借金の返済が難しくなった際は、さまざまな債務整理で負担を軽減できます。その中で、民事再生について、「個人でも利用できるの?」「個人再生との違いは?」という疑問をもつ方もいるでしょう。
本記事では、民事再生の基本的な仕組みから個人再生との違い、具体的な流れまでをわかりやすく解説します。メリットやデメリット、利用字の注意点も解説しているので参考にしてください。
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民事再生とは?個人でも利用できる?

借金の返済が厳しくなったとき、任意整理や自己破産以外の選択肢として、民事再生(個人再生)があります。
民事再生は借金を大幅に減らせる可能性があるため、今の生活を守りつつ、経済的な債権を図りたい方に有効な制度です。
ここでは、民事再生が個人でも利用できるのか、その仕組みをわかりやすく解説します。
【徹底比較】民事再生と会社更生の違いとは?経営者が知るべき選択基準を解説 | 千代田中央法律事務所
民事再生は個人でも利用できる
民事再生は企業だけでなく個人でも利用でき、会社員・パート・個人事業主など幅広い人が対象です。法人の再建だけでなく、個人が返済を続けながら生活を立て直すことも想定して設計されています。
たとえば、収入があるものの借金総額が膨らみ、毎月の返済に苦しんでいる人は、借金を5分の1程度まで圧縮できる可能性があります。ただし、収入がなく計画的な返済が難しい場合は、裁判所の許可が降りず利用できません。
民事再生は個人でも活用できる制度ですが、利用には一定の条件がある点は理解しておきましょう。
個人の債務整理には個人再生が一般的
個人が借金を整理する際は、民事再生法の中にある個人再生を選ぶのが現実的です。企業向けの民事再生に比べて手続きしやすく、返済額の基準も借金総額の5分の1〜10分の1と明確に定められています。
たとえば、借金が500万円の場合は、返済額が100万円まで減額される可能性があります。借金が3,000万円を超える場合は、およそ300万円まで大幅に減額できる点が魅力です。
個人再生の場合、住宅資金特別条項を利用すれば、自己破産のように持ち家を売却する必要はありません。そのため、自宅を守りながら借金を返済でき、生活再建を重視している点が特徴です。
民事再生と個人再生の違い
民事再生と個人再生の明確な違いは、以下のように手続きできる借金の上限金額です。
- 民事再生:手続きできる借金の上限はなし
- 個人再生:無担保債務等(再生債権)が5,000万円以下
民事再生は借金の金額が一定以上の企業が利用することを想定しています。また、個人再生に比べる手続きが複雑で、費用面でも負担が大きいのが特徴です。
そのため、無担保債務等(再生債権)が5,000万円以下の個人の場合は、個人再生を選ぶのが現実的といえます。どちらも手続きを行なったことが信用情報機関に登録され、クレジットカードや新規ローンの契約ができなくなる点は同じです。
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個人再生(民事再生)のメリット

個人再生は、借金を大幅に減らしながら生活基盤を守れる手続きです。自己破産では失われやすい家や財産なども守りやすく、生活再建の手段としておすすめです。
ここでは、個人再生ならではのメリットを整理し、どのような人に向いている制度なのかを解説します。
借金を大幅に減額できる
個人再生の最大のメリットは、借金を大幅に減らせる点です。個人再生では法律で返済額の基準が決められており、5分の1から最大10分の1まで減額されます。
毎月の返済額が重荷になり、将来が見えなくなっている状況でも、大幅な減額によって支払いの見通しが一気に改善するのが魅力です。
返済計画は弁護士に相談し一緒に考えていくため、無理のないペースで返済することが可能になります。個人再生は返済の負担を軽くし、計画的に返済したい人におすすめの制度です。
住宅資金特別条項の利用で持ち家に住み続けられる
個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、持ち家を売却することなく借金の返済を続けられます。住宅ローンを今までどおり払い続け、そのほかの借金だけを減額し返済できる仕組みです。
