経済的な困難に陥り、破産を検討したものの、以下のような疑問や悩みを抱え行動できない方はいるのではないでしょうか。
- 破産手続きはどのように進めるの?
- 費用はどのくらいかかるの?
- 手続きを進める際の注意点は?
本記事では、個人破産と法人破産それぞれの手続きを具体的に解説しています。また、必要な費用や破産手続きの注意点、メリットやデメリットも紹介します。
破産手続きの具体的な流れを網羅的に理解すれば、漠然とした不安も和らぎ、精神的な負担を軽減することが可能です。
ぜひ本記事を参考に、破産手続きをスムーズに進め、再出発の一歩を踏み出しましょう。
破産手続きとは
破産手続きとは、借金の返済ができなくなった債務者が、裁判所に申し立て財産を清算し、法律的に借金の支払い義務を免除してもらう制度です。生活の再建を目的としており、個人法人どちらも利用できます。
ここでは、個人破産と法人破産の違いや、破産以外の債務整理との違いを紹介するので、破産の全体像を理解する際の参考にしてください。
個人破産と法人破産の違い
個人破産と法人破産は、以下のとおり対象者や目的、資産への影響などが異なります。
| 項目 | 個人破産(自己破産) | 法人破産 |
|---|---|---|
| 対象者 | 一般の個人(会社員や自営業など) | 法人(株式会社や合同会社など) |
| 目的 | 個人の生活の立て直し | 会社の清算や債権者への平等な返済 |
| 借金の免除 | 原則借金は免除(返済義務は消滅) | 資産を処分した上で債権者に平等に返済(返済不可の場合は免除) |
| 資産への影響 | 一定の生活必需品は処分の対象外 | 原則すべての資産が処分の対象 |
| 生活への影響 | 最低限の生活は守られ再スタートが可能 | 会社は解散され事業の継続は不可 |
また費用面では、個人破産よりも法人破産のほうが高額になる傾向があります。
法人の代表者であれば。会社の連帯保証人になっているケースもあり、法人破産と同時に個人破産を検討せざるを得ない可能性もあるでしょう。
破産以外の債務整理との違い
借金問題を解決するための債務整理には、破産以外にも以下のような選択肢があります。
【個人破産の場合】
| 破産以外の債務整理 | 概要 |
|---|---|
| 任意整理 | 裁判所を通さず債権者と直接交渉して返済額や利息を減らす方法 |
| 個人再生 | 裁判所を通じて借金を減額し3〜5年で分割返済する方法 |
| 特定調停 | 裁判所が仲介し借金の返済条件を調整する方法 |
【法人破産の場合】
| 破産以外の債務整理 | 概要 |
|---|---|
| 私的整理 | 債権者と直接交渉し返済計画の見直す方法 |
| 民事再生 | 事業を続けながら債務整理を行い会社を立て直す方法 |
| 会社更生 | 裁判所が選んだ管財人が経営を引き継ぎ債務整理することで会社の再建を目指す方法 |
| 特別清算 | 解散した株式会社が債権者の同意を得て会社の借金を整理する方法 |
法人破産の債務整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。
法人の債務整理とは?費用内訳や種類、メリット・デメリットを解説
個人破産の手続きの流れ
個人破産の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 弁護士に相談・依頼する
- 債権者に受任通知を送付する
- 申立書類を作成する
- 裁判所に破産手続きを申立てする
- 破産手続きの開始が決定する
- 債権者から意見が申述される(同時廃止の場合)
- 破産管財人が債務者の財産を調査する(管財事件・少額管財の場合)
- 債権者集会が行われる(管財事件・少額管財の場合)
- 免責許可が決定する
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
1. 弁護士に相談・依頼する
個人破産の第一歩は、まず弁護士への相談から始まります。
