法人破産

法人破産スケジュール完全ガイド|申立から終結までを徹底解説 | 千代田中央法律事務所

法人破産

法人破産の手続きを進める中で、次のような疑問を抱き不安になっている方もいるのではないでしょうか。

  • 申立から完了までの具体的なスケジュールは?
  • 期間はどれくらいかかるの?
  • 費用はいくら?

関係者への説明や事業整理の見通しが立たない状況は、経営者として大きな負担となる場合があります。

そこで本記事では、法人破産の申立準備から破産手続きの終結までの具体的なスケジュールを解説します。各段階で経営者がすべき対応を把握できるため、疑問や不安を解消できます。

法人破産にかかる費用の目安や、手続きを進める中での注意点も紹介しているため、経営者の責任を最後まで全うするためにお役立てください。

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法人破産のスケジュールと流れ

法律の相談を聞く男性弁護士

まずは、法人破産の手続きがどのように進むのかを、申立の準備から完了までのスケジュールを12のステップに分けて解説します。

全体的なスケジュールと、各段階で経営者が知っておくべきポイントもわかりやすく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

全体的なスケジュールと流れを事前に理解しておくことで、見通しを持ち落ち着いて対応できるようになるでしょう。

【ステップ1】まずは弁護士に早めに相談する

会社の経営に行き詰まりを感じたら、まず弁護士への早期相談が重要です。早めに行動することで、破産だけでなく民事再生や任意整理など、ほかの選択肢を検討する余裕が生まれます。

さらに、資金確保や従業員対応なども計画的に進められ、手続きを有利に進めることが可能です。弁護士に依頼すれば、債権者対応も任せられ、精神的負担も軽減するでしょう。

相談前には、負債額や資産状況、取引先などの情報を整理しておくとスムーズな相談が可能です。多くの法律事務所では初回相談が無料な場合もあるため、まずは早めの相談を心掛けましょう。

【ステップ2】会社の財産と負債の棚卸しをする

弁護士への相談と並行して、会社の財産と負債を正確に洗い出す棚卸しが必要です。

棚卸しは、破産手続きで提出が義務づけられている書類作成の基礎となります。漏れやミスがあると手続きが遅れる可能性があるため、慎重に行いましょう。

資産と負債の例は、以下のとおりです。

資産の例負債の例
・現金や預貯金など
・不動産や売掛金、商品の在庫など
・機械設備や車両、有価証券など
・解約返戻金や敷金、貸付金や特許など
・借入金や買掛金など
・未払い給与や税金など
・リース債務や手形など
・保証債務や損害賠償義務など

上記のような資産と負債を、弁護士と相談しながら決算書や通帳を確認し、リストアップすることが求められます。

【ステップ3】必要な費用を確認し準備を始める

法人破産を進めるには、裁判所費用と弁護士費用の2つが必要です。

裁判所費用は、次のようなものが該当します。

裁判所費用の種類費用の相場
収入印紙代約1,000円
郵便切手代数千円~数万円
官報公告費用約15,000円
予納金約20万円〜50万円以上

一方、弁護士費用は事案の内容によりますが、一般的に50~100万円程度が目安です。費用は、会社の現金や売掛金の回収、資産の適正価格での売却などで準備します。

資金がすぐに準備できない場合、弁護士によっては分割払いもできるため、早めに費用総額と支払い方法を確認することが大切です。

【ステップ4】社員や関係者に丁寧に説明する

法人破産を決断した際は、従業員に誠実に説明し、不安を和らげる対応が求められます。

通常、破産申立の直前に従業員説明会を開き、弁護士同席のもと、破産の理由や全員解雇の方針、解雇日を伝えます。未払いの給与や退職金についても説明し、可能な限り情報を共有しましょう。

給与や退職金などは優先的に支払わなければいけませんが、全額支給できない可能性もあります。全額支給できない場合は、未払賃金立替払制度や失業保険の手続き、離職票の発行について案内します。