ただし、他の借金に家を担保とする権利(抵当権)がついている場合など、利用できないケースもあります。また、住宅ローンの支払いと、個人再生によって減額した借金を計画的に返済するために、安定した収入は欠かせません。
自宅を手放したくない場合は、弁護士に相談し住宅ローン特則が利用可能かどうか確認しましょう。
自己破産のような職業制限がない
個人再生には、自己破産のような職業制限がありません。自己破産の場合は、警備員や保険外交員、士業などの職業は、一時的に働けなくなる制限が発生します。
たとえば、警備会社で働いている場合、自己破産すると手続き中は仕事ができなくなりますが、個人再生の場合は問題なく働けます。そのため、職場に個人再生が知られる心配もないでしょう。
安定した収入は必要なものの、職業制限のリスクがなく利用できる点は、個人再生の魅力といえます。
保有資産を処分せず利用できる
個人再生は、保有資産を処分することなく利用できます。
たとえば、仕事に必要な車や加入中の生命保険、退職金見込額などを手元に残せます。ただし、保有する財産が高額な場合は、その価値以上は返済するルールが適用され、返済額が増える可能性もあります。
それでも、大切な資産を保持しながら返済計画を進められる点は、自己破産にはない個人再生の魅力です。
家庭や勤務先などに知られにくい
家族や勤務先に知られにくいのも、個人再生のメリットといえます。弁護士に個人再生の手続きを依頼した時点で、債権者からの督促が制限され、借金関連の書類も弁護士が代わりに受け取ってくれるため、周囲に知られるリスクを減らせます。
個人再生を弁護士に依頼すれば、督促や周囲にバレることに悩まされることが少なくなり、落ち着いて手続きに集中できるため、日常生活における余計なストレスも軽減されるでしょう。
周囲へ借金の事実がバレるリスクを抑えながら生活再建を図りたい人にとって、個人再生は有効な手段です。
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個人再生(民事再生)のデメリットと対策

個人再生にはメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在しますが、事前に把握しておけば対策可能です。
ここでは、個人再生でつまずきやすいポイントと対策をわかりやすく解説します。個人再生の成功率を高めるために押さえておきたいポイントであるため、ぜひ参考にしてください。
- 手続き完了まで半年〜1年ほど要する
- 将来的な安定収入が求められる
- 一定期間はクレジットカードやローンの利用が制限される
- 官報掲載により金融業者から通知が届く可能性がある
- 定められた返済計画に沿った支払いが義務付けられる
- 弁護士の依頼費用や予納金などの初期コストが必要になる
個人再生のデメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
個人再生の8つのデメリットと対策|メリットや具体的な流れも解説
手続き完了まで半年〜1年ほど要する
個人再生は借金を大きく減額できる反面、借金額の確認や家計の整理など、裁判所が慎重に審査する必要があるため、手続き完了までに半年〜1年ほどかかります。
ただし、手続きを弁護士に依頼した時点で督促や返済は一旦制限されるため、精神的な負担からは解放されるでしょう。
手続き期間が長いことはデメリットですが、その期間を有効活用すれば、今後の家計を見直すきっかけにもなります。
将来的な安定収入が求められる
個人再生を利用するには、確実に返済できる収入が継続的にあるかが求められます。安定した収入といっても正社員である必要はなく、パート・アルバイト・年金受給者でも、毎月返済できるのであれば問題ありません。
申立て後には、実際の返済額を6ヶ月ほど返済する履行テストがあり、ここで遅れると申請が認められない可能性もあります。
個人再生で減額しても返済が難しい場合は、自己破産を検討したほうがよいケースもあるため、弁護士に相談しながら最適な選択をしましょう。
一定期間はクレジットカードやローンの利用が制限される
個人再生を利用すると、一定期間クレジットカードやローンの契約が難しくなります。これは、信用情報機関に個人再生したことが事故情報として登録されるためです。登録される期間は期間によって異なりますが、約5〜7年ほどは審査に通らなくなります。
個人再生の利用後は、クレジットカード支払いの代替手段として、デビッドカードや電子決済などの活用が有効です。