破産手続きは法律的に複雑で、適切な書類作成や法廷での対応など専門知識が必要となるため、弁護士のサポートが不可欠です。
まずは無料の初回相談を依頼し、借入先や借入額、収入や資産状況などを詳しく聴取してもらいます。
弁護士は相談者一人ひとりの状況に応じて、自己破産以外の債務整理方法も含めた最適な解決策を提案してくれます。
弁護士を選ぶ際は、債務整理の実績や経験の豊富さ、費用体系などが判断基準になるでしょう。
2. 債権者に受任通知を送付する
破産手続きを弁護士に依頼すると、まず各債権者に受任通知が送付されます。受任通知とは、債務者が弁護士に債務整理を依頼したことを債権者に通知する書面です。
受任通知には法的効力があり、債権者は債務者本人への直接の連絡や取り立てが禁止され、連絡窓口は原則弁護士となります。
受任通知を送付すると、日々の督促による精神的なストレスから解放されるため、債務者に大きな安心感をもたらしてくれます。
受任通知の送付後は、債権者から届いた郵便物や督促状はすべて弁護士に転送し、万が一債権者から連絡があった場合は、弁護士に依頼している旨を伝え連絡先を案内しましょう。
3. 申立書類を作成する
破産手続きには、さまざまな申立書類が必要なため、弁護士のサポートを受けながら適切に準備することが重要です。
個人破産では、主に以下のような書類が必要です。
- 破産手続開始・免責許可申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 収入証明書類
- 家計状況がわかる書類
- 預貯金通帳のコピー
とくに陳述書は、破産に至った経緯や反省点、今後の生活再建への意欲などを記載する重要な書類で、裁判官が免責許可の判断を行う際の重要な材料となります。
申立書類の作成にあたっては、弁護士の指示に従い、正確な情報を隠さず提供することが重要です。虚偽の記載は、免責不許可事由となる可能性があるため避けましょう。
4. 裁判所に破産手続きを申立てする
必要書類の準備が整ったら、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に、弁護士が代理人として破産手続開始の申立てを行います。
申立時には、以下のような費用も必要です。
- 収入印紙代(1,500円程度)
- 予納郵券代(5,000円程度)
- 官報公告費(15,000円程度)
申立書類を裁判所に提出後、裁判所書記官による書類チェックが行われ、不備があれば訂正を求められます。
申立ての際には、債務者本人の出頭が必要な場合もありますので、弁護士の指示に従いましょう。
5. 破産手続きの開始が決定する
裁判所は申立内容を審査し、破産原因に問題はなく支払不能状態が認められると、破産手続開始決定を下します。
破産手続きの開始が決定すると、債務者の財産は法的保護のもとに置かれるため、債権者の個別の回収行為はできません。
同時に裁判所は、債務者の財産状況などを考慮して、同時廃止事件にするか管財事件にするかを決定します。
同時廃止事件と管財事件の違いは、以下のとおりです。
| 破産手続きの種類 | 概要 |
|---|---|
| 同時廃止事件 | 債務者に処分すべき財産がなく破産手続きと同時に終了する簡易的な手続き |
| 管財事件 | 一定の財産がある場合に選ばれる手続き(財産が少ない場合は少額管財となる) |
同時廃止の場合は次のステップとして債権者の意見申述へ、管財事件の場合は破産管財人による財産調査へと進みます。
6. 債権者から意見が申述される(同時廃止の場合)
同時廃止事件では、破産手続開始決定後、裁判所から各債権者に対して、免責についての意見申述の催告書が送付されます。
意見申述の催告書とは、債権者に対して債務者の免責許可に関する意見を述べる機会を与えるもので、債権者は催告に対して債務者の免責を認めるべきでないと考える場合、理由を記載して裁判所に提出します。
免責を認められないのは、以下のような理由です。
