「会社の経営が行き詰まり、債務超過に陥ってしまった」といった状況でも、破産という選択肢はできる限り避けたいと考える経営者は少なくありません。そのような状況で検討すべき手続きのひとつが特別清算です。
ただ、名前は知っていても、具体的な仕組みや流れ、破産との違いまでは把握していない方もいるではないでしょうか。
本記事では、特別清算の基本から手続きの流れや費用の相場、メリット・デメリットを紹介します。さらに、破産や通常清算との違いなどもわかりやすく解説しています。
会社の状況に応じた適切な判断ができるよう、実務に役立つ知識をお届けするのでお役立てください。
特別清算とは?
特別清算という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなものか、他の方法と何が違うのかよくわからない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、特別清算の基本的な内容と、よく比較される破産や通常清算との違いについて、わかりやすく解説します。
特別清算と破産の違い
特別清算と破産の違いは、以下のとおりです。
| 比較項目 | 特別清算 | 破産 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 会社法 | 破産法 |
| 対象 | 株式会社のみ | すべての法人・個人 |
| 手続き主体 | 会社選任の清算人(裁判所監督下) | 裁判所選任の破産管財人 |
| 債権者の同意 | 原則必要(協定案可決に3分の2以上の債権額同意) | 原則不要 |
| 否認権 | なし | あり |
| 社会的なイメージダウン | 破産よりは影響が少ない | 影響が大きい |
特別清算と破産はいずれも会社を清算する手続きですが、主導する主体や債権者の同意の要否に違いがあります。
特別清算は会社主導で債権者の同意が必要ですが、破産は裁判所主導で同意不要です。社会的イメージダウンも破産より少ない場合が多く、柔軟な対応が可能ですが、債権者の協力が前提であることが破産との大きな違いです。
特別清算と通常清算の違い
特別清算と通常清算の違いは、以下のとおりです。
| 比較項目 | 特別清算 | 通常清算 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 会社法(ただし裁判所関与あり) | 会社法 |
| 清算理由 | 債務超過をはじめ経済的困難がある場合 | 債務超過でない任意の解散 |
| 裁判所の関与 | 会社選任の清算人(裁判所監督下) | 裁判所選任の破産管財人 |
| 債権者の関与 | 必要(協定案の同意など) | 原則不要 |
| 清算人 | 株主総会が選任(裁判所の監督下で職務遂行) | 株主総会が選任 |
| 手続きの複雑さ | 複雑で時間とコストがかかる手続き | 比較的簡易な手続き |
特別清算は債務超過や清算上の支障がある場合に、裁判所の監督下で債権者と協定を結びながら進める手続きです。
一方、通常清算は資産超過の会社が選ぶ手続きで、裁判所の関与なく清算人が債務を完済し会社を整理します。
特別清算の流れ・スケジュール
特別清算を検討する際、どのように手続きを進めるのか、具体的な流れやスケジュールを把握しておくことが重要です。
特別清算の基本的な流れは、以下のとおりです。
法的な手続きは複雑に感じるかもしれませんが、段階ごとにやるべきことを理解しておけば、不安も和らぎ、専門家との相談もスムーズに進むでしょう。
1. 株主総会を開催する
特別清算を開始するには、まず株主総会で、会社の解散と清算人の選任を特別決議により行う必要があります。
特別決議では、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
通常、株主総会では清算人の選任も行い、定款の定めや別段の決議がなければ解散前の取締役が清算人となりますが、弁護士などの専門家が選任されることもあります。
決議内容は、登記申請や裁判所への申立てに必要となるため、正確な議事録の作成が欠かせません。
2. 裁判所に特別清算を申し立てる
会社の解散と清算人の選任が決議された後、清算人は財産調査や債権者への通知を行います。その際、債務超過の疑いがある場合や清算に支障があると判断した際には、地方裁判所に特別清算開始を申し立てる義務があります。
