民事再生・個人再生

個人再生でやってはいけないことを解説|失敗時のリスクや適切に進めるポイントも紹介 | 千代田中央法律事務所

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借金問題の解決策として有効な個人再生ですが、利用する際はやってはいけないことを正しく理解しておく必要があります。誠実さを欠く行為や不当な行為は、個人再生に失敗するリスクを高める原因になるため、注意しなければなりません。

この記事では、個人再生でやってはいけないことや失敗時のリスク、適切に手続きを進めるためのポイントを解説します。

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個人再生を利用するためにやってはいけないこと

✕マークを掲げる手

個人再生は資産を手放さずに借金を大幅に減らせる制度ですが、ルールを守って行わないと失敗する可能性があります。

個人再生の手続きで失敗しないよう、法的に禁止されている行為や、やってはいけないことなどをおさえておきましょう。

特定の債権者だけに優先的に返済する

親戚や知人など、特定の人へ優先的にお金を返す行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、個人再生の手続きで不利に働くおそれがあります。偏頗弁済は特定の貸し手だけを優遇する不公平な対応であり、すべての債権者を平等に扱う原則に反するためです。

不自然な返済や資金移動があると、清算価値や財産評価の場面で不利に扱われる可能性があります。独断での返済は避けるようにしてください。

財産隠しや虚偽申告をする

裁判所に対して財産を少なく見せかけたり嘘をついたりする行為は、手続きの打ち切り要因になります。とくに、銀行口座から現金を引き出して手元に残しておく「タンス預金」などの行為は、調査により発見される可能性が高いです。

財産隠しや虚偽説明は、手続きの廃止や不認可の原因となるだけでなく、内容によっては刑事上の問題に発展するおそれもあります。正直にすべての財産を開示しましょう。

闇金利用など不当な資金調達をする

手続き中に闇金や個人的な融資を利用するのは避けましょう。裁判所から違法な借入が「経済的に再生する意欲がない」とみなされ、認可を得られないケースが考えられます。

家計が厳しくなった際は、生活福祉資金貸付の利用を検討したり、弁護士へ相談したりするなどの方法で対処するのが望ましいです。

ギャンブルや浪費で財産を減らす

競馬や競輪、身の丈に合わない高額な買い物などは、個人再生の手続き中は避けるべきです。個人再生では、減額後の借金を完済できる能力があるかを確認する「遂行可能性」の審査があります。毎月の家計収支表に娯楽費の支出や浪費が目立つ場合、将来の返済が困難であると判断されかねません。

日常生活に必要な支出までは制限されませんが、家計の改善は必須です。返済や生活にできる限り資金を充てて、完済を優先するようにしましょう。

財産の名義を突然変更する

申立て直前に自動車を家族の名義に変更したり、不動産の持ち分を配偶者に移したりする手続きは、資産の隠匿と判断される場合があります。自身は家族を守るための行動と考えていても、裁判所では債権者に分配すべき財産を不当に隠したとみなされるのです。

名義変更をする際は、事前に弁護士に相談して法的にどう評価されるか確かめたうえで行うのが望ましいです。

裁判所や弁護士への報告を怠る

収入が減少したり急な出費が発生したりした場合、その報告を怠ると手続きがうまく進まなくなります。通帳の履歴などと報告内容に矛盾があると、裁判所から不信感を抱かれるためです。

最悪の場合、不誠実な行為とみなされ、認可が下りないおそれもあります。些細なことでも、裁判所や弁護士に報告する習慣を身につけましょう。

新たに借金をつくる

手続き中にクレジットカードで買い物をしたり、誰かからお金を借りたりする行動は、新たな借金をつくる行為とみなされるため、避けてください。借金を整理している最中の借入は、生活を立て直す意思が見られないと判断されるためです。