- 債権者を害する目的での財産隠し
- 破産前に特定の債権者への優先的な返済行為
- 浪費やギャンブルによる著しい財産減少
ただし、債権者から不許可を求める意見があっても、直ちに免責が認められないわけではありません。債権者からの意見申述期間が経過した後、問題がなければ免責許可決定へと進むでしょう。
7. 破産管財人が債務者の財産を調査する(管財事件・少額管財の場合)
管財事件の場合は、裁判所が選任した破産管財人が、債務者の財産状況を詳しく調査します。
破産管財人は、一般的に弁護士が担い、債権者全体の利益のために中立的な立場で職務を遂行する専門家です。まず債務者との面談を行い、財産状況や破産に至った経緯、財産状況などを聴取します。
また、免責不許可事由の有無についても調査し、裁判所に報告します。破産管財人との面談には必ず出席し、質問には正直かつ具体的に答えましょう。
虚偽の説明をすることは、免責不許可事由となる可能性があるため厳禁です。
8. 債権者集会が行われる(管財事件・少額管財の場合)
管財事件では、破産手続開始決定から約3ヶ月後を目安に債権者集会が開催されます。
債権者集会は原則裁判所で開かれ、債務者本人や破産管財人、出席を希望する債権者が参加します。
集会では、破産管財人が債務者の財産状況や換価の状況、配当の見込みなどを報告し、債権者からの質問に答えるのが一般的です。
債権者集会の回数や間隔は事案の内容によって異なりますが、すべての集会を終えるまでに6ヶ月~1年以上かかることもあります。
集会では、裁判官や破産管財人から質問されることがあるため、破産に至った経緯や財産状況について正確に答えられるよう準備しておくことが大切です。
9. 免責許可が決定する
手続きが問題なく進めば、裁判所が免責許可決定を下し、法律上借金の支払い義務が免除されます。
同時廃止事件の場合は、債権者からの意見申述期間が経過した後、裁判所が免責許可の判断を行い、申立てから3~4ヶ月程度で免責許可決定が出るでしょう。
管財事件の場合は、破産管財人による調査や財産の換価、配当が完了した後に裁判所に免責に関する意見書が提出され、裁判所が免責許可を判断します。
所要期間は、少額管財で6ヶ月~1年、通常管財で1年以上かかることもあります。
免責許可の決定後は、信用情報機関に5〜7年間「ブラックリスト」として登録されるため、その間はクレジットカードやローンの利用が制限されるでしょう。
法人破産の手続きの流れ
一方、法人破産の手続きは、以下の流れで行います。
- 弁護士に相談・依頼する
- 弁護士が受任通知を発送する
- 従業員へ解雇通告し事務所や店舗を明け渡す
- 必要書類を作成する
- 取締役会で破産の承認を得る
- 裁判所に破産申立の審査を受ける
- 破産審尋を受け破産管財人を選任する
- 財産換価や債権者集会が行われる
- 債権者に配当が渡され破産手続きが完了する
詳しい手順内容を見ていきましょう。
法人破産の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
法人破産とはどういう手続き?費用相場やメリット・デメリット、スケジュールを解説
1. 弁護士に相談・依頼する
法人破産の手続きを開始する際は、まず破産の専門家である弁護士に相談することが大切です。
法人破産の場合、債務の金額も高額なケースが多く、専門的な知識が必要な手続きも多いため、弁護士の支援が不可欠です。
弁護士に依頼することで、債権者からの督促を一時的に止めたり、専門的な書類作成をサポートしてもらえたりします。
法人破産は自己破産とは異なり、従業員への説明や事務所の明け渡しなど、さまざまな対応が必要になってきます。そのため、弁護士に相談しながら、適切な手続きを進めることが重要です。
2. 弁護士が受任通知を発送する
弁護士に破産手続きのサポートを依頼すると、各債権者に対して受任通知が発送されます。