参考:会社法第511条
申し立てには、登記事項証明書や株主総会議事録、財産目録や貸借対照表などの書類を添付し、20,000円の収入印紙と予納金の納付が必要です。
予納金の額は事案の複雑さや負債額によって変動しますが、比較的簡易な案件では50,000円程度からとなることもあります。
手続きを円滑に進めるには、必要書類と費用の事前準備が重要です。
3. 裁判所が開始を命令し監督命令を出す
特別清算開始の申し立てが行われると、裁判所は申立書や添付書類を審査します。その後、会社が解散済みであること、債務超過の疑いまたは清算に著しい支障があることなど、法的要件を満たしているかを確認します。
費用の未納や清算見込みの欠如がないと判断されれば、特別清算開始命令が発令され、会社は裁判所の監督下で清算手続きを進めることになるでしょう。
発令後は、債権者による強制執行や仮差押さえといった個別の回収手続きは原則として停止され、すべての債権者に対する公平な弁済が図られるようになります。
開始命令は官報に公告され、法務局にも登記されることで、会社が特別清算中であることが公示されます。
4. 権者に通知し債権届出を受け付ける
特別清算開始決定後、清算人は会社の債権者に対して債権の種類や金額、発生原因などを記載した債権届出書の提出を求めます。会社が負う債務の全体像を正確に把握するための重要な手続きです。
通常、会社の解散後に官報公告と個別催告によって2ヶ月以上の期間が設けられ、この期間内に債権者は債権を届け出なければなりません。届け出られた債権は、後に作成される協定案や債権者集会での議決権の根拠となります。
債権者にとっても、自らの権利を確保するために正確な内容で期限内に届出を行うことが重要です。
ただし、特別清算には破産手続きのような債権額を法的に確定させる仕組みがなく、債権者との間で争いがある場合は解決が困難になるおそれがあります。
特別清算は債権関係が明確で、争いの少ないケースに適しているとされているでしょう。
5. 協定案を作成し債権者集会で決議をとる
特別清算における債務整理の中心は、協定案の作成です。清算人は会社の資産状況や債権総額をもとに、債権者への弁済計画を示す協定案を作成し、裁判所に提出します。
協定案には、資産換価による弁済額や弁済期日、免除される債務などが盛り込まれます。協定案を成立させるためには、債権者集会での決議で以下2つの要件が必要です。
- 議決権を行使できる債権者の過半数が賛成する
- 賛成した債権者の議決権総額が、全債権者の議決権総額の3分の2以上になる
参考:会社法第567条
3分の2以上の要件はハードルが高いため、協定案の作成時には大口債権者の意向を踏まえ、公平かつ現実的な内容とすることが重要です。
6. 協定が認可され清算手続きを完了する
特別清算の協定案が債権者集会で可決された後、清算人は裁判所に対して協定の認可を申し立てます。裁判所は、協定案が法律に適合し、債権者間の公平が確保されているかを確認し、問題がなければ認可を与えるのが通常です。
認可決定が確定すると、協定はすべての債権者に対して法的に拘束力を持ちます。その後、清算人は協定に従い、弁済計画にもとづいて債権者への弁済を進めるでしょう。
すべての弁済が完了し、清算事務が終了した時点で、清算人は裁判所に特別清算終結の申し立てを行い、裁判所が特別清算終結決定を下します。
決定が確定した後、法務局で特別清算結了の登記が行われ、会社の法人格は消滅し、特別清算手続きが法的に完了します。
特別清算の費用の種類と相場
続いて、特別清算の費用の種類と相場を見ていきましょう。特別清算の費用の内訳は、主に以下の4つです。
| 費用項目 | 内容の概要 | 費用の相場 |
|---|---|---|
| 裁判所への申立費用 | 裁判所が申立てを受理するために必要な費用 | 約2万円 |
| 予納金・官報公告費 | 官報公告の掲載や清算人選任時に必要な費用 | 約5~15万円 |
| 専門家への報酬 | 弁護士・税理士など、専門家に依頼した際の報酬 | 約50~200万円以上 |
| 雑費 | 書類作成・郵送・交通費など、その他諸経費 | 数千円~数万円程度 |
それぞれの詳細をわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
