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会社の債務整理の基礎を解説!借金解決に向けた手続きの種類やメリット・デメリット | 千代田中央法律事務所

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資金繰りの悪化や税金滞納など、会社の財務状況に深刻な課題を抱え、債務整理を検討されている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

先行きの見えない不安のなかで、どのような手段があり、自社にとって何が最善の道なのか、判断に迷うことは少なくありません。

この記事では、会社の債務整理について、基本的な定義とそれぞれのメリットやデメリットを網羅的に解説します。

会社の債務整理に関する正確な知識を得たいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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会社の債務整理とは?

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会社の債務整理とは、経営難に陥った企業が抱える借金問題に対し、法的手続きや私的交渉を通じて解決を図る手段のことです。

資金繰り表上で1か月先のキャッシュフローが赤字となる見込みであったり、税金や社会保険料の支払いが2か月以上滞納してしまったりするような状況は、専門家への相談を検討すべき重要なサインと考えられます。

早期に債務整理に着手することで、取引先や従業員への不測の影響を極力抑え、同時に経営者個人が負う保証債務の負担を軽減できる可能性も高まります。

したがって、まずは決算書や資金繰り表などの財務資料を整理し、速やかに弁護士や税理士といった専門家に相談することが、会社と経営者自身の将来を守るための第一歩です。

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会社の債務整理の種類

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会社の債務整理は、法的整理と私的整理の2つに分類され、さらにいくつかの手続きにわけられます。

ここでは、以下5つの債務整理の種類を解説します。

  1. 民事再生
  2. 会社更生
  3. 私的整理
  4. 破産手続
  5. 特別清算

それぞれを詳しくみていきましょう。

1. 民事再生

会社の民事再生は、事業を継続させつつ、経営の立て直しを図りながら債務を整理する方法です。

この手続きでは多くの場合、現経営陣が引き続き経営の主導権を握り、裁判所の監督下で債務の大幅な減額を目指します。

再生計画が認可されれば、圧縮された債務を分割で返済していくことになります。

一般的には、事業自体には将来性が見込まれるものの、過大な債務により経営が困難になっている中小企業に適しているといえるでしょう。

2. 会社更生

会社更生は、主に経営規模の大きな企業が、経営の抜本的な立て直しを目指す際に利用する法的整理手続です。

この手続きでは、裁判所によって選任された更生管財人が経営の主導権を握り、民事再生よりも強力な法的権限をもって、大規模な債務整理と事業再構築を推進します。

会社更生手続が開始されると、既存の株主の権利は原則としてすべて失われ経営陣も退任するのが一般的です。

一方で、担保権者の権利行使も一定の制限を受けるため、事業継続に必要な工場や設備などの資産を保全しやすいという利点があります。

ただし、手続きは非常に複雑で、多額の費用と長い期間を要する傾向にあります。

そのため、債権者や株主をはじめとする利害関係者が多い大企業や、担保付き資産が多く抜本的な経営改革が不可欠な場合に検討されることが多いでしょう。

3. 私的整理

私的整理は、裁判所の正式な手続きを経ずに、会社と債権者(主に金融機関)との間の話し合いによって返済条件の変更や債務の一部の免除などを目指す方法です。

具体的な手法としては、個別の債権者との任意整理交渉や、中立的な第三者機関が関与する事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)などがあげられます。

最大のメリットとしては、手続きが原則として非公開で進められるため、取引先や顧客への情報拡散を抑え、風評被害や事業価値の低下を最小限に留めやすい点です。

メインバンクとの間に良好な関係が築けている中小企業が、一時的な業績不振に陥った際に有効な手段となり得ます。

しかし、私的整理を成功させるためには、原則としてすべての債権者からの同意を得る必要があり、債権者の数が多い場合や、一部に非協力的な債権者がいる場合には、合意形成が難航する可能性があります。