受任通知を送ることで、債権者は会社や代表者への直接的なやり取りが法的に禁止されるため、督促や支払い要求などのストレスから一時的に解放されます。
また、一部の債権者だけが先に回収を進めるような不公平な状況を防ぎ、全債権者の公平な取り扱いを確保することも目的です。
受任通知発送後も、債権者から会社宛に書面が届く場合は、すべて弁護士に転送すれば問題ありません。
3. 従業員へ解雇通告し事務所や店舗を明け渡す
法人破産の場合、弁護士に依頼し破産手続きが開始された時点で、従業員への解雇通知、事務所や店舗の明け渡し手続きなどを行う必要があります。
法人破産は会社の清算を前提としているため、事業活動を継続することはできません。そのため、必ず従業員への解雇通知をおこなわなければいけません。通知の時期は、破産申立ての1~2週間前に行うことが一般的です。
従業員には、解雇理由や最終賃金の支払い、社会保険の手続きや退職証明書の発行など、必要な情報を正確に伝えることが重要です。
事務所や店舗の賃貸物件については、契約書に基づき解約の申し入れを行い、敷金の清算や原状回復の交渉を進めましょう。
従業員や関係各所に対する説明は、会社の信用や代表者の個人的信用に影響するため、弁護士のアドバイスを受けながら、適切な情報開示と誠実な対応を心がけましょう。
4. 必要書類を作成する
法人破産の申立てには、会社の財務状況や経営の経緯を示すさまざまな書類を準備する必要があります。
主な必要書類は、以下のとおりです。
- 破産手続開始申立書
- 法人登記の全部事項証明書
- 定款や株主名簿
- 決算書類
- 清算貸借対照表
- 債権者一覧表
- 資産目録
- 破産に至った事情を説明する報告書
- 取締役会議事録
- 従業員名簿や給与台帳
- 賃貸借契約書のコピー
- 各種取引契約書
- 預金通帳のコピー
- 税金の申告書控え
法人破産の場合、個人破産に比べて必要書類が多いため、すべての書類を揃えるまでに、通常1~3ヶ月程度かかります。
書類作成にあたっては、弁護士の指示に従い、会社の経理担当者や税理士と協力して、正確な情報を提供することが重要です。
5. 取締役会で破産の承認を得る
法人破産の手続きを完了させるためには、取締役会の決議または取締役全員の同意という会社の正式な意思決定手続きが必要です。
法人破産の申立ては、会社の存続に関わる重要な決定であるため、適正な会社内の手続きを経ることが法的に要求されています。
取締役会が設置されている会社の場合「当社は支払不能(または債務超過)の状態にあるため、東京地方裁判所に破産手続開始の申立てを行う」という議案について取締役会で決議し、議事録を作成します。
取締役会を設置していない会社でも、取締役全員の同意を書面で得ることが必要です。
すべての取締役に会社の現状と破産申立ての必要性について十分説明し、理解を得ることが重要になってくるでしょう。
6. 裁判所に破産申立の審査を受ける
必要書類の準備と取締役会決議が完了したら、本社所在地の管轄する地方裁判所に、必要書類とともに、破産手続き開始の申立を行います。
申立ては通常、弁護士が代理人として行い、裁判費用に必要な官報公告費や予納金なども支払います。
必要な費用は、会社の規模や債務の金額によって異なるため、弁護士を通じて詳しい金額を確認しておくことが重要です。
必要書類を裁判所に提出後、裁判所書記官による書類チェックが行われ、不備や訂正箇所があれば再提出を求められます。
その後、裁判官による審査が行われ、必要に応じて破産審尋が設定されます。申立てから破産手続開始決定までは、通常2週間~1ヶ月程度かかるでしょう。
なお破産審尋とは、裁判所が破産手続き開始の可否を判断するために債務者から事情を聞く手続きのことです。
7. 破産審尋を受け破産管財人を選任する
裁判所は申立内容を審査し、必要に応じて破産審尋を実施します。その後、破産手続開始決定を下し、破産管財人を選任する流れです。
破産審尋は会社の代表者が出席し裁判所で行われ、裁判官からは負債や資産の状況、破産に至った原因や直近の取引状況などについて質問されます。