ただし、ご紹介した費用はあくまで一般的な目安であり、実際の特別清算にかかる金額は会社の状況や手続きの内容によって大きく異なる場合があります。
そのため、特別清算を検討される際は、必ず事前に専門家に相談し、自社に合った見積もりを出してもらうことが重要です。
裁判所への申立費用
特別清算の手続きを開始するためには、まず地方裁判所に申立手数料を納付する必要があります。申立手数料は、特別清算の法的手続きを正式に申請し、裁判所が申立てを受理するために必要な費用です。
申立手数料の金額は、会社の負債総額や資本金に関係なく定額で一律2万円と定められており、収入印紙を購入し、特別清算開始申立書に貼付する形で納付します。
申立手数料は特別清算を進めるうえで最初に準備するべきもので、手続きが進む前に確実に納付する必要があります。
予納金・官報公告費
特別清算の申立て時には、申立手数料以外に、予納金と官報公告費が必要です。
予納金は、特別清算に必要な経費を裁判所が事前に納付させるもので、事案の複雑さに応じて金額が異なります。
たとえば、簡易なケースでは約1万円、協定型では5万円程度ですが、争訟性が高い場合には数十万円以上になる可能性もあります。
官報公告費は、特別清算開始決定などを官報に掲載するための費用で、数万円程度が一般的です。
官報公告費は申立てを進めるうえで必要な費用で、とくに予納金の金額幅が大きいため、事前に弁護士に相談しておくことが重要です。
専門家への報酬
特別清算の手続きには、弁護士や税理士といった専門家のサポートが必要不可欠です。
弁護士は、申立書類の作成や裁判所とのやり取り、債権者集会の支援などを行います。税理士は、解散や清算にともなう税務申告を担当します。
専門家への報酬は、依頼する事務所や案件の複雑さにより変動するため、相場が読めません。
弁護士費用は、中小企業の場合だと、着手金と成功報酬を合わせて100万円以上になることもあります。税理士報酬も、申告の複雑さに応じて10万円以上かかることもあり、決して少額ではないのが特徴です。
専門家への報酬は特別清算の総費用の中でも大きな割合を占めるため、事前に費用体系や業務範囲について確認し、納得したうえで契約しましょう。
雑費
特別清算の手続きには、裁判所費用や専門家への報酬のほかに、雑費も発生します。雑費は手続きの各段階で必要な費用で、登記事項証明書や不動産登記簿謄本の取得手数料などです。
証明書の取得手数料や郵便料などは、個別に見ると数百円程度でそれほど大きい金額ではありませんが、全体で見ると高額になる場合があります。
そのため、特別清算の費用を見積もる際には、雑費も含めた上で現実的な資金計画を立てることが重要です。
特別清算のメリット
特別清算は、経営者にとって非常に重い決断ですが、以下のようなメリットが期待できます。
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
破産よりイメージが悪くない
特別清算のメリットのひとつは、破産に比べて社会的評価への影響が比較的少ないことです。
破産は経営失敗の象徴として受け取られやすく、会社だけでなく経営者個人の信用や評判にも大きなダメージを与える可能性があります。
一方、特別清算は法律上の清算手続きの一種であり、倒産や破産といった強いマイナスイメージを与えずに会社を整理できます。そのため、外部からも穏やかな事業終了として受け取られる傾向があるのが特徴です。
とくに、親会社やグループ全体のブランドへの影響を最小限に抑えたい場合は、破産よりも特別清算のほうが適しているでしょう。
手続きがスムーズに進みやすい
特別清算は、破産手続きに比べて手続きが簡易で、スムーズに進めやすいメリットがあります。
破産の場合、裁判所が選任した破産管財人が厳格に財産調査や配当を行うだけではなく、否認権の行使といった複雑で時間のかかる作業も含まれます。
一方、特別清算では会社が選任した清算人が手続きを主導し、裁判所の監督は受けるものの、破産ほど厳格な制度はありません。
とくに債権者との合意が得られている場合は、和解による解決も可能で、手続きは数ヶ月で終わることもあります。
債務が減る可能性がある
特別清算は、会社の負債を法的に減額、または免除できる可能性がある利点があります。
