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経営破綻するとどうなる?原因や取るべき手続き、回避方法を解説 | 千代田中央法律事務所

経営破綻の新聞 法人破産

会社の経営が思わしくないと、経営破綻が頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。経営破綻は手詰まりの状態を指しますが、原因となるリスクを低減し、適切な手続きを取れば回避できる可能性があります。また、破綻前に再建や清算をすることで、被害を最小限に抑えられます。

この記事では、経営破綻の原因や周囲への影響、取るべき行動、回避方法などを解説します。経営状態に不安を抱えている方は、経営破綻を起こさないためにも、まずは経営破綻について理解を深めてみましょう。

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経営破綻とは

破綻の文字と道路

経営破綻とは、借金の返済や取引先への支払いが滞り、事業継続ができなくなった状態を指します。資金繰りが悪化したことで、直近の支払いすらままならない状況です。

ここでは、経営破綻と倒産・破産の違いを解説します。

倒産との違い

経営破綻と倒産は混同されがちですが、ビジネスにおいては「状態」を指すか「具体的な出来事」を指すかという点に違いがあります。

経営破綻は資金が枯渇して事業が行き詰まった状態を指す言葉です。一方、倒産はそこから銀行取引が停止したり、裁判所へ法的な手続きを申し立てたりする事実を意味します。

中小企業の現場では、手形や小切手が6ヶ月以内に2回不渡りとなり、銀行取引停止処分を受ける事態を「倒産」と呼ぶのが一般的です。危機が目前に迫っているなら、速やかに弁護士へ相談し、今後どのような選択肢を取るか考えましょう。

破産との違い

破産は、裁判所を通じてすべての負債を清算する法的手続きの名称です。経営破綻は事業の行き詰まり全般を指す言葉のため、根本的な定義が異なります。経営破綻が苦境の状態であるのに対し、破産はその苦境をリセットする解決策のひとつといえるでしょう。

たとえ債務超過であっても、手元に資金があれば直ちに破産する必要はありません。しかし、支払不能に陥った場合は、破産を検討すべき時期といえます。事業や債務のリセットを図る際は、経営破綻する前に破産手続きをすることも検討するとよいです。

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経営破綻に至る原因

頭を抱えるビジネスマン

会社が経営破綻に陥るのは、複数の要因が重なっているケースが一般的です。売上の減少や資金繰りの悪化のほか、経営戦略に問題がある場合も経営破綻に陥る可能性があります。

経営破綻に至る主な原因を解説します。

売上の減少

売上の減少は、破綻の直接的な要因になります。市場ニーズと自社サービスに乖離が見られ、収益を上げられなくなった状態は、経営破綻が近いといえます。

赤字が続くと社員の離職など、組織の活力も失われていきます。また、売上があっても利益が出ない不採算部門を抱え続けると、破綻を早めます。

手遅れになる前に事業の取捨選択をして、赤字の原因を切り離す決断が重要です。

資金繰りの悪化

帳簿上で黒字であっても、手元の現金が底をつけば会社は経営破綻します。入金よりも支払いが先行する状態であったり、借入金の返済負担が収益を圧迫したりするケースです。借入金月商倍率(借入金総額 ÷ 平均月商)が6ヶ月を超えてくると、返済が収益を圧迫し始め、10ヶ月を超えると自力での再建が困難になるケースが増えます。

この段階では、金融機関へ返済条件の変更を申し込めば、一時的に手元資金を確保できる可能性があります。無断での延滞は信用を失うため、避けたほうがよいです。

また、経営セーフティ共済に加入していれば、解約手当金の範囲内で一時貸付金を利用できる場合もあります。

経営戦略のミス

身の丈に合わない事業拡大や過剰な設備投資も、破綻の原因のひとつです。将来の利益を見込んで多額の借入をしても、計画通りに収益が上がらなければ、金利負担だけが重くのしかかります。不適切な投資判断は、債務超過を招く要因にもなります。

また、過去の成功体験に固執して変化を拒むことも戦略ミスといえます。戦略が現状に合っていないと感じるなら、専門家の意見を取り入れて経営計画を練り直す柔軟性が重要です。資金が尽きる前に、経営計画の見直しを進めましょう。