4. 破産手続

破産手続は、債務の支払いが不可能または著しく困難になった会社が、最終的に法人格を消滅させることを目的とした清算型の法的整理です。

手続きにかかる費用は会社の財産状況によって異なり、期間も数か月〜1年以上を要するケースもみられます。

破産手続が開始されると、経営者はその地位を失い、会社の有するすべての財産は破産管財人によって換価処分されます。

※破産管財人とは、破産者の財産を調査・管理・換価し、債権者へ公平に配当する者で、裁判所から選任された弁護士などのこと。

会社の破産手続は、事業の再建が見込めない場合に選択されることが一般的です。

5. 特別清算

特別清算は、解散した株式会社が通常の清算手続きでは債務を完済できそうにない場合に利用される、比較的簡易な清算型の法的整理です。

多くの場合、元の代表取締役などが清算人となり、裁判所の監督のもとで債権者と協議しながら自主的に清算手続きを進めていきます。

ただし「債権者集会で議決権を行使できる債権者の過半数であって、かつ議決権者の議決権の総額の3分の2以上」の同意を得なければ、特別清算はおこなえません。

破産に比べて手続きが簡易であることや、元経営者が清算人として関与できることなどがメリットです。

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会社が私的整理するメリット

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会社が私的整理を選択することには、いくつかのメリットが考えられます。主なものは以下のとおりです。

それぞれを詳しくみていきましょう。

事業を継続したまま再建を図れる

私的整理を選択する最大の利点は、会社を消滅させることなく、事業活動を継続しながら借金問題の解決に取り組めることです。

事情により会社の債務が膨らんだとしても、現在の事業に十分な収益性が見込まれる場合には、金融機関と返済について交渉できる可能性があります。

また、経営者保証に関するガイドラインを適用できれば、経営者個人の保証債務についても整理の道が開けるため、企業と経営者の双方が再スタートを切るための大きな助けとなり得ます。

参照:経営者保証に関するガイドライン(中小企業庁)

裁判所を介さずに交渉ができるケースもある

私的整理では、裁判所の厳格な手続きを経ることなく、債権者と直接交渉できるため、状況に応じた柔軟かつ迅速な解決が期待できる場合があります。

ただし、私的整理を成功させるためには、債権者との間に築かれた信頼関係が不可欠です。財務状況や事業計画に関する情報を誠実に開示し、実現可能な返済計画を提示することが求められます。

債権者の数が比較的少なく、主要な債権者との関係が良好であれば、交渉力に長けた弁護士などの専門家と連携し、私的整理による直接交渉を検討する価値があるでしょう。

手続きの費用を比較的低く抑えられる

私的整理は、法的整理と比較して、手続きにかかる費用を低く抑えられる傾向があります。

法的整理では裁判所への予納金や管財人等への報酬が発生しますが、私的整理ではこれらの費用が原則として不要であり、主に専門家への報酬が費用となります。

実際にかかる費用は案件ごとに異なるため、まずは専門家に相談してみましょう。

なお、事前に債権者の数や債務総額などを整理しておくことで、より具体的な見積りが可能です。

外部に知られにくいため信用への影響を抑えられる

私的整理のメリットとして、手続きが原則として非公開で進められるため、取引先や顧客に債務整理の事実が知られにくい点があげられます。

借金の情報が知られることで、取引先からの信用不安を招き、取引条件の悪化や取引停止につながる可能性も否定できません。

法的整理の場合は手続き開始決定などが官報に公告されるため、事実上、情報が公になりますが、私的整理の場合はそのリスクを回避できます。

弁護士介入により督促が止まる

私的整理の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士から各債権者に対して受任通知が送付されます。

この通知が債権者に到達した時点で、貸金業法等の規定にもとづき、貸金業者からの債務者への督促や取り立て行為は法的に停止されることになります。

その他の債権者(金融機関や取引先など)についても、弁護士が交渉窓口となることで、事実上、直接の督促が停止するケースが一般的です。

さらに、弁護士が債権者との交渉窓口となることで、専門的な知識と経験にもとづいた冷静な交渉がおこなえるでしょう。

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会社が私的整理するデメリット・注意点

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私的整理には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。主なものは以下の通りです。