説明する内容に迷う場合は、弁護士に説明文例を用意してもらうと安心です。また、破産申立てには取締役会の決議や同意書が必要なため、役員対応も並行して進めましょう。

【ステップ5】取引先への連絡とタイミングに注意する

会社破産の情報は非常にデリケートなため、仕入先や販売先など取引相手への連絡は、弁護士と相談のうえ、慎重に行いましょう。

弁護士に正式依頼後は、債権者に受任通知が送られ、以後の連絡は弁護士を通すよう依頼されます。

依頼後、取り立て行為は停止されますが、金融機関は通知を受け取ると口座を凍結し借入金と相殺する動きを取るため、資金が使えなくなるリスクがあります。

売掛金の入金予定や予納金の準備などがある場合は、通知のタイミングを誤ると、支払いが難しくなるおそれがあるため、連絡のタイミングが重要です。

重要取引先には、個別に丁寧な説明を行うことも検討しながら、弁護士と資金繰りを共有し、連絡のタイミングを戦略的に判断しましょう。

【ステップ6】禁止行為を把握しておく

法人破産を進めるなかで、経営者自信が禁止されている行為がいくつかあります。主な禁止行為は、以下のとおりです。

禁止行為内容
偏頗弁済(へんぱべんさい) 特定の債権者だけに借金を返済する行為
財産隠匿・不当な廉価処分(あんけいしょぶん) 会社の財産を隠したり、安値で売却したりする行為
帳簿書類の隠匿・改ざん・破棄会計帳簿や重要な書類を隠したり、改ざんや破棄したりする行為
新たな借入れや掛けでの仕入れ返済の見込みがないのに、借入れや掛け取引を行う行為

上記は債権者平等の原則に反する行為であり、発覚すれば破産手続きが無効になります。最悪の場合、刑事責任を問われることもあるため、破産準備中は必ず弁護士に相談のうえ行動しましょう。

【ステップ7】会社内部での正式な決定を行う

法人が破産手続きを進めるためには、経営者個人の判断ではなく、会社の正式な意思決定として手続きを進めることが必要です。

法人破産を証明するために、会社法に基づいた手続きを行うことが求められます。具体的な手続きは、以下のとおり会社の組織形態によって異なります。

会社の組織形態具体的な手続き
取締役会がある場合・取締役会で破産手続き開始の申立てを議題として審議する
・出席取締役の過半数の賛成で承認を得る
・決議結果を記録した取締役会議事録を作成する
・出席取締役と監査役が署名または記名押印する
取締役会がない場合・全取締役の過半数の同意を得る必要があるため同意書を取得する
・同意書に同意した取締役が署名または記名押印する

取締役会議事録や同意書などの書類は、破産申立て時に必須となるため、事前に弁護士に確認し、定款を確認しておくことが重要です。

【ステップ8】裁判所へ破産を申し立てる

ステップ1〜7まで進み、破産手続きが整ったら、裁判所に破産を申し立てましょう。

通常、申立は弁護士が行い、会社の主な営業所所在地を管轄する地方裁判所に提出するため、経営者が直接裁判所に出向く必要はありません。

弁護士は、事前に準備した破産手続き開始申立書や財産目録、債権者一覧表取締役会議事録などを裁判所に提出します。また、申立と同時に、手数料や官報公告費用などの裁判所費用を納付するため、事前の資金準備が重要です。

申立後、弁護士や経営者本人に面談や審尋が行われることもあり、破産申立に至った経緯や財産状況について質問されます。

【ステップ9】破産手続きの開始と破産管財人を選任する

裁判所が破産手続開始決定を出すと、法人破産手続きが正式に開始され、以下の法的効果が発生します。

法的効果の種類内容
財産管理権の移行経営者が持っていた会社の財産を管理・処分する権限が破産管財人に移ります。経営者は勝手に財産を動かせなくなります
債権者による取り立て・強制執行の禁止債権者は個別に借金の返済を迫ったり、会社の財産を差し押さえたりできなくなります
会社の解散会社は法的に解散したとみなされます(ただし、清算手続きは破産手続き内で行われます)

また、裁判所が専任した破産管財人が、会社の財産を調査や管理し、債権者へ公平に分配する役割を担います。

法人破産の場合は、一般的に管財人が選任される管財事件となり、手続きは個人破産と異なる内容です。

【ステップ10】破産管財人とやりとりする

破産手続きの開始決定後、破産管財人が選任されると、経営者は全面的に協力する義務があります。

管財人は会社の財産や経営状況を把握し、公平な財産の換価と債権者への配当を行うために、経営者からの正確な情報収集が不可欠です。

協力を拒否したり虚偽の説明をしたりすると、手続きが遅れるだけではなく、経営者自身が個人破産で免責を受けられなくなり、刑事罰を受ける可能性もあります。

管財人が選任された後、初回面談が行われ、経営者は事業内容や破産の理由、財産や負債の詳細などを説明します。

面談後も追加資料や説明の要求があるため、迅速かつ誠実に対応し、わからない場合は代理人弁護士に相談することが大切です。

【ステップ11】債権者への対応と集会を開く

破産手続きが開始されると、債権者からの個別の取り立てや支払い要求は法的に停止され、今後の連絡はすべて破産管財人が対応します。

万が一、債権者から直接連絡があった場合は、破産手続き中であること伝え、管財人に連絡を取るよう案内しましょう。トラブルを避けるためにも、経営者が直接交渉や支払い約束をすることは避けるべきです。