外部環境の変化

自社の努力だけではコントロールできない環境変化によって、破綻に追い込まれるケースもあります。たとえば、世界的な感染症の流行や原材料価格の急騰、主要取引先の連鎖倒産などです。大型倒産が発生した際には、連鎖を防ぐために信用保証協会が別枠で保証を行う「セーフティネット保証」などの救済策が用意されています。

環境が変わるのを待つだけでは状況は悪化します。取引先が倒産して売掛金がなくなってしまった場合は、内容証明郵便による相殺手続きを行いましょう。また、自治体の融資制度や共済制度を活用するのも有効です。

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経営破綻の前兆

前兆と書かれた紙

会社が経営破綻する前には、何らかのサインが現れます。これらを一時的なものと軽視すると、経営破綻を招きます。

自社にとって都合の悪い情報も確かめ、経営破綻が起こらないよう策を練ることが重要です。経営破綻の前兆について解説します。

支払いの遅延が続く

経営破綻のわかりやすい前兆として、本来支払うべきお金が期日通りに払えなくなることが挙げられます。会社を維持するための現金が循環していない場合、こうした遅延が相次ぎます。

以下のお金については、遅延がないかよく確かめておきましょう。

種類遅延した場合のリスク
手形・小切手2回不渡りで銀行取引停止(事実上の倒産)
従業員の給与主力社員の離職、労働基準監督署の介入
銀行への返済新規融資の停止、期限の利益の喪失
税金・社会保険財産の差し押さえ

とくに、税金や社会保険料の納付が遅れ始めたら、経営破綻が近づいていると考えてよいでしょう。

離職が相次ぐ

現場を支える主力社員の離職が相次ぐのも、経営破綻が起きる前兆のひとつです。経営の行き詰まりを察知した従業員が、生活を守るために退職を選択し始めている状態です。

不自然な退職の連鎖は組織の活力を奪い、再構築すらままならなくなる可能性もあります。人材流出が続いている場合、原因や経営状況、経営戦略を今一度見直してみてください。

財務が悪化する

財務の悪化は、経営破綻に直結します。たとえば、貸借対照表の負債が資産を上回る債務超過の状態や、借入金月商倍率が6ヶ月を超えるといった状態です。2期連続で赤字になっているといった場合は、要注意といえるでしょう。

表面的な売上があっても、実際には資金繰りが悪化しているケースも多く見られます。資産・負債のバランスが崩れている場合は、債務整理も含めて財務改善の計画を立てるとよいです。

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経営破綻による影響

下矢印と男性

会社が経営破綻すると、組織の消滅だけでなく、関連する多くの人々の生活や社会的信用にも影響が及びます。各ステークホルダーへのダメージを正しく予見し、混乱を最小限に抑える決断が重要です。

ここでは、経営破綻による各所への影響を詳しく解説します。

会社への影響

経営破綻した会社の多くは、法人としての活動を停止し、最終的に消滅します。築き上げたブランドや信用が失われ、事業継続のための決済手段も奪われてしまうのです。

一方、民事再生のような「再建型」を選んだ場合は、債務を大幅にカットしたうえで、裁判所の監督下で事業を存続させられる可能性もあります。ただし、倒産の事実は官報などで公表されるため、従来の取引条件を維持することは難しいでしょう。

経営者への影響

経営者個人への影響としては、会社の借金に対する連帯保証の履行を迫られることです。中小企業経営者の多くが個人資産を担保に入れており、会社の破綻と同時に自己破産を選択せざるを得ません。

しかし「経営者保証に関するガイドライン」を活用すれば、自宅や一定の生計費を手元に残せる可能性もあります。信用情報の金融事故登録(ブラックリスト)は避けられませんが、早期に再起を図るためにも、資金が尽きる前に決断することが大切です。