特別清算は、債務超過またはその疑いがある会社が利用する手続きで、単に資産を配分するだけではなく、債務そのものを整理することも目的です。
清算人は、資産を換価して得た資金をもとに、債権者に対する支払い計画を作成します。その際に、債権額の10%を弁済し、残りは免除してもらうといった内容が提案されることがあります。
また、債権者と個別に和解する場合の手続きでも債務免除が可能なため、返済不能な多額の負債を抱える会社も、法的に債務整理した上で円満に事業を終えることが可能です。
特別清算のデメリット
特別清算はメリットがある一方で、注意すべきデメリットや制約も存在します。ここでは、以下2つのデメリットについて解説します。
デメリットに対する対策案を紹介しているので、参考にしてください。
まとまったお金が必要になる
特別清算のデメリットは、手続きを進めるためにまとまったお金が必要になる点です。
たとえば、裁判所への申立てには収入印紙代と予納金が必要で、簡易なケースでも数万円程度かかります。
さらに、法的に複雑な特別清算では、弁護士への依頼が一般的で、費用は数十万円〜100万円以上かかることもあります。中小企業でも総額で100万円以上かかるケースがあり、資金繰りが厳しい状況では大きな負担です。
費用が用意できないと、手続き自体が始められません。そのため、費用面で不安な場合は、弁護士費用の分割払いに対応している事務所を探したり、民事再生など他の法的手続きを検討したりすることが有効です。
債権者の同意がないと進まない
特別清算のデメリットとして、債権者の同意が不可欠であることが挙げられます。
とくに負債を減額、または免除する協定案を成立させるには、債権者集会で出席者の過半数および議決権総額の3分の2以上の賛成が必要という高いハードルがあります。
特別清算が債権者との合意を前提とした、協調型の手続きであるからこそ、仕組みが複雑です。仮に、多くの賛成を得られても大口債権者1社が反対すれば、協定は成立しません。
そのため、事前に主要債権者と丁寧に協議し、同意を得られる見込みを立ててから手続きに進むことが重要です。
特別清算を進める際の3つの注意点
特別清算は、破産を回避しつつ会社を整理できる効果がある一方で、手続きを円滑に進めるためにいくつかの注意点があります。
特別清算を行ううえで、とくに押さえておくべき注意点は、以下の3つです。
注意点を理解し、スムーズな手続きにつなげましょう。
1. 資金準備を事前にしっかり行う
特別清算を円滑に進めるには、必要な費用を事前に把握し、確実に準備しておくことが重要です。
手続きには、主に以下のような資金が必要です。
- 裁判所への申立費用
- 予納金・官報公告費
- 専門家への報酬
- 雑費
数万円程度で済む場合もありますが、手続きが複雑なケースでは総額100万円以上かかることもあります。
資金準備に関しては、まず専門家に相談し、自社に必要な費用総額を見積もってもらったうえで、資金を会社の資産や経営者個人の資金からどう確保するか計画を立てましょう。
2. 債権者との関係性を事前に整える
特別清算を成功させるには、主要な債権者との信頼関係を事前に築き、協力を得ておくことが重要です。なぜなら、特別清算は債権者との同意が前提にある手続きだからです。
とくに支払い計画を進めるには、債権額の3分の2以上の賛成が必要とされ、1社の反対で成立しないケースもあります。
そのため、申し立て前から主要な債権者に対して、経営状況や今後の見通しを誠実に説明し、理解を得ておくことが大切です。特別清算では事前の信頼構築が、スムーズに手続きを進めることに直結します。
3. 専門家に早めに相談する
会社の経営状況が悪化し、特別清算を検討しはじめた場合は、できるだけ早く弁護士といった専門家に相談することが重要です。
特別清算は法律的に複雑な手続きであり、最適な方法を判断するだけではなく、書類準備や債権者との交渉、法的リスクの管理など専門的な知識が求められます。
弁護士が介入することで、債権者からの取り立てを一時的に止め、冷静に対策を考えることも可能です。早期の対応が時間や費用の無駄を防ぎ、もっとも効果的な解決策を見つけることにつながるでしょう。
特別清算に関するよくある質問
ここでは、以下の特別清算に関するよくある質問に回答します。
- 特別清算にかかる期間はどれくらいですか?
