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年金未納だと差し押さえ対象になる?条件や流れ、対処法を解説 | 千代田中央法律事務所

年金手帳と印鑑 自己破産

老後に年金を受け取るには、年金保険料を納めなければなりません。国民年金保険料には納付義務があり(主に国民年金第1号被保険者)、未納が続くと将来の年金や給付に影響します。

しかし、さまざまな事情により年金を未納にしている人もいるのが現状で、状況によっては自身の財産を差し押さえられる可能性もあります。財産差し押さえを回避するには、保険料納付と正しく向き合う必要があります。

この記事では、年金未納による差し押さえのリスクや、差し押さえが行なわれる流れ、回避する方法を解説します。

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年金未納で起こる可能性があること

年金手帳と電卓

国民年金保険料を未納のまま放置すると、将来の受給額減少だけでなく、万が一のときの保障が受けられなくなったり、財産が差し押さえされたりするリスクが生じます。

年金未納によって起きる可能性があること・リスクを解説します。

加入期間によっては年金を受け取れない

年金を受給するためには、受給資格期間として、保険料を納めた期間や免除された期間が原則10年以上必要です。受給資格期間が不足している場合、それまで保険料を納付していたとしても、老後の年金は支給されません。

経済的な事情で支払いが困難な場合は、未納のままにするのではなく、市区町村の窓口や年金事務所で「免除」や「納付猶予」の手続きを行うのが重要です。

免除や納付猶予の対象になれば、期間中は保険料を納めていなくても受給資格期間としてカウントされるため、将来年金を受け取る権利を確保できる可能性が高まります。

将来受け取れる老齢年金が少なくなる

受給資格期間の10年を満たしていても、未納期間がある場合、将来受け取る老齢基礎年金は減額されます。年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)納付してはじめて満額の金額を受け取れる仕組みです。未納の月がある場合は、その月数に応じて受給額が削減されていきます。 

未納のまま放置した期間は年金額に反映されません。しかし所定の全額免除期間は、将来の年金額に一定割合(目安:2分の1)が反映されます(制度や対象期間により取り扱いが異なる場合があります)。老後の生活費を確保するためにも、未納にするのではなく免除制度を利用するのが望ましいです。

障害年金・遺族年金が受けられない可能性がある

年金未納のリスクは、老後だけのものとは限りません。現役世代であっても支給対象になる障害年金や遺族年金が受けられない可能性があります。

障害年金は、事故や病気で障がい状態になった際に支給されます。遺族年金は、自身が亡くなったときに遺族が受け取れる年金です。これらの年金を受給するには、初診日や死亡日の前日において、直近1年間に未納がないこと、または全納付期間の3分の2以上で保険料を納付済みであることといった要件を満たす必要があります。

事故後などに未納分を支払っても要件を満たすことはできず、障害年金や遺族年金は一切受け取れません。

財産の差し押さえが行われる

国民年金を滞納し続けると、財産の差し押さえが執行される可能性が高いです。

日本年金機構は一定の所得がある滞納者を重点的な徴収対象としています。 督促をしてもなお未納の場合、最終催告状・督促状などを経て、納付がない場合には差し押さえに進むことがあります。

被保険者本人だけでなく、世帯主・配偶者が連帯納付義務者となる場合があり、その場合は連帯納付義務者の財産が差し押さえの対象となり得ます。

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年金未納による財産差し押さえの現状

家と差し押さえ

国民年金の未納による財産差し押さえは、現在も頻繁に行われている行政処分です。日本年金機構のデータによれば、執行件数は年間約3万件に達しています。 

一般的な借金回収とは異なり、公的な徴収機関には「自力執行権」が認められているため、裁判所の判決なしに財産の処分が可能です。 そのため、督促状の期限を過ぎると、事前の連絡なく銀行口座が凍結されたり、勤務先へ給与差し押さえの通知が送られたりします。

差し押さえの執行前であれば、年金事務所や弁護士に相談すれば、差し押さえを回避できる場合があります。督促が届く前に保険料を納める、督促が届いたらすぐに対応するなど、適切な対応が求められます。