経営者保証に関するガイドラインについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

経営者保証ガイドラインをわかりやすく解説│活用シーンと、必要な3つの条件とは? | 千代田中央法律事務所

従業員への影響

経営破綻により、従業員は突然職を失い、給与や退職金の支払いが不透明になるなど、日常生活に大きな影響が及びます。

もし破産を選択する場合は即座に解雇通告をし「未払賃金立替払制度」などの救済制度を利用してもらうのが一般的です。制度の活用には離職票の発行や弁護士の協力が欠かせません。

制度の案内や情報提供などを適切に行い、従業員が生活に困らないよう支援する必要があります。

取引先への影響

取引先は、売掛金が回収不能になり、連鎖倒産の危機に直面する可能性があります。経営破綻し、破産手続きを取ったとしても、取引先が回収できる配当はごくわずかです。相殺により優先的に回収できる場合もありますが、そのケースは限られます。

また、この手続きはスピード感が重要です。取引先は、経営破綻を知ったときに内容証明郵便などで意思表示を行わなければなりません。

投資家への影響

投資家や株主は、出資した金額の価値が失われるリスクを負います。破産手続きにおいて株主への分配順位は低く、基本的に配当は受け取れません。

投資家はこのリスクを承諾していますが、粉飾決算などの不正があって経営破綻した場合は、損害賠償請求を受けるなど法的責任を問われる場合もあります。

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経営破綻時に取るべき手続き

指を立て説明する弁護士

経営破綻の危機に直面した際、事業を継続する「再建型」か、会社をたたむ「清算型」か、状況に合わせて取るべき手続きを選びます。資金が完全に枯渇すると選択の余地がなくなる可能性があるため、資金が尽きる前に決断しましょう。

ここでは、経営破綻時に企業が取るべき手続きを解説します。

手続き種類特徴
民事再生再建型借金を大幅に減額しながら、経営陣を維持できる
会社更生再建型裁判所が選任した管財人を通じて、組織の再編を行う
破産清算型会社を解散し、負債や資産を整理する
特別清算清算型破産よりも簡易的な手続きで清算を行う
私的整理清算型・再建型裁判所を通さずに債権者と協議し清算を行う

民事再生

民事再生は、裁判所の監督下で借金を減らし、事業を立て直す再建型手続きです。現経営陣が退陣せず指揮を執り続けられるため、ノウハウや人間関係を維持したまま再スタートができます。

一方、手元に十分な運転資金がない場合は、計画認可前に資金不足で倒産するリスクがあります。事業の将来性なども考慮したいなら、資金に余裕がある段階で検討すべき有力な選択肢となります。

会社更生

会社更生は、裁判所が選任した管財人が経営権を掌握し、組織を根本から作り直す再建手続きです。現経営陣は原則として退任するのが特徴です。

組織を再構成するという規模の大きさから大企業に向いており、中小企業の実務には適していません。また、多額の予納金や時間がかかるため、中小企業では民事再生や私的整理を優先して検討するのが現実的です。

破産

破産は、すべての資産を換金して債権者に配分し、法人を消滅させる手続きです。借金に追われることがなくなるため、安心して再スタートを切れるのが特徴です。

経営者が連帯保証人の場合、個人も同時に破産手続きを行うのが一般的です。しかし、破産してもすべての財産がなくなるわけではありません。99万円以下の現金など、生活再建のための「自由財産」は手元に残せます。事業継続が不可能なら、一度破産してリセットし、再度事業を立ち上げるなどの方法を検討するのが望ましいです。

法人破産についてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

法人破産の流れを丁寧に解説!必要書類や費用も紹介 | 千代田中央法律事務所

特別清算

特別清算とは、株式会社が解散した後、破産よりも簡易的なプロセスで清算をする手続きです。手続きをするには債権者の3分の2以上の同意が必要ですが、話し合いによる合意で進むため、破産よりもマイナスイメージを和らげられます。

親会社が子会社を整理する場合など、関係者が協力的なケースで有効です。ただし、反対する債権者が多いと頓挫し、破産へ移行することもあります。

特別清算の流れと費用は?メリット・デメリットをわかりやすく解説 | 千代田中央法律事務所

私的整理

私的整理とは、裁判所を通さず、金融機関と直接交渉して借金の返済猶予や免除を受ける手続きです。「中小企業活性化協議会」などの公的機関の支援を受けて進めるのが一般的で、倒産のイメージをできる限り和らげながら再生を図れます。