それぞれを詳しくみていきましょう。

債権者の同意を得る必要がある

私的整理を進めるうえでの最大の難関は、原則としてすべての債権者から同意を得なければならないという点です。

法的整理(民事再生や会社更生など)では、裁判所の関与のもと、法律の定める多数決によって再建計画等を成立させることが可能ですが、私的整理にはそのような法的強制力はありません。

そのため、一社でも強硬に反対する債権者がいれば、手続き全体が頓挫してしまうおそれがあります。

債権者の同意を得やすくするためには、債権者の数を可能な限り絞り込むことや、主要な債権者と良好な関係を維持しておくことなどがあげられます。

元本の大幅な減額は期待しにくい

私的整理においては、将来発生する利息のカットや返済期間の延長については、比較的合意が得られやすい傾向にあります。

しかしながら、法的整理に比べて元本の大幅なカットはより困難であり、利息免除や返済期間の猶予が交渉の中心となることが多いでしょう。

債務の大幅な圧縮が不可欠な場合には、法的整理の検討なども視野に入れる必要があります。

企業の信用力が低下する

私的整理は法的整理と比較して、外部への情報漏洩リスクは低いものの、金融機関との取引において企業の信用力が低下することは避けられません。

私的整理をおこなった事実は、対象となった金融機関の内部情報として記録され、その後の融資審査に影響を及ぼします。

信用力が低下すると、今後の借入れが困難になり、事業拡大や立て直しの際に悪影響を及ぼす可能性があります。

連帯保証人(代表者)に請求が及ぶ

会社が私的整理をおこなっても、代表者個人が会社の債務を連帯保証している場合、その返済義務は代表者本人に残ります。

多くの中小企業では、経営者が会社の連帯保証人になっているのが一般的です。そのため、会社の債務整理は、事実上、代表者個人の債務問題にも直結します。

連帯保証人である代表者への影響を最小限に抑えるためには、会社と個人の債務整理を一体のものとして捉え、できる限り早い段階で専門家に相談することが重要です。

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会社の代表者が選択できる債務整理の種類

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会社の債務整理に伴い、代表者個人も連帯保証債務などの整理が必要になる場合があります。代表者個人が検討できる主な債務整理方法は以下のとおりです。

それぞれの特徴を知り、自分にあう手段をみつけましょう。

任意整理

任意整理は、裁判所を介さずに、専門家が債権者と直接交渉をおこない、将来発生する利息のカットや返済期間の見直しを通じて月々の返済負担を軽減する手続きです。

この手続きでは、整理する債務を選択できる場合があり、住宅ローン等を除外して財産を維持しつつ他の借金のみを整理することも可能です。

基本的に元本そのものが減額されるわけではなく、将来利息の免除と返済条件の緩和が中心となります。

個人再生

個人再生は、債務の総額を大幅に減額してもらい、減額後の残債務を原則として3年間(最大5年間)で分割して返済していく手続きです。

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用すれば、住宅ローンの返済を続けながら自宅を残し、それ以外の借金を整理できる場合があります。

裁判所を通じて法的な手続きをおこなうため、申立てから再生計画が認可されるまでには一定の期間を要します。

自己破産

自己破産は、借金の支払義務を原則として免除(ゼロ)にする法的手続きです。

多額の借金で返済の目途がまったく立たない場合は、自己破産を選択することになるでしょう。

この手続きでは、マイホームや高価な自動車など、一定価値以上の財産は原則として処分されることになります。

自己破産を選択することで債務から逃れられる可能性がありますが、裁判所の決定がでるまでにはある程度の期間を要することになるでしょう。

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会社が債務整理する際の流れ

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会社が債務整理をおこなう際の一般的なプロセスは、おおむね以下のステップで進められます。