審尋を経て問題がなければ、裁判所は破産手続開始決定を下し、同時に破産管財人を選任します。破産管財人には、弁護士が選ばれるのが一般的です。
会社の代表者は破産管財人との初回面談を行い、会社の財産に関する資料を提出したり、会社の財産や経営状況について詳しく説明をしたりします。
8. 財産換価や債権者集会が行われる
破産管財人は会社の財産の調査や換価を実施し、債権者集会を開催して債権者に対して状況を報告します。債権者集会は裁判所で開催され、複数回行われるのが一般的です。
調査の内容は、会社の預金口座や不動産、在庫や売掛金、機械設備などのあらゆる財産についてです。換価の方法は財産の種類によって異なり、不動産は競売や任意売却され、売掛金は回収活動が実施されます。
また破産管財人は、破産前の不自然な財産処分や特定債権者への弁済がなかったかも調査し、場合によっては否認権を行使して財産を取り戻すこともあります。
会社の代表者は債権者集会に出席して、債権者からの質問に答える義務があるため、財産調査や換価には全面的に協力し、求められた資料や情報はすみやかに提供しましょう。
9. 債権者に配当が渡され破産手続きが完了する
破産管財人による財産の換価が完了すると、債権者への配当が行われます。その後、裁判所による破産手続終結決定が下されれば、手続き完了です。
配当は、法律で定められた優先順位に従い、以下の順で支払われます。
- 破産手続きの費用や破産管財人の報酬などの財団債権
- 税金や社会保険料などの優先的破産債権
- 従業員の給与や退職金などの労働債権
- 銀行借入や仕入先の買掛金など一般の破産債権
ただし多くの破産事件では、一般の破産債権者への配当はごくわずか、またはまったくないケースも少なくありません。
配当が完了すると裁判所が破産手続終結決定を下し、官報に公告されることで、法人格は消滅します。
破産手続きの費用相場
破産手続きの費用は、個人破産と法人破産で異なり、それぞれ弁護士費用や裁判所への申立費用などが必要です。
ここでは、それぞれの費用の相場をわかりやすく解説しているので、破産手続きでいくらかかるのか不安な方は参考にしてください。
個人破産の場合
個人破産の費用の相場は、30万円〜130万程度です。主な費用は、弁護士への依頼費用と裁判所への納付費用で、以下のように手続きの種類によって異なります。
| 手続きの種類 | 費用の相場 |
|---|---|
| 同時廃止事件 | 30万〜50万円程度 |
| 少額管財事件 | 50万〜80万円程度 |
| 通常管財事件 | 80万〜130万円程度 |
弁護士費用に関しては分割払いが可能な場合もあるため、経済的に余裕がない場合は、事前面談で費用に関する不安を伝えておくことが大切です。
依頼する弁護士を選ぶ際は費用だけでなく、経験や実績、対応する際のコミュニケーションの様子なども参考にしましょう。
法人破産の場合
法人破産の費用は個人破産よりも高額になるケースが多く、数百万円以上になることもあります。
法人の資産や負債は複雑であり、関係者の数も多いため、破産管財人の業務量が膨大になることで費用が高くなる傾向です。
法人破産の場合に必要な費用と相場は、以下のとおりです。
| 必要な費用 | 費用の相場 |
|---|---|
| 裁判所への予納金 | 数十万〜数百万円 |
| 申立手数料 | 数万円程度 |
| 弁護士への依頼費用 | 数十万〜数百万円 |
裁判所への予納金に関しては破産事件の種類によって異なり、少額管財事件ではおよそ20万円程度で、特定管財事件の場合は、負債額に応じて70万〜700万円以上になることもあります。
余裕を持って費用面を把握するためにも、早めに弁護士に相談し、費用の見通しを立てることが重要です。
法人破産の費用については、以下の記事でも詳しく解説しているのでご覧ください。
法人破産の費用を抑えるコツや相場・払えないときの対処法を解説
破産手続きを行う際の注意点