破産手続きでは、債権者集会が開催され、管財人が調査結果や資産の換価状況、配当見込みなどについて報告します。債権者集会には経営者も出席し、誠実に回答する必要があります。

初回集会は通常、破産手続き開始から3〜4ヶ月後に行われ、無断欠席すると自己破産で免責が認められない可能性があるため、必ず出席しましょう。

【ステップ12】会社は消滅し破産手続きを終結する

破産手続きが完了すると、裁判所は最終報告を受け、手続きを終了させる決定を出します。主な終了決定は、以下の2つです。

  • 破産手続終結決定:会社の財産が換価され、債権者に配当が行われた場合に出される
  • 破産手続廃止決定:財産が少なく配当できない場合に手続きが終了する

上記の決定により、法務局に登記簿が抹消され会社の法人格は消滅し、負債もすべて消えます。

経営者は、5~7年ほど信用情報に事故情報が登録され、新たな借入れが難しくなりますが、再起業は法律で禁じられていません。

再起業のための公的な支援もあり、過去の経験を活かした新たなスタートが可能です。

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法人破産手続きの期間

カレンダーとお金と懐中時計

法人破産の手続きにかかる期間は、会社の状況や手続きの種類によって異なります。一般的には、弁護士に相談を始めてから手続き完了まで、およそ6ヶ月から2年程度が目安です。

簡易的なケースでは、数ヶ月で終結することもありますが、大規模な会社や複雑な事案では、1年半から2年以上かかることもあります。

また、以下のように手続きの種類によっても期間が異なります。

手続きの種類期間
少額管財申立てから半年~8ヶ月程度で完了することが一般的
通常管財資産の現金化や債権者との調整に時間がかかるため、1年以上かかる傾向がある

なお、手続きが遅延するケースでは、申立書類の不備や経営者の協力不足などが原因です。

手続きを短縮するためにも、早期に弁護士に相談し、必要書類を迅速かつ正確に準備するとともに、破産管財人の調査に誠実に協力することが重要です。

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法人破産手続きの費用

書類

法人破産の手続きには、主に裁判所に納める費用や予納金、弁護士に支払う費用などが必要です。

それぞれの費用の相場は、以下のとおりです。

費用の種類内容金額の目安
裁判所に納める費用収入印紙代・郵便切手代・官報公告費用など数千円〜2万円程度
予納金(引継予納金)管財人報酬・財産換価のための費用(必須)20万〜100万円以上
弁護士費用着手金+報酬金(事務所や事案により異なる)50万〜100万円以上
合計費用の目安上記を合計した法人破産の総費用50万〜150万円前後

法人破産手続きの費用は、100万円以上かかる場合もあり、資金を準備できるか不安に感じる方もいるでしょう。

費用準備には、会社の現金や資産の売却が考えられます。経営者だけの判断で進めるのではなく、弁護士と相談しながら丁寧に進めることが重要です。

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法人破産手続きを行う際の注意点

オークションハンマー

法人破産の手続きを進めるうえで、経営者は以下のようなことに注意しなければいけません。

上記に注意することは、手続きをスムーズに進めるだけではなく、破産完了後の再スタートへのよい影響も期待できます。

手続き中の禁止行為を理解する

法人破産を検討し始めた段階から、経営者がしてはいけない禁止行為がいくつかあります。禁止行為は、債権者平等の原則を守るためのもので、違反すると手続きが不利になったり、刑事罰の対象になったりすることもあります。

たとえば、一部の債権者だけに返済する偏頗弁済や財産を隠し不当に安く処分する行為、帳簿の改ざんや重要書類の廃棄などは原則禁止です。

また、返済できないとわかっていながら新たな借金をしたり仕入れを行うことも禁止行為に該当します。

禁止行為が発覚すると、破産管財人に取り消されるだけではなく、損害賠償や刑事責任を問われる可能性もあります。

さらに、個人破産時に免責が認められないこともあるため、破産を考えたら、まず弁護士に相談しましょう。

手続き後も残る支払い義務を把握する

法人破産が完了すると、会社は消滅し、借金も原則として免除されます。経営者自身も自己破産と免責許可によって個人の借金が免除されるのが一般的です。

ただし、例外として以下のような非免責債権と呼ばれる支払い義務が残る場合もあります。

  • 従業員への未払い給与
  • 罰金や交通違反の反則金
  • 破産時に故意に申告しなかった債権者への借金
  • 滞納している税金や社会保険料
  • 悪意のある不法行為による損害賠償
  • 故意や重大な過失による人身事故の損害賠償