  1. 弁護士への相談
  2. 現状の把握
  3. 再建方針の策定
  4. 最適な債務整理方法の選択
  5. 債務整理手続きの実行

1. 弁護士への相談

債務整理を検討する最初のステップは、企業法務や事業再生に詳しい弁護士へ早期に相談することです。

専門家は、それぞれの状況に適した解決策への道筋を示してくれます。とくにキャッシュフローの悪化や税金・社会保険料の滞納が慢性化している場合は、迅速な相談が肝心です。

早い段階での行動が、より多くの選択肢を可能にします。

2. 現状の把握

次に、自社の財務状況や債務の内容、保有資産の状況などを正確に把握しましょう。

なぜ資金繰りが悪化したのかという根本原因を究明し、負債総額や債権者の内訳、担保権の設定状況などを詳細に調査します。

事業そのものの収益性や将来性についても、客観的かつ冷静に評価する必要があります。

3. 再建方針の策定

現状分析の結果を踏まえ、会社を存続させて再建を目指すのか、あるいは清算手続きに移行するのかという基本的な方針を決定します。

事業を継続する場合には、不採算事業からの撤退や人員体制の適正化など事業構造改革を含む、具体的な事業再生計画を策定しなければなりません。

具体的な事業再生計画を策定することが、債務整理の方向性を定めるうえで極めて重要なステップとなります。

4. 最適な債務整理方法の選択

次に、会社の財務状況や事業の将来性などを総合的に考慮し、最適な債務整理方法を選択します。

前項で紹介した私的整理や民事再生、会社更生など、さまざまな手段から自社にあう方法を選びます。

この決断は非常に難しい場合が多いため、ひとりで悩まずに弁護士などの専門家に相談するのが得策です。

会社の先行きを決定する重大な決断となり得るので、慎重に決断しましょう。

5. 債務整理手続きの実行

最適な債務整理方法が決定したら、弁護士など専門家の支援を受けながら、具体的な手続きを着実に進めます。

私的整理の場合は、主に債権者との個別交渉や債権者集会の開催が中心となります。

法的整理の場合は、裁判所への申立て書類の作成・提出のほか、裁判所や監督委員・管財人との面談が発生するでしょう。

いずれの手続きにおいても、関係者への情報開示や丁寧な説明などが求められるでしょう。

また、必要な書類も多くありますので、迅速に提出できるようにしておく必要があります。

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債務整理は専門家への相談を

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債務整理に関して弁護士に相談するメリットは、会社にとって最適な手段を、専門家の立場から教えてくれることです。

知識なく債務整理をおこなうことは現実的には難しく、何らかのサポートは欠かせません。

弁護士に依頼することで、債権者からの直接の督促や取り立て行為がストップするため、経営者は日々の精神的なプレッシャーから解放されます。

これによって、落ち着いて今後の対応策を検討するための時間を確保することができます。

信頼できる弁護士事務所を選ぶためには、まず、その事務所や担当弁護士が、債務整理に関して豊富な実績と高度な専門性を有しているかどうかを確認することが重要です。

債務整理は、一般的な法律相談とは異なる交渉スキルが要求される分野です。

この分野に特化しているか、あるいは多くの案件を手掛けてきた実績のある弁護士を選ぶことで、より有利な条件での解決が期待できるでしょう。

また、債務整理の手続きは、事案によっては数か月から数年にわたる長期的な取り組みになることも少なくありません。

そのため、担当となる弁護士と円滑なコミュニケーションが取れるかどうかも大事な要素となります。

初回の無料相談をおこなっている弁護士事務所も多くあるので、これらを利用してみるのもおすすめです。

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まとめ

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本記事では、会社の債務整理の定義や私的整理を選択する際のポイント、手続きの一般的な流れなどを解説しました。

資金繰りの問題や過大な債務に直面した際は、問題を先送りにせず、早期に現状を正確に把握し、専門家へ相談することが解決への確実な第一歩です。

この記事で得た知識が、会社の困難な状況を乗り越え、建設的な次のステップを踏み出すための一助となることを願っています。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。