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個人再生の8つのデメリットと対策|メリットや具体的な流れも解説 | 千代田中央法律事務所

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借金の返済が難しくなり、自己破産は避けたいけれど、何か方法はないか悩む方にとって、個人再生は家を守りながら負担を大幅に減らせる選択肢です。

個人再生は借金の減額効果が大きい一方で、手続きの複雑さや費用など、いくつかのデメリットもあります。

本記事では、個人再生の代表的な8つのデメリットとその対策をわかりやすく整理し、メリットや手続きの流れも解説します。

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個人再生の8つのデメリットと対策

デメリットのカードを持つ手

個人再生には借金の金額を大きく減らせる利点がある一方で、日常生活に影響するさまざまなデメリットが存在します。

ここでは、個人再生によるデメリットやその対策を解説します。後悔なく個人再生するためにも、事前にデメリットを確認しておきましょう。

  1. 手続きに時間がかかる(6〜12ヶ月)
  2. 安定した収入がないと利用できない
  3. クレジットカード・ローンが一定期間使えない
  4. 官報の情報をもとに金融業者からDMや郵便物が届く可能性がある
  5. 住宅ローン特則が使えないケースがある
  6. 返済は厳格に管理され計画通りの支払いが求められる
  7. 保証人・連帯保証人に一括で返済が請求される場合がある
  8. 弁護士費用を含めた初期費用が発生する

 

1. 手続きに時間がかかる(6〜12ヶ月)

個人再生は、裁判所が債務状況や返済計画を厳密に審査する必要があるため、申し立てから完了まで6〜12ヶ月と長期間かかります。

とくに、再生計画案の作成には、収入証明や家計簿など、膨大な資料が必要です。平日に裁判所対応が必要になるケースもあり、スケジュール管理が求められます。

事前に必要書類を準備しておけば、スムーズに手続きを進行できるため、弁護士と密に連携し、計画的に手続きを進めましょう。

2. 安定した収入がないと利用できない

個人再生は、減額後の借金を確実に返済できるかが審査の基準となるため、継続した収入の証明が不可欠です。無職や収入が月ごとに変動する場合は、返済継続が難しいと判断され、手続きが認められないケースもあります。

たとえば、転職直後で収入が安定していないケースや、フリーランスで収入が不安定な場合は注意が必要です。収入面で不安がある場合は、任意整理を検討したり、安定した仕事に就いたりして個人再生を進めましょう。

個人再生を検討する際は、自分の収入や支出を明確にし、自分に最適な債務整理も視野に入れながら、冷静に判断することが重要です。

3. クレジットカード・ローンが一定期間使えない

裁判所から個人再生が認められると、信用情報機関に事故情報が登録され、新規カードの作成やローン契約が難しくなります。

信用情報の登録期間は機関により異なり、、CIC(クレジット情報機関)やJICC(日本信用情報機構)には原則として契約終了(完済)から約5年、銀行系のKSC(全国銀行個人信用情報センター)には取引情報が完済から約5年、官報情報は決定日から約7年ほど情報が残る可能性があります。

その間は、スマートフォンの分割購入も含め、クレジットカードやローンの新規契約はできません。信販系保証会社が必須の賃貸物件では、入居審査に落ちるケースもあります。

4. 官報の情報をもとに金融業者からDMや郵便物が届く可能性がある

個人再生を申し立てると、氏名と住所が官報に掲載されます。官報自体を家族や知人に見られるリスクは少ないですが、闇金業者が官報の情報をもとに、ローンの案内を送ってくる可能性があります。

通常のローンが使えないため、たとえ闇金業者でも、新たな借金をしてしまうおそれがあるでしょう。家族にバレたくない場合は、こうした郵便物が届く可能性があることを把握しておく必要があります。

家族やルームメイトなど、一緒に住む人に個人再生の事実がバレたくない場合は、弁護士と郵便物の管理方法について相談しておきましょう。

5. 住宅ローン特則が使えないケースがある

住宅ローン特則とは、正式名称で住宅資金特別条項(住宅資金特別条項付き再生計画)といい、住宅ローンを残したまま家を手放さずに個人再生を利用できる制度のことです。

これは持ち家を守りたい人に有効な制度ですが、条件が合わない場合は利用できません。たとえば、住宅に税金滞納による差押えがある場合や、リフォームローンといった別の担保が付いている場合は適用されません。

持ち家を守りたいなら、税金を滞納しないことと早期相談が必須です。対応が遅れると住宅ローン督促を選択できなくなるおそれがあるため、現状の債務状況を確認し、すみやかに専門家へ相談しましょう。

6. 返済は厳格に管理され計画通りの支払いが求められる

個人再生では、履行テストと呼ばれる試験的な返済が行われ、決められた金額を毎月遅れず入金できるかを審査されます。履行テストで一度でも返済が遅れると、返済能力なしと判断され、手続きが中断します。