借入が発覚すると、再生計画の遂行可能性に疑問を生じさせます。まずは家計を見直すことからはじめ、安易に借金することがない生活を心がけましょう。

手続きに必要な書類の提出が遅れる

個人再生のスケジュールはタイトで、遅延は厳禁です。とくに再生計画案の提出期限は1日でも遅れると手続きが終了します。

給与明細や源泉徴収票、通帳の写しなど、必要書類はあらかじめ整理し、いつでも提出できる状態に整えておきましょう。間に合わない事情があれば、期限前に必ず弁護士へ連絡を入れてください。

公共料金を滞納する

電気・ガス・水道代といった公共料金の滞納は、安定した生活ができていないとみなされ、手続き停滞の要因になります。滞納が長期化すれば、不認可となるケースもあるでしょう。

過去の滞納分については、偏頗弁済に該当しないよう弁護士と調整を行いながら解消していかなければなりません。家計のなかでも優先的に支払う費用を整理し、忘れずに納める習慣を身につけましょう。

履行テストの支払いを怠る

履行テストの支払いを怠ると、手続きに失敗する可能性が高いです。履行テストとは、再生計画にもとづく返済が実際に可能かどうかを確認するために実施されるトレーニング期間です。裁判所や運用によって、個人再生委員の管理のもとで、計画弁済予定額を一定期間積み立てる運用があります。

返済予定額と同じ金額を毎月指定口座へ積み立てますが、1回でも振込が遅れたり金額が不足したりすれば、返済能力なしとみなされます。

収入が入った日にすぐ積み立てるなど、支払いを怠ることのない仕組み・習慣をつくるのが重要です。

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個人再生の認可後にやってはいけないこと

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個人再生の認可が下りても、その後の対応次第では認可が取り消されたり手続きが取り止めになったりするおそれがあります。認可を受けてようやく返済がスタートするため、認可後も気を緩めず取り組まなければなりません。

個人再生の認可後にやってはいけないことを解説します。

再生計画にもとづく返済を滞納する

借金が無事に減らせたとしても、返済が遅れてしまうと手続きは進みません。何度も返済を怠れば、認可取り消しとなるおそれがあります。

もしどうしても支払えない状況になったら、計画の変更や返済期間の延長などを弁護士と相談しましょう。

裁判所や弁護士の連絡を無視する

個人再生の手続きが完了した後でも、専門家からの連絡は無視してはいけません。弁護士は返済が順調に進んでいるかを確認し、トラブルが起きそうなときに援助する目的で連絡を入れています。また、裁判所からの連絡を無視し続けても、認可に影響が出るおそれがあります。

弁護士とはこまめに連絡を取り合うようにし、良好な関係を築いて、手続きをうまく進めましょう。

退職や転職で返済困難な状態になる

無計画な退職や転職で収入が減少すれば、再生計画の遂行自体が続けられなくなる場合があります。とくに無断で退職したり収入の見込みが立たないまま転職したりすると、再生計画だけでなく家計にも影響を及ぼします。

転職・退職などを考える際は、検討段階で必ず弁護士に相談し、返済額とのバランスを確認しましょう。まずは安定収入の維持を優先し、転職後も収入の見込みが立つのであれば、退職・転職に踏み切るのが望ましいです。

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個人再生に失敗した際のリスク

RISKという文字と虫眼鏡

個人再生に失敗する主な要因は、違法行為をしたり裁判所に不誠実な対応をしたりするケースです。もし失敗すれば、資産が競売にかけられるなど、生活基盤が揺らぐおそれがあります。

個人再生に失敗した際のリスクをおさえておきましょう。

借金が減額されない

個人再生の手続きに失敗すると、借金は一切減額されません。遅延損害金も発生するため、結果的に債務が増えてしまいます。

債務を減らすはずの手段で、かえって負担を増やしてしまうと、日常生活にも影響が出ます。差し押さえなどの可能性もあるため、失敗しないよう進めることが重要です。

手続き費用が無駄になる

個人再生に失敗すれば、手続きにかけた費用がすべて無駄になってしまいます。個人再生の手続きでは、裁判所に納める予納金や弁護士に支払う弁護士費用など、さまざまな費用がかかります。