クレジットカードが使えないのはデメリットですが、無駄な出費を抑える機会と前向きに捉えましょう。
官報掲載により金融業者から通知が届く可能性がある
個人再生が完了すると、氏名や住所が官報に掲載され、それを見た金融業者から新しいローンの契約を勧誘するような通知が届く可能性があります。
個人再生後、約5〜7年間は、新しいローン契約はできないため、通知が届いても無視しましょう。どうしても自宅に届くのが嫌な場合は、個人再生後に引越しするのも方法のひとつです。
また、官報に名前や住所が載ると、家族や知人にバレるか不安な人もいるでしょう。官報を一般の人が見ることはほとんどないため、過度に心配する必要はありません。
定められた返済計画に沿った支払いが義務付けられる
個人再生で減額された借金は、原則3〜5年かけて計画どおり返済しなければいけません。一度でも返済が遅れると、再生計画が取り消されるリスクもあります。
そのため、個人再生後の返済は、家計管理を徹底し、毎月の返済期日を必ず守ることが大切です。
万が一、返済が難しくなった場合は、早めに弁護士に相談し、債権者と今後の返済計画について交渉してもらいましょう。
弁護士の依頼費用や予納金などの初期コストが必要になる
個人再生は、借金の返済額を大幅に減額できる魅力的な制度ですが、弁護士費用や予納金などの初期費用は必要です。
一般的には、弁護士費用が50〜60万円ほどで、予納金やその他の費用を合わせると、さらに数十万円かかります。初期費用を準備できない場合は、家族や知人に支援してもらうことも必要です。
依頼する弁護士によって異なりますが、一括払いが難しい場合は、分割払いも可能です。支払い方法については、無料相談の時点で弁護士に相談しておきましょう。
個人再生の費用については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
個人再生の費用の相場は?負担を抑える方法や払えない場合の対処法を解説
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個人再生(民事再生)の具体的な流れ

個人再生(民事再生)は、以下の流れで進めます。
- 弁護士へ相談し手続きの依頼を正式に進める
- 受任通知を出して債権者からの督促を制限する
- 家計収支・債権一覧表など申立てに必要な資料をそろえる
- 裁判所へ個人再生の申立て手続きを行う
- 再生計画案を作成・提出し裁判所の認可を得る
事前に具体的な流れを把握しイメージしておくと、実際の手続きをスムーズに進められるでしょう。
1. 弁護士へ相談し手続きの依頼を正式に進める
個人再生の最初のステップは、弁護士に相談することです。借金の総額や収入、家計の状況などを共有し、個人再生が最適かどうかを判断してもらいます。また、「住宅ローンは守りたい」「毎月の赤字をどうにかしたい」といった希望も、この段階で確認します。
相談することで気持ちが楽になるだけでなく、個人再生以外の選択肢も検討できるため、返済に悩んだ際は早めに弁護士に相談することが大切です。
弁護士に相談する際は、現状を正直に伝えることで、具体的な解決策が見えてくるため、嘘偽りなく事実を伝えましょう。
2. 受任通知を出して債権者からの督促を制限する
個人再生を弁護士へ依頼すると、受任通知が債権者へ送られます。受任通知とは、弁護士が債務整理の依頼を正式に受けたことを知らせる書面のことです。
この通知が届いた時点で、債権者は本人への督促・取り立て・電話連絡などが制限されます。その後のやり取りはすべて弁護士が窓口となるため、精神的な負担は軽くなるでしょう。
ただし、この期間は単なる休息ではなく、今後の返済に備えて家計を整える大切な準備期間です。返済も一旦停止されるため、弁護士費用を準備する期間としても有効活用しましょう。
3. 家計収支・債権一覧表など申立てに必要な資料をそろえる
個人再生の正式な申立てのために、家計収支や債権一覧表などの必要な資料をそろえていきましょう。個人再生の申し立てには、さまざまな資料が必要で、集めるだけでも1ヶ月以上かかる場合があります。
具体的には、銀行通帳のコピーや給与明細、家計簿、借入先の一覧など自分の経済状態を証明する書類が必要です。これまで家計簿をつけていなかった人は、この期間で支出を把握し、生活改善のきっかけになることもあります。
必要な書類がそろわないと手続きが遅れてしまうため、確実に進めるためにも弁護士とこまめに情報交換することが大切です。