1回くらい大丈夫だろうと思ってはいけません。1回でも講座へのお金の入れ忘れで残高が足りない場合は、不認可になるかもしれません。

個人再生では、家計の見直しや支出管理を徹底することが不可欠で、アプリによる家計管理や、給与日の自動引き落とし設定などの工夫も効果的です。

7. 保証人・連帯保証人に一括で返済が請求される場合がある

保証人がいる場合は、債務者本人が個人再生をしても、保証人の返済義務は残ります。その場合、保証人に対して残りの借金を一括返済で請求されるおそれがあります。

たとえば、債務者本人が300万円の借金を、個人再生で100万円に減額しても、残り200万円は保証人が払わなければいけません。家族が保証人になっている場合は、個人再生の事実もバレるでしょう。

個人再生をする場合は、事前に保証人の有無を確認し、必要に応じて事前に保証人と相談し、情報共有しておくことが大切です。

8. 弁護士費用を含めた初期費用が発生する

個人再生は、弁護士費用も含め最低でも50〜60万円ほどかかります。個人再生後の返済も考えると、大きな負担に感じるかもしれませんが、手続きをするために欠かせない費用です。

分割払いに対応している法律事務所もあるため、すぐにまとまったお金が準備できなくても、個人再生を行いやすい仕組みになっています。なお、弁護士に依頼し債権者に受任通知が送られると、返済は一旦ストップします。

費用面の不安がある場合は、事前に月々の分割金額を弁護士に相談し、無理のない支払い計画を立てることが大切です。

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個人再生のメリット

メリットのカードを持つ手

個人再生は、家や仕事といった大切な生活基盤を守りながら、借金の負担を大きく軽くできる制度です。

ここでは、個人再生によって、「どれだけ生活が立て直しやすくなるのか」「自己破産とは何が違うのか」といったメリットをご紹介します。

借金を最大1/5まで減額できる

個人再生の魅力は、負債額・資産・収入によりますが、借金を最大1/5まで減額できる点です。たとえば、総額500万円の借金がある場合、法律で定められた最低弁済額の基準により、100万円まで圧縮できる可能性があります。

減額後は、残りの100万円を3〜5年で分割返済していく仕組みです。ただし清算価値保障の原則により、資産以上の金額を返済しなければなりません。清算価値保障の原則とは、持っている財産の価値より返済額を低くできないというルールです。

それでも、毎月の返済負担が現実的な水準まで下がります。返済に追われ続ける生活から抜け出し、家計再建の見通しが立つでしょう。

住宅資金特別条項により持ち家を守れる

持ち家を守りながら借金の返済負担を減らしたい場合は、住宅資金特別条項の制度がある個人再生がおすすめです。これは、住宅ローンだけは従来どおり支払い続けながら、その他の借金のみ減額できるルールです。

たとえば、住宅ローン以外の債務が500万円から100万円まで減額されても、住宅ローンはこれまで通り支払うことで家を守れます。ローンの遅延がある場合は返済スケジュールの調整が認められることもあります。

ただし、住宅に別の担保が付いていたり、税金滞納で差押えがあったりすると適用できない条件もあるため、持ち家を守りたい場合は早めに弁護士に相談しましょう。

自己破産と異なり職業制限がない

個人再生には、自己破産のデメリットである資格制限がありません。自己破産では、手続き中に警備員や生命保険募集人、士業など一部の職業に就くことが制限されます。

個人再生は職業に関することを気にせず手続きを進められるため、余計なストレスを感じずに済むでしょう。職場に裁判所から連絡が入ることもないため、キャリアを傷つけず再建しやすい点がメリットです。

現在の仕事の収入を保ちながら計画的に返済できるため、生活の安定を損なうリスクが少ない現実的な選択肢といえます。

財産を処分せずに返済計画を立てられる

個人再生では、車・生命保険・預貯金といった財産を手放さずに手続きを進められます。自己破産では資産を処分する必要がありますが、個人再生は清算価値保障の原則により、20万円を超える財産は、その価値分を返済に回すことで処分しなくても済みます。

たとえば、時価20万円の車や解約返戻金20万円超の生命保険があっても、その金額を返済計画に組み込めば、処分する必要はありません。

通勤で車が必要な人や、家族の保険を維持したい人にとっては安心材料です。生活に必要な資産を守りながら返済できる点は、個人再生ならではのメリットといえます。

家族や職場に知られにくい

個人再生は、家族や職場に知られずに手続きを進めたい人にも適しています。個人再生の手続きを弁護士に依頼すれば、裁判所が職場へ連絡することは原則ありません。取り立てや給与差押えなども、申立て時点で停止されます。

官報に氏名と住所が掲載されますが、一般の人が日常的に確認することはほとんどなく、官報で個人再生の事実がバレるケースは非常に稀です。

家族や職場に余計な迷惑をかけず、信頼関係を保ちながら経済的な再出発を目指せる点は、個人再生の強みといえます。

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個人再生の具体的な流れ

5つのステップが書かれたカード

個人再生の具体的な流れは、次のとおりです。

  1. 弁護士に相談して手続きを依頼する
  2. 受任通知を発送して取り立てを制限する
  3. 家計簿や債権一覧など必要書類を準備する
  4. 裁判所へ個人再生の申立てをする
  5. 再生計画案を提出する
  6. 履行テスト(試験積立)を行い問題なければ認可が決定する