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年金未納で財産差し押さえの対象になる条件

悩むビジネスマン

日本年金機構は、年度により見直しが行われますが、強制徴収を重点的に行う対象者の基準を定めています。具体的な条件は、以下の3つです。

  1. 控除後の所得額が300万円以上ある
  2. 7ヶ月以上未納の状態が続いている
  3. 繰り返しの督促に応じない

1. 控除後の所得額が300万円以上ある

日本年金機構は、支払い能力があるにもかかわらず納付していない層に対し、厳しい対応を取っています。具体的には「控除後の所得が300万円以上」ある滞納者が対象となります。 

手取りや額面年収ではなく、給与所得控除後の金額(所得金額)や、必要経費を引いた金額が対象です。年収500万円ほどの人は上記の基準に該当する可能性があるため、保険料を支払っていない場合は注意が必要です。

また、基準は今後も厳格になる可能性があるため、未納の際は早めに支払ってしまうほうがよいでしょう。

2. 7ヶ月以上未納の状態が続いている

所得基準に加え、未納期間も重要な判断材料となります。

現在の強制徴収の基準ラインは「未納月数7ヶ月以上」です。以前は13ヶ月以上でしたが、2018年度以降、7ヶ月へと短縮されました。この期間短縮は、滞納期間が長期化する前に強制力を伴う徴収を行い、未納の常態化を防ぐ狙いがあります。

とくに新しい納付書が届く時期は、日本年金機構としても徴収対象者が見えやすくなります。半年以上の未納がある場合は、早めに納めるようにしてください。

3. 繰り返しの督促に応じない

差し押さえの要因のひとつは、督促を無視し続けることです。日本年金機構が督促をする目的は保険料の回収です。もし納付者本人から連絡があり、納付意思や具体的な計画が示されれば、すぐに強制執行をする必要はなくなります。

しかし、電話に出なかったり特別催告状を無視したりするといった行為は「悪質な滞納者」とみなされる要因となります。まずは年金事務所に相談し、強制的な差し押さえ執行を回避するのが大切です。

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年金未納で差し押さえが行われるまでの流れ

国民年金未納通知書

年金未納に伴う強制徴収の手続きは、以下の4段階を経て進行します。

  1. 納付勧奨(納付督励)を受ける
  2. 催告・督促を受ける
  3. 差押予告通知書が届く
  4. 財産差し押さえが実行される

各ステップについて解説します。

1. 納付勧奨(納付督励)を受ける

保険料の未納が判明した際、まずは「納付勧奨」が行われます。納付勧奨は、電話やハガキにより自主的な納付を促すもので、強制的な措置をする前の段階で実施するものです。 

基本的には、この時点で納めていない保険料を納めましょう。もしくは、この時点で免除申請や納付猶予の手続きをすれば、差し押さえは早期に回避できます。

2. 催告・督促を受ける

納付勧奨に応じず未納が続くと「特別催告状」が届きます。催告状は緊急度に応じて封筒の色が以下の順で変わっていきます。

  • 赤(ピンク)

この特別催告状も無視を続けると「督促状」が送付されます。

督促状は、時効の更新とともに、日本年金機構に自力での執行権を与える法的効果を持つ書類です。加えて、督促状は指定期限までに納付がないと、その翌日から延滞金が加算されます。この段階に至ると、財産がいつ処分されてもおかしくない状態となります。

3. 差押予告通知書が届く

督促状の期限を過ぎても納付がない場合「差押予告通知書」が届きます。差押予告通知書は、財産調査が完了したことと、事実上強制執行が行われることを意味します。

 この書類が届いた時点で、日本年金機構はすでに金融機関への照会を終えており、預金口座や勤務先などの情報を把握しています。

差し押さえ予告が届いた場合、差し押さえが近いため、速やかに年金事務所へ連絡して相談することが重要です。書類が届いた直後に年金事務所へ電話して分割納付などの交渉を行えば、差し押さえ執行がストップする可能性があります。

4. 財産差し押さえが実行される

予告期間を過ぎると、事前の連絡なく差し押さえが実行されます。対象者の財産隠しを防ぐため、抜き打ちで行われるのが一般的です。 銀行口座の残高が引き落とされるほか、勤務先へ通知が送られ給与が天引きされるケースもあります。

