業者の要求は次第にエスカレートするかもしれません。その結果、さらに資金不足に陥り、事業経営だけでなく、私生活も悪影響を及ぼすおそれがあります。
弁護士が代理人として介入すれば、業務妨害や恐喝は法的措置の対象となることを業者に警告でき、要求がエスカレートするリスクを防げるでしょう。
ファクタリングのトラブルを弁護士に依頼する5つのメリット

ファクタリングのトラブルは、当事者だけで解決しようとすると状況が悪化しやすく、精神的・経済的な負担も大きくなります。弁護士が介入することで、取り立ての停止や返済条件の見直し、違法契約への法的対抗などが可能です。
ここでは、弁護士に依頼することで得られる5つのメリットを整理し、早期相談の重要性を解説します。
- 受任通知で取り立てがその日から止まる
- 無理のない分割払いや減額を交渉してもらえる
- 違法な業者なら返済を回避できる可能性がある
- 取引先への債権譲渡通知を止められる場合がある
- 刑事告訴や警察沙汰などを避けやすくなる
1. 受任通知で取り立てがその日から止まる
ファクタリングのトラブルを弁護士に依頼するメリットは、督促や取り立てを即日で止められる点です。
弁護士と委任契約を結ぶと、業者に対して受任通知が送付され、これにより業者は本人への直接連絡や、執拗な取り立てを行うことが法律上制限されます。実質的に貸金業であるファクタリングでは、この規制が適用されます。
連絡窓口も弁護士に一本化されるため、企業は業者と直接やり取りする必要がなくなり、精神的な重圧から解放される点もメリットです。受任通知により取り立てを止めることは、事業や生活の立て直しに集中するための重要な第一歩となるでしょう。
2. 無理のない分割払いや減額を交渉してもらえる
ファクタリングのトラブル解決を弁護士に相談すると、返済期日に一括で支払えない場合でも、分割払いや条件変更の交渉が現実的になります。
返済に関して個人で交渉するのは難しいですが、弁護士が代理人となることで、業者側も回収不能リスクを考慮せざるを得なくなります。その結果、数ヶ月から1年程度の分割返済や、遅延損害金の減額などで和解できる可能性が高まるでしょう。
無理な資金調達を重ねて自転車操業に陥る前に、専門家による交渉で現実的な再生プランを立てることが重要です。
3. 違法な業者なら返済を回避できる可能性がある
弁護士にファクタリングのトラブル解決を依頼すると、手数料が年利換算で極端に高いといった違法業者への返済を回避できる可能性があります。
形式上は債権売買でも、実質が違法な貸付と判断されれば、契約は無効となる余地があります。この場合、元本を含めた返済義務が否定されるゼロ和解や、過去に支払った手数料の返還請求が可能になるかもしれません。
企業が違法性を主張しても業者は応じにくいですが、弁護士であれば契約内容を法的に分析し毅然とした対応ができるため、不当な支払いを続けないためにも、早期の相談が不可欠です。
4. 取引先への債権譲渡通知を止められる場合がある
ファクタリングのトラブル解決を弁護士に依頼することによって、取引先への債権譲渡通知を止められる場合があります。
債権譲渡通知とは、売掛金の支払先がファクタリング業者に変更されたことを取引先へ知らせる手続きです。通知が届くと資金繰りの悪化が露見し、信用低下や取引停止につながるおそれがあります。
悪質な業者は債権譲渡通知を示唆して支払いを迫ることがありますが、弁護士が介入すれば、通知が業務妨害や信用毀損に該当する点を指摘し、取り立てを回避できる可能性があります。取引先との信頼関係を守るためにも、早期に専門家へ相談することが重要です。
5. 刑事告訴や警察沙汰などを避けやすくなる
ファクタリングのトラブルについて弁護士に依頼することで、刑事告訴や警察沙汰に発展することを避けやすくなります。
返済意思があったにもかかわらず支払えなくなった場合は、民事上の債務不履行に該当し、通常は刑事事件になりません。弁護士に依頼しておけば、刑事事件に該当することをほのめかす虚偽の脅しを受けた場合でも、業者の不当行為に対抗できます。
万が一警察が関与する場面でも、弁護士が適切に説明することでトラブルを防げます。脅しによる誤った恐怖に支配されないためにも、早期に専門家を味方につけることが重要です。
ファクタリングのトラブルを弁護士に依頼する際の3つの注意点