個人再生に失敗しても、上記の費用は戻ってきません。再度手続きをするなら、相応の費用を用意しなければいけません。

書類の準備などを怠らずに進めていれば、手続きでの失敗は防げます。実績のある弁護士と契約し、指示を確実に遂行することが求められます。

自己破産など別の手続きを進めなければならない

個人再生で失敗した後に生活を立て直そうとする場合、別の手続きを検討しなければなりません。たとえば、自己破産するのであれば、財産をすべて手放す必要があります。

破産すれば借金自体は解消できますが、生活の立て直しには多くの時間を要します。家や車といった財産を可能な限り残すなら、個人再生手続きを着実に進めるようにしましょう。

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個人再生を上手に進めるポイント

ポイントと書かれたスケッチブック

個人再生を上手に進めるには、早期の準備や親族の協力、家計や生活の見直しが重要です。また、支払うべき費用を確実に支払うことも求められます。

個人再生を上手に進めるポイントを解説します。

必要な書類を早めに用意する

手続きを円滑に進めるためには、裁判所から求められる膨大な資料を迅速に揃える作業が重要です。役所や会社から取り寄せる資料が多岐にわたるため、後回しにすると期限に間に合わなくなるリスクが生じます。

裁判所は収入や財産を1円単位で正確に確認することを求めており、再生計画案や必要書類の提出が遅れると、手続きが進まず、最終的に廃止となるおそれがあります。

カテゴリー別にフォルダを分けて資料を管理する工夫を取り入れれば、追加の指示にもすぐ対応することが可能です。提出期限を厳守し、数字の記載に矛盾が生じないよう早めの準備を心がけてください。

家族の理解や協力を得る

家族の理解や協力を得るのは、個人再生の手続きを進めるうえで不可欠です。隠し通そうとすると、家族に不信感を抱かれ、手続きが止まってしまうこともあります。

現在の収支を改善し、返済が今後も続けられると裁判所に証明するには、家族のサポートが欠かせません。家計や家庭を守るための手続きであることを家族に丁寧に説明し、ときに弁護士も交えながら手続きを進めていきましょう。

再生計画に合わせた生活をする

個人再生の手続きがはじまってからは、借金を減額した後の生活を想定した家計管理をはじめましょう。再起を見据えて生活水準を見直せば、完済も近づきます。

生活水準が見直されないと、履行テストに失敗するなど、手続きがうまく行かなくなるおそれがあります。再生計画をもとに現在の支出や無駄な出費を改善し、無理なく生活できる習慣を確立しましょう。

税金や社会保険料を必ず支払う

借金は減額できても、税金や社会保険料は免除されません。借金よりも優先して支払うべきものとして法律で定められています。

税金や社会保険料を滞納し続けると、差し押さえにより結果的に財産を手放さなければなりません。税金や社会保険料の支払いが難しい場合は、市区町村の窓口で分割納付や猶予に関する相談をしてみるとよいでしょう。

債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼する

個人再生は債務整理手段のひとつです。依頼する専門家に債務整理の知識や経験がなければ、裁判所からの修正指示などが増え、手続きの終了まで時間がかかる可能性があります。

弁護士に依頼する際は相応の費用が発生しますが、事務所によっては分割払いに対応してくれる場合もあります。個人再生を成功させるためにも、複数の弁護士事務所で相談をして、自分と相性のよい専門家に手続きを依頼しましょう。

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まとめ

指を立てる男性弁護士

個人再生でやってはいけないことを正しく理解し、誠実な姿勢で手続きに臨めば、手続きが無事に済む可能性が高まります。偏頗弁済や財産隠し、履行テストの滞納など、見落としやすいところに注意すれば、大幅な借金の圧縮が可能です。

書類の期限厳守や家計の改善を徹底し、信頼できる専門家と手続きに臨めば、家庭の再建も早まります。

千代田中央法律事務所では、個人再生や債務整理の相談を受け付けています。個人再生に失敗したくない人は、ぜひご相談ください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。