また、職場に滞納の事実が知れ渡れば、社会的信用を失うリスクもあります。差し押さえ後の取り扱いは状況によりますが、解除には納付や分割納付の合意などが必要になる場合があるため、早めに年金事務所へ相談しましょう。

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年金未納による差し押さえの対象になる財産・ならない財産

通帳を持ち悩む男性

強制徴収には、法律上「没収されるもの」と「保護されるもの」の区分が存在します。差し押さえの対象になるものとならないものを解説します。

差し押さえの対象になる財産

差し押さえの対象となるのは、銀行の預貯金や会社の給与といった債権です。これらは不動産などと異なり、換金の手間がなく、確実に回収できるためです。 

このほか、取引先への売掛金や税金の還付金、生命保険の解約返戻金なども差し押さえ対象となります。世帯主や配偶者がいる場合は、連帯納付義務に基づき、対象の家族の財産もあわせて差し押さえられる可能性もある点に注意が必要です。

差し押さえの対象にならない財産

憲法や法律により、最低限の生活を維持するために必要な財産は保護され、差し押さえの対象からは外れます。 たとえば、衣服、家具、台所用具などの生活必需品や、実印、職業に必要な道具や設備などは差し押さえられません。

また、給与などの差し押さえ可能額は、国税徴収法に基づき計算されます。 生活に必要な一定額を除いた金額が差し押さえの対象となります。一般的な借金の差し押さえよりも厳しい条件になるケースがあるため注意が必要です。

このほか、差押禁止財産として保護される範囲があります。現金は保護の考え方がある一方、預金は「預金債権」として扱われるため、同じ感覚で考えるのは危険です。

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年金未納による差し押さえを回避する方法

説明する弁護士

差し押さえを回避するための対処法を3つ紹介します。

  1. 未納分を速やかに納付する
  2. 免除・納付猶予制度や分割納付の相談をする
  3. 借金が原因で納付が難しい場合は債務整理を検討する

年金の支払いが厳しい場合は、差し押さえを回避するために上記の方法を検討しましょう。

1. 未納分を速やかに納付する

資金に余裕がある場合、未納分を一括で納付するのが確実な解決策といえます。保険料が納付できれば未納の状態は解消され、差し押さえの必要がなくなります。

また、納付により延滞金の加算も終了します。もし納付書が見当たらない場合は、年金事務所へ連絡すれば再発行が可能です。

本来は期限までに納付すべき保険料ですが、生活費を削ってまで無理に支払うと生活が立ち行かなくなる可能性もあります。次項で紹介するように、事前に年金事務所に相談することも検討してみましょう。

2. 免除・納付猶予制度や分割納付の相談をする

支払いが困難な場合、催告や督促を無視せずに年金事務所へ相談するのが重要です。保険料の免除や猶予が承認されれば、その期間は未納扱いにならず、差し押さえ対象から外れます。 

また、将来受け取れる年金にも一部が反映されるため、受給額が一切なくなる心配もありません。

免除が認められない場合でも、支払う意思を示して分割納付の誓約をすれば、差し押さえの対象とならない可能性もあります。自ら連絡をして相談することで、強制的な差し押さえを回避しましょう。

3. 借金が原因で納付が難しい場合は債務整理を検討する

多重債務などが原因で年金保険料を支払えない場合、根本的な解決が必要です。年金事務所への相談と並行して、弁護士などの専門家に債務整理を相談しましょう。

税金や社会保険料は、債務整理をしても免責されません。しかし、借金の返済負担を減らすことで、これまで返済に充てていた資金を年金の支払いに回せます。家計の優先順位を整理し、生活全体を立て直すためのプランを作成しましょう。

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まとめ

胸に手を当てるビジネスマン

年金が未納の場合、差し押さえのリスクは十分考えられます。とくに、所得が300万円以上ある人や、未納期間が7ヶ月以上ある人は要注意です。債務などで支払いが難しい場合は、弁護士に相談して、今後の返済計画を決めていきましょう。

千代田中央法律事務所では、債務整理や任意整理といった借金に関する相談を受け付けています。初回は無料で相談できるため、借金の支払いが苦しく、ほかの支出がままならない人は、ぜひ利用してみてください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。