弁護士への依頼はファクタリングのトラブルを解決する有効な手段ですが、費用や業者・社内への影響などを事前に知っておくことも重要です。
ここでは、弁護士へ依頼する前に押さえておきたい3つの注意点と、それぞれの具体的な対処法を解説します。
1. 問題解決に弁護士費用がかかる
弁護士に依頼する以上、相談料や着手金、成功報酬といった費用が発生します。資金繰りに苦しんでいる状況では、この点が心理的ハードルになるでしょう。
ただし、相談無料や着手金の分割払い、後払いに対応する事務所もあります。さらに、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらい、月々分割返済することも可能です。
違法な高額手数料を払い続けるより、結果的に弁護士へ依頼したほうが総支出を抑えられる可能性もあるため、費用面について初回相談で確認しておきましょう。
2. 悪質な業者が態度を強めてくる可能性がある
悪質な業者の場合、弁護士に対応を依頼し受任通知が送付されると、反発し態度を強めてくる可能性があります。ただし、この状況は企業に不利ではなく、業者が追い込まれている証拠です。
受任後の直接連絡や執拗な取り立ては明確な違法行為であり、弁護士は警告書の送付や警察との連携など、事態を収束させる手段を熟知しています。
企業が単独で対応するより、弁護士という法的な盾がある状態のほうが安全性は高まります。
3. 弁護士に依頼したことが社内で広まるリスクがある
ファクタリングのトラブルを弁護士に依頼することで、会社の従業員に知られ、経営リスクの不安を与えるおそれがあります。
会社宛ての郵便物や電話対応次第では、弁護士に依頼していることが社内に噂が広がる可能性があります。しかし、事前に社内で広まるリスクを抑えたいと伝えておけば、問題ありません。
弁護士は、連絡先を個人の携帯電話に限定したり、郵送物を自宅や局留めにしたりするなど、柔軟に対応してくれます。そのため、相談時には、従業員には絶対に知られたくないと明確に伝えることが重要です。
ファクタリングのトラブルに強い弁護士の特徴

ファクタリングのトラブルは専門性が高く、どの弁護士に依頼するかが成果に影響します。
ここでは、ファクタリングのトラブル解決に強い弁護士を見極めるためのポイントを解説します。
悪質なファクタリングの解決実績を公開している
悪質なファクタリングの解決実績を具体的に公開している法律事務所は、当該分野に精通した弁護士が在籍している可能性が高いといえます。
ファクタリングのトラブルを解決するためには、契約の実態が債権売買なのか、金銭の貸付にあたる違法取引なのかを見極める必要があり、一般的な債務整理とは異なる専門的判断が必要です。実績が乏しい弁護士に依頼すると、業者側の主張を十分に崩せず、会社が求める和解に至らないおそれがあります。
解決件数や具体的な事例を明示している事務所は、経験に基づいた対応が期待できる判断材料となるでしょう。
即日相談や迅速対応を強みとしている
ファクタリングのトラブル解決は時間との勝負であり、迅速に動ける弁護士を選ぶことが重要です。
督促や取引先への債権譲渡通知が目前に迫っている状況では、数日対応が遅れるだけで、信用低下や資金繰りの悪化を招くおそれがあります。そのため、即日相談・当日中の受任通知発送・24時間受付など、スピード対応を明確に打ち出している事務所は有力な選択肢です。
業者側の動きは早く、対応が後手に回るほど交渉条件は不利になるリスクもあります。初動が早い弁護士であれば、早期に督促を止め、主導権を持って交渉を進められるでしょう。
費用がわかりやすく提示されている
ファクタリングに強い弁護士を探す際は、費用体系を明確提示している法律事務所を選ぶことが重要です。
着手金・報酬金・実費の内訳が不明瞭な事務所では、後から想定外の追加費用を請求されるリスクがあります。とくに、ファクタリングのトラブルを抱える企業は、資金繰りが厳しい状況にある可能性があり、分割払いや後払いの有無も重要な判断基準です。
1社あたりの費用や無料相談の有無などを事前に明示している事務所は、相談者の立場に配慮した運営をしていると判断できます。
違法なファクタリングへの見解や対応方針を示している
ファクタリングのトラブルに強い弁護士を選ぶ際は、違法なファクタリングへの見解や対応方針を示しているか確認しましょう。
悪質なファクタリング業者の場合、実質的にヤミ金融と評価され得る取引を行っていることもあるため、償還請求権付き契約は違法・年利換算で著しく高い手数料は無効といった、法的見解を明確に示している弁護士を選ぶことが重要です。
このような対応方針を公表している法律事務所を選び、ゼロ和解や過払い金返還請求など、強い姿勢で交渉に臨めるかどうかが、最終的なトラブル解決の成果に影響するでしょう。
まとめ

ファクタリングの返済不能や過剰な取り立ては、放置するほど資金繰りや信用を悪化させるおそれがあります。
業者からの請求はすべて正当とは限らず、契約の実態が違法な貸付に該当する場合には、支払義務を免れたり、返済条件の見直しが可能なケースもあるでしょう。弁護士に相談すれば、督促の即時停止や分割返済交渉、取引先への通知回避など、法に基づいた対応が可能です。
費用や社内への影響を心配する方もいるかもしれませんが、ひとりで抱え込まず早期に専門家へ相談することが、会社の信用と自身の生活を守るための重要な一歩となるでしょう。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。