破産手続きを行う際の注意点についても、個人破産と法人破産別に見ていきましょう。
破産は手続きが複雑なため、専門家のサポートが不可欠です。また、破産後は日常生活にも影響が出る可能性があるため、事前に注意点を把握した上で手続きを進めることが大切です。
個人破産の場合
個人破産の場合は、免責が認められないケースもあります。たとえば、ギャンブルをはじめとした浪費による借金の場合、裁判所が破産手続きを却下する可能性があります。
そのため、破産の理由や費用計画を考える際は、経験豊富な弁護士に相談しましょう。
また破産手続きが完了すると、信用情報に登録され、5年〜10年ほどは新たな借入やクレジットカードの利用に制限がかかります。
今後の生活への影響やリスクなどもしっかりと理解した上で、破産手続きを正式に進めるか検討しましょう。
法人破産の場合
法人破産の場合、個人破産に比べて手続きにかかる費用が高く期間が長くなります。手続きが複雑で膨大な時間を要するため、弁護士とこまめに相談しながら行うことが求められます。
また、従業員や取引先への影響も大きいため、早めに関係者に説明し適切な対応をとることで、ある程度の理解を得ておくことが重要です。
中小企業の場合、代表者個人が保証人になっているケースもあるため、法人破産だけでなく個人破産も必要になるかもしれません。
法人破産は会社の財産をすべて清算し、債権者へ公平に配当する手続きを裁判所が管理するため、事業の継続はできなくなります。
事業の継続を目指す場合は、弁護士に相談し破産以外の選択肢を検討することも重要になってくるでしょう。
破産手続きのメリット・デメリット
破産手続きは、借金が免除され再出発が可能になるメリットがある反面、さまざまな制約も生じる制度です。
そのため、事前にメリットとデメリットを確認し、その後の生活への影響も考慮した上で、正式に手続きを開始しましょう。
破産手続きのメリット
破産手続きのメリットは、債務の支払い義務が法的に免除になり、日々の督促によるストレスから解放されることです。法人破産であれば、多額の債務を抱えていても、破産手続きにより支払いを免れる可能性があります。
個人破産の場合は、自由財産として99万円以下の現金や生活必需品を手元に残せるのも、破産手続きの利点といえます。
また、破産手続開始決定後の収入や財産は原則として自分のものになるため、将来の収入を確保できる点も特徴的です。
破産したからといって生活が完全に終わるわけではなく、経済的な再生のために必要なステップと捉えることで、破産手続き完了後も前向きに再スタートが切れるでしょう。
破産手続きのデメリット
破産手続きには、以下のようにさまざまなデメリットも存在します。
- 自由財産を除く財産が処分の対象となる(個人破産の場合)
- 信用情報機関に破産情報が5〜7年間登録される
- 弁護士や税理士など一部の職業に就けなくなる
- 手続きに必要な費用や時間などの負担がある
- 従業員や取引先の金融機関などの信頼を失うリスクがある
破産申立をした方の氏名や住所が官報に掲載され、破産の事実が公的データに残ることも把握しておきましょう。
また、代表者が保証人の場合、法人破産と個人破産の手続きを同時に進める必要があるため、業務負担が膨大になることも注意が必要です。
まとめ
破産手続きを検討していても、具体的な手順がわからないと不安になるでしょう。破産は、関連する法律を理解した上で、正しく手続きすることが重要です。
また、個人破産と法人破産でそれぞれ手続き内容や費用、期間などが異なります。そのため、まずは弁護士に相談した上で、必要な書類や費用を準備しながら進めなければいけません。
破産手続きは、経済的な困難から解放され、新たな生活を始めるための法的な手段です。一人で抱え込まず、まずは専門家である弁護士に相談することで、再出発への一歩となるでしょう。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