4. 裁判所へ個人再生の申立て手続きを行う
必要な資料が整ったら、裁判所へ正式に個人再生の申立てを行いましょう。この段階から法的な審査が本格的にはじまり、書類の提出だけでなく予納金の納付といった、費用面の負担も発生します。
裁判所によって運用や時期が異なりますが、最終審査である履行テストが開始されます。これは、正式に個人再生を認める前に、将来の返済額を毎月積み立てることで、返済能力の有無を判断するテストです。
万が一、履行テストで返済が遅れると、個人再生が認められない可能性もあります。そのため、期限を厳守し確実に返済することが大切です。
5. 再生計画案を作成・提出し裁判所の認可を得る
履行テストを問題なく完了したら、次は減額された借金をどのように返済していくかを示す再生計画案を作成・提出する段階です。
一般的に3〜5年の返済期間で、無理のない返済プランであるかを裁判所が審査します。履行テストもクリアし、再生計画案を提出する段階まで進めば、個人再生は認められます。
個人再生が認められ正式な返済がスタートしたら、計画案に沿って確実に返済を続け、再スタートを切りましょう。
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個人再生(民事再生)を利用する際の注意点

個人再生の手続きを確実に成功させるには、ルールを守りながら進めることが欠かせません。自分の判断だけで進めると、思わぬトラブルや手続きが認められない可能性もあります。
ここでは、個人再生を利用できないケースや手続き中の管理、連絡対応など押さえるべき注意点を解説します。
利用できないケースを把握しておく
個人再生は借金を大幅に減額できる魅力的な制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。安定した収入があり、3〜5年の返済を遅延なく継続できることが条件です。
収入が重視されるため、派遣やパートなど雇用形態は問いません。たとえば、借金が多くても、パートや年金収入で毎月遅れなく返済できるのであれば手続きは可能です。一方で、収入が不安定な場合や、借金総額が5,000万円を超える場合は認められないことがあります。
返済に不安がある場合は、自己破産を含めた別の債務整理が適しているケースもあるため、弁護士に相談しながら、最適な選択肢を見つけましょう。
個人再生を利用できないケースは、以下の記事にわかりやすくまとめているので参考にしてください。
個人再生ができない11個のケースと7つの対策をわかりやすく解説 | 千代田中央法律事務所
手続き中に生活費や収支の管理を徹底する
個人再生は借金を大幅に減額できるとはいえ、残りの借金を計画的に返済しなければいけません。そのため、個人再生の手続きと同時に、家計管理を徹底することも重要です。
とくに個人再生の場合は、返済の遅れにより手続きが中止になるおそれもあるため、家計管理は欠かせません。
早めに家計管理を改善しておけば、履行テストやその後の正式な返済も、遅れなくスムーズに行えるでしょう。
弁護士や裁判所からの連絡にはすみやかに対応する
個人再生の手続きは、書類の提出や費用の納付など期限が細かく決まっているため、弁護士や裁判所からの連絡にはすみやかに対応しましょう。
たとえば必要書類の提出が1日遅れるだけでも、裁判所が手続きを進められず中断される可能性があります。連絡がとれないと手続きが進まないだけでなく、弁護士や裁判所の信頼低下にもつながります。
個人再生の手続き中は、連絡をこまめに確認し、何かあればすぐに対応できるよう準備しておきましょう。
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まとめ

民事再生は個人でも利用できますが、主に企業再建に適した制度のため、個人の場合は個人再生が適しています。
個人再生は借金を大幅に減額し、住宅を手放さず再スタートできる制度です。安定した収入と、計画的な返済が必須ですが、借金の負担を確実に減らす方法として有効です。
借金返済に悩んでいる方は、早めに弁護士に相談し、個人再生を含めた債務整理を検討しましょう。
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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