事前に流れを把握しておくことで優先順位が明確になり、スムーズに手続きを進められます。

1. 弁護士に相談して手続きを依頼する

借金の返済が難しくなり、個人再生を含めた債務整理を検討しはじめた段階で、まずは弁護士に相談しましょう。相談のみであれば無料でできる可能性もあります。

弁護士は、収入や資産の状況から個人再生が利用できるかを判断し、最適な選択肢を提案してくれます。正式に手続きを進める場合は、依頼費用がかかりますが、分割払いも可能なため、費用面も含めて相談するのがよいでしょう。

弁護士に依頼すれば、複雑な書類作成や裁判所とのやり取りを代行してくれるため、負担を大きく減らせます。依頼する弁護士に悩む場合は、複数の事務所を比較しながら、信頼できる専門家を見つけましょう。

2. 受任通知を発送して取り立てを制限する

弁護士に手続きを依頼すると、最初に行われるのが債権者への受任通知の発送です。これは弁護士が代理人になったことを知らせる文書で、通知が届いた瞬間から業者からの督促や取り立ては法律に則り制限されます。

返済自体も一時的に停止となるため、その期間に生活を立て直し、手続き費用を準備できます。ただし、銀行によっては債務整理中と判断し、給与振込口座の引き出しやカード決済の一部機能を制限されるかもしれません。

この状況は必ず起きるわけではありませんが、事前に別の口座を用意し、さまざまなケースを想定し備えておくと安心です。

3. 家計簿や債権一覧など必要書類を準備する

個人再生の申立てには、家計簿や給与明細、通帳のコピー、債権一覧表など多くの書類を揃える必要があります。債権一覧表は、どこからいくら借りているかを整理した一覧で、正確に示さないと審査は進みません。

裁判所はさまざまな資料をもとに、返済可能かどうかを判断するため、不備や遅れがあると手続きが中断されることもあります。書類を整える作業は、自身の支出や家計状況を見直す機会でもあり、お金に対する価値観を考えるきっかけになります。

弁護士にサポートしてもらいながら、必要書類を確実に揃えて、スムーズに手続きを進めましょう。

4. 裁判所へ個人再生の申立てをする

必要書類が揃ったら、裁判所へ個人再生の申立てを行います。申立てが受理されると、裁判所の運用や案件の内容に応じて、個人再生委員が選任される場合があります。

個人再生委員とは、収入や財産の状況を中立的な立場から確認し、手続きが適切に進むようサポートする専門家です。一方で、書類が整っており内容がシンプルな場合は、委員が選任されないこともあります。地域によっては委員への報酬として15〜25万円の予納金が必要です。

なお、追加資料を求められた際には、隠しごとなく誠実に対応することが重要です。収入や財産の情報に不備があると、返済能力に疑いがあると判断されます。最悪の場合は手続きを却下されてしまうため、正確な情報の提出が欠かせません。

5. 再生計画案を提出する

個人再生の最終段階では、減額後の借金をどのように返済していくかをまとめた再生計画案を裁判所に提出することが必要です。

この計画案には、毎月の返済額や返済期間(原則3〜5年)など、今後の返済スケジュールが具体的に示されます。裁判所や個人再生委員は、提出された計画をもとに無理のない返済ができるかを判断します。

ここで、現実的ではない計画案を作ると、その後の履行テストをクリアできないおそれがあるため、弁護士と相談しながら慎重に作成することが大切です。

6. 履行テスト(試験積立)を行い問題なければ認可が決定する

再生計画案の提出後、裁判所では履行テストと呼ばれる試験的な積立が行われます。履行テストでは、計画案に記載した毎月の返済額と同じ金額を、数ヶ月間継続して積み立てられるかを確認します。

履行テストで一度でも返済が遅れると、返済能力に問題ありと判断され、個人再生が認可されないおそれがあるため、期限は必ず守りましょう。

履行テストをクリアすれば、裁判所が計画を正式に認可し、3〜5年の返済期間がスタートします。 認可後は計画に沿って返済を続けることで、確実に生活再建へ近づけるでしょう。

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まとめ

書類に印鑑を押す人

個人再生は、家や仕事を守りながら借金を大きく減額できる魅力的な制度ですが、官報への掲載や一定期間ローンが組めなくなるなど、いくつかのデメリットもあります。

個人再生で後悔しないためには、事前に生活への影響を理解したうえで、手続きを進めることが大切です。

まずは弁護士に相談し、任意整理や自己破産と比較しながら、自分にとって最適な方法を見極めましょう。デメリットを理解し、納得して個人再生を利用することで、スムーズに手続きが進み、現実的な返済計画を立てられます。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。