すべての金融機関の同意が必要という厳しさはありますが、仕入先への支払いを止めずに済むため、業務への影響を最小限に抑えられます。銀行との関係が良好であれば、優先的に検討すべき方法です。

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経営破綻を回避する方法

再建の積み木とビル、人形

経営破綻を回避するためには、最悪の事態を想定した備えと、現状を冷静に把握する視点が必要です。

ここでは、経営破綻を未然に回避する方法を5つ解説します。

  1. 資金繰りを見直す
  2. 取引先の状況や市場の変化を把握する
  3. 経営戦略を柔軟に見直す
  4. 借入は慎重に検討する
  5. 専門家の力を借りる

1. 資金繰りを見直す

まずは、資金繰りの見直しを徹底しましょう。入金と支払いのタイミングを管理し、手元の現金を1日でも長く持たせる対応を取ります。

資金繰りを見る際は、帳簿上の利益よりも「今いくら使えるか」を最優先しましょう。月の平均売上に対する借金の総額の倍率である「借入金月商倍率」が6ヶ月を超えると、要注意です。

また、固定費の削減も効果的です。支払いが困難な場合は無断で延滞せず、必ず事前に金融機関に相談して条件変更を行ってください。

2. 取引先の状況や市場の変化を把握する

主要な取引先の動向や市場の変化を把握しておけば、連鎖倒産を防げます。月々の売掛金の回収遅延や、業界全体の縮小をチェックする習慣をつけましょう。取引先に不安を感じるなら、与信管理を強化するのが望ましいです。

倒産情報を入手したら、すぐに相殺手続きを行い、自社の現金を死守しましょう。大型倒産の際は、セーフティネット保証などの公的支援も活用できます。

3. 経営戦略を柔軟に見直す

経営戦略を柔軟に見直すのも、経営破綻を防ぐ手段のひとつです。過去の成功体験に固執せず、不採算部門があるなら撤退し、強みを活かせる分野へ集中させる決断が求められます。

早期に経営改善計画を策定すれば、金融機関の支援も継続しやすくなります。戦略ミスを認めて修正することは、合理的な選択であり柔軟な経営ができている状態といえるでしょう。

4. 借入は慎重に検討する

資金不足を補うための新規借入は、条件や返済計画を慎重に検討しましょう。とくに高金利のノンバンク利用は、返済が負担になり破綻を早めるおそれがあります。資金調達が必要なら、経営セーフティ共済の貸付など、低リスクな公的制度の活用を優先してください。

また、借入を増やすだけでなく、民事再生や私的整理といった債務圧縮手続きも視野に入れるとよいです。必要な金額だけ借り入れるようにし、必要な資産を守るのが大切です。

5. 専門家の力を借りる

自力での再建が難しい場合は、弁護士や公認会計士に相談し、私的整理や法的整理の道を探るのが賢明です。第三者の客観的調査を受けることで、金融機関との交渉を有利に進められます。中小企業活性化協議会を活用すれば、計画策定費用の補助も受けられます。

ただし、相談のタイミングには注意が必要です。資金が尽きてからでは、弁護士費用や予納金が払えなくなります。少しでも不安に感じるのであれば、すぐに専門家へ相談するとよいでしょう。

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まとめ

天秤と書籍

経営破綻は、資金繰りの悪化や経営戦略のミスなど、いくつかの原因が絡み合って起きるものです。自社はもちろん、経営者自身や従業員、取引先、株主などさまざまなステークホルダーに影響を及ぼします。

経営破綻時は、必要に応じて会社の再建手続きや清算手続きをします。自力で再建するのが厳しい場合は、早急に弁護士に相談すれば、被害や負担を最小限に抑えられる可能性があります。

千代田中央法律事務所では、債務整理や破産に関する相談を受けつけています。初回無料のため、経営状況が厳しいと感じている経営者は、ぜひご相談を検討ください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。