- 特別清算が関係者に与える影響はどのようなものですか?
- 特別清算人は誰が選ばれ、どのような役割を担いますか?
- 特別清算後、会社の資産や負債はどうなりますか?
- 特別清算後、経営者が再起するための支援はありますか?
特別清算の手続きに役立つ内容だけではなく、精算後の支援についても触れているのでぜひご覧ください。
Q. 特別清算にかかる期間はどれくらいですか?
A. 特別清算の手続きにかかる期間は、会社の規模や資産、負債の状況や債権者の協力により異なります。
特別清算は、破産手続きよりも短期間で終結する傾向があり、目安としては、申立てから完了までに半年から1年程度かかるのが一般的です。
とくに債権者との和解が順調に進む和解型の場合は、2ヶ月から1年以内に終了することもあります。
一方、債権者集会での決議が必要な協定型では、3ヶ月から数年かかる可能性もある点に注意が必要です。
Q. 特別清算が関係者に与える影響はどのようなものですか?
A. 特別清算は、会社を法的に消滅させる手続きであり、多方面に影響を及ぼします。
まず、会社が法人格を失い消滅し、株主は債務超過のため、株式の価値がゼロになることがほとんどです。
金融機関をはじめとした債権者は、残された財産から返済を受けますが、全額の回収は難しく、債権の一部またはすべてを放棄することになります。
従業員は、解散にともない雇用契約が終了し、未払いの給与や退職金は優先的に支払われます。経営者や役員は、清算人として責任を負う場合もあるでしょう。
Q. 特別清算人は誰が選ばれ、どのような役割を担いますか?
A. 特別清算の中心的役割を担うのが、特別清算人です。
通常、清算人は株主総会の決議で選任され、解散前の取締役が自動的に選ばれることが一般的です。特別清算は専門的な法的手続きであり、弁護士などの専門家が選ばれることもあります。
特別清算人の主な役割は、以下のとおりです。
- 会社の財産調査
- 債権者との交渉
- 債務整理のための協定案作成
具体的には、財産目録の作成や資産の換価、債権者集会での報告などを担当します。すべての利害関係者に対して、公平かつ誠実に職務を遂行する責任を負います。
Q. 特別清算後、会社の資産や負債はどうなりますか?
A. 特別清算が完了すると、会社の法人格は消滅し、すべての資産と負債が法的に整理されます。
清算人は土地や建物、売掛金など会社の資産を換価して現金化し、優先的に支払うべき税金や社会保険料、従業員の未払い賃金などを支払います。
その後、残りの財産があれば協定や和解にもとづき、一般の債権者に配当される仕組みです。
特別清算が完了すると、支払い切れなかった負債も消滅し、会社名義の資産と負債は完全に整理され、会社は法的に終了します。
Q. 特別清算後、経営者が再起するための支援はありますか?
A. 日本には、特別清算後の再起を支援するための公的制度がいくつか存在します。代表的な公的制度は、日本政策金融公庫(JFC)の再挑戦支援資金です。
再挑戦支援資金は、過去に事業の廃業経験がある方が新たに事業をはじめる際に利用でき、廃業理由がやむを得ないものであり負債が整理されていることが利用条件です。
審査に通過すれば、設備投資や運転資金を融資として受けられます。
そのほか、各都道府県の中小企業活性化協議会では、再チャレンジ支援として廃業の進め方や債務整理の相談を無料で行なっており、再起するために必要な専門家を紹介してくれます。
まとめ
会社の経営が立ち行かなくなり、事業を終える選択を迫られたとき、特別清算は有効な方法のひとつです。破産と比べて社会的な影響が小さく、関係者の協力が得られれば、比較的スムーズに進められる可能性があります。
ただし、一定の費用がかかるうえ、債権者の理解と同意が不可欠です。事前の資金準備や信頼関係の構築が、手続きを成功させるための大きなポイントとなります。
自社の状況を正しく把握し、適切な対応を選ぶためには、早い段階で専門家に相談することが重要です。専門家の意見を参考にしつつ冷静な判断をすることが、再出発への第一歩につながります。

京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。
千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。