上記のような債務は、破産後も返済が必要であり、放置すると差し押さえといった強制執行を受ける可能性があります。

破産後も残る支払い義務に対しては、まず弁護士に相談し、非免責債権の内容を正確に把握することが重要です。

税金や保険料の滞納がある場合は、早めに役所で分納相談を行い、誠実に対応することが再建の鍵となります。

生活再建に向け支援制度を活用する

法人破産や経営者の自己破産は精神的にも大きな負担ですが、人生をやり直すための法的手段でもあります。生活再建に向けては、以下のような支援制度を活用するのもよいでしょう。

支援制度内容
事業再生支援プログラム・破産後の再建に向けた支援を行う専門家によるプログラム
・経営者が新たな事業計画を立て直すためのサポートを提供
創業支援プログラム・破産後に再起業を目指す経営者のために、政府や地方自治体が提供する再挑戦支援プログラム
・新たな事業立ち上げに必要な資金調達支援やノウハウの提供
社会的再起支援プログラム・生活支援、就業支援、教育支援などを総合的に提供するプログラム
・破産後、社会復帰や経済的な安定を目指す支援
法律相談・税務相談支援・破産後に直面しやすい税金や負債整理などの問題に対するアドバイスや支援
・法律面や税務の問題に関する相談窓口の提供

破産完了後はひとりで悩みを抱え込まず、自治体窓口や弁護士に相談し、利用できる支援は積極的に活用しましょう。

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法人破産に関するよくある質問

法律で悩む弁護士の手元

ここでは、法人破産について、以下のように多くの方が疑問に思う点や、不安に感じる点に回答します。

事前に法人破産に関する疑問や不安を解消し、スムーズな手続きにつなげましょう。

Q. 会社が破産すると、経営者個人も借金を背負いますか?

A. 会社が破産しても、法律上は会社と経営者自身は別の存在のため、経営者個人がすべての借金を背負うわけではありません。

ただし、多くの中小企業では、融資の際に経営者が連帯保証人になっているケースもあります。

そのため、会社が返せなかった借金を経営者が自ら支払う責任を負い、会社の破産とあわせて経営者自身も自己破産する場合もあります。

ただし、経営者保証に関するガイドラインにより、一定の条件を満たせば保証債務の一部免除や破産回避ができる可能性もあるため、必ず弁護士に相談しましょう。

Q. 会社が破産しても従業員への給料は払えますか?

A. 会社が破産した場合でも、従業員の給料は法律上、他の借金より優先的に支払われる仕組みになっています。

とくに直近3ヶ月分の給料や退職金の一部は、財団債権として優先的に支払われます。ただし、会社に十分な資金がなければ、全額支払えないこともあるため、公的な制度を把握しておくことが大切です。

全額支払えないケースでは、未払い賃金の立替払制度があり、一定の条件のもとで国が給料の一部を補償してくれます。

法人破産の手続きを進めている場合は、従業員に早めに状況を説明し、制度の利用方法を案内することが重要です。

Q. 法人破産すると今後の起業や再チャレンジは難しくなりますか?

A. 法人破産や自己破産を経験しても、再び起業することは法律上可能です。破産手続きが終われば、会社を設立して代表になることもできます。

ただし、破産情報は信用情報機関に登録され、5〜7年間は融資やリース契約が難しくなる可能性があります。また、自己資金も不足している可能性が高く、資金調達に苦労するでしょう。

そのため、破産後に再起業する場合は、低コストで始められるビジネスモデルを選んだり再挑戦支援制度や知人の支援などを活用したりするのが、再起業の現実的な手段となります。

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まとめ

破産法

法人破産は経営者にとって重大な決断ですが、再出発への第一歩でもあります。

手続きは半年から1年以上かかることが多く、申立てから終結まで複数のステップが必要です。各段階での注意点や準備も多いため、早めに弁護士へ相談し、専門家と連携して進めることが重要です。

破産は終わりではなく、新たなスタートの第一歩であるため、正しい情報をもとに計画的に手続きを進めましょう。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。