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社長死亡で会社は廃業?確認したいポイントや廃業手続きを解説 | 千代田中央法律事務所

苦悩するビジネスマン 清算・廃業

会社の社長が死亡した場合、今後会社をどうしていくのか考えなければなりません。経営が難しい場合や事業を継ぐ気がない場合は、廃業を検討することもあるでしょう。

会社の社長が死亡した際、廃業まではどのように進めていけばよいのでしょうか。

この記事では、会社の社長が死亡した際の廃業手続きや、廃業前に確かめたいポイント・注意点などを解説します。社長が亡くなり会社の今後の取り扱いを決めかねている人は、参考にしてください。

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会社の社長が死亡したら自動的に廃業になる?

屋上で落ち込むビジネスマン(疲労・失業)

会社の社長が亡くなった際、会社の取り扱いはどのようになるのでしょうか。廃業の判断や社長が保有していた株式の行方などについて解説します。

会社自体は引き続き存在する

社長が亡くなったからといって、会社が自動的に廃業になることはありません。法律上、会社と社長個人は完全に別の人格として扱われているからです。

社長の死亡により代表者は変わりますが、会社そのものは法人として存続します。

会社自体は引き続き存在するため、会社名義の不動産、設備、銀行預金などの資産も残ったままです。法人口座は凍結されず、経費や従業員の給与の支払いも継続してできます。

ただし、社長が亡くなった場合、2週間以内に新たな代表取締役を選任・登記する手続きが必要です。

この期間を過ぎると「登記懈怠」(とうきけたい)とみなされて過料の対象となる可能性があるため、早急に専門家に相談しましょう。

会社の株式は相続人に承継される

社長が所有していた会社の株式は、相続財産として相続人に承継されます。会社の株式は社長個人の財産であり、相続の対象となるのです。

相続人は株式を承継することで会社のオーナーとなり、議決権や配当請求権などを行使できるようになります。

株式の承継方法は、以下のように遺言書の有無によって大きく異なります。

  • 遺言書がある場合:その内容に従い、原則としてそのとおりに株式を承継する
  • 遺言書がない場合:法定相続分に応じて株式を承継する(相続人が配偶者と子ども2人であれば、配偶者1/2、子各1/4で株式を分け合う)

相続人は株式を承継した後、会社に対して「株主名簿の名義書換」を請求する必要があります。この手続きが完了するまで、新しい株主は法的に株主として認められず、株主総会での議決権行使などができません。

廃業判断は相続人が行う

会社を存続させるか廃業するかの最終判断は、株式を相続した相続人が行います。相続人は社長の株式を相続して新たに株主になり、会社の所有者として会社の将来を決定する権限を持つためです。

廃業するかどうかの判断は、株主総会の決議で決めます。決議をする際は、会社の財務状況や後継者の有無、事業の将来性など複数の要素を考慮しなければなりません。

後継者がいない、借入額が大きい場合は廃業や清算を検討し、従業員の雇用や会社のノウハウなどを守りたい場合は、事業承継・M&Aにより事業の継続を目指す方法があります。

会社の現状を正確に把握するためにも、相続人は専門家に会社の財産調査などを依頼しておくとよいでしょう。

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会社の社長の死亡後に廃業する前に確認すべきポイント

閉店を知らせる貼り紙をつかむ手

会社の社長が死亡した後に廃業する際は、事前に以下の4点を確かめておきましょう。

  1. 株式を相続する人は誰か
  2. 遺言書が用意されているか
  3. 会社の資産と負債はいくらか
  4. 清算手続きを誰がするか

廃業を決める際は、いくつかの事前準備が必要です。スムーズに手続きを進められるよう、ポイントをおさえておきましょう。

1. 株式を相続する人は誰か

社長死亡後の廃業判断をする前には、株式を相続する人物が誰なのか明確にしておく必要があります。株式を相続した方が会社の新たな所有者となり、廃業を含む会社の将来を決定する法的権限を持つことになるからです。

遺言書がない場合、株式は法定相続分に従って分割相続されるのが原則です。しかし、株式の所有者が複数人になると、会社の所有権を誰が持つのかが不明瞭になってしまいます。

そのため、遺産分割協議で「株式は後継者となる長男が相続し、他の相続人には預貯金や不動産などで代償する」といった合意の仕方が重要です。

また、会社解散の決議には議決権の2/3以上の賛成が必要となるため、意見が分かれると手続きが滞ってしまいます。今後会社をどのように取り扱うのか相続人で議論し、意見を一本化させましょう。

遺産分割で揉めないようにするには、弁護士などの専門家のサポートを受けることも検討するとよいです。

2. 遺言書が用意されているか

廃業判断の前に、故人の社長が遺言書を残しているかどうかを確認しましょう。遺言書の有無によって、株式の承継先や会社の今後に関する故人の意思が明確になるためです。

遺言書があれば原則その内容が優先され、遺産分割協議を経ずに株式の承継先が決まります。たとえば「会社株式は長男に相続させる」という遺言書があれば、長男が単独で株式を相続し、廃業の判断を主導できます。

また「会社は清算し、資産は家族で分配する」といった明確な指示が含まれていれば、廃業手続きをすぐに進められるでしょう。

遺言書の有効性や内容の解釈については、専門家である弁護士に確認するとよいです。

3. 会社の資産と負債はいくらか

廃業を検討する前に、会社の資産と負債の状況を把握しておきましょう。会社の財務状況によって、廃業手続きの方法が変わるためです。

重要なのは、会社の資産が負債に対していくらあるか把握することです。資産が負債に対して多い資産超過の会社であれば、通常清算により債務を弁済した後に、残余財産を株主(相続人)に分配できます。

一方、負債が資産より多い債務超過の会社では、債権者への弁済が完全にできず、特別清算や破産手続きが必要になる場合があります。

また、社長が連帯保証人となっていて借入金が多額にある場合、相続人は会社清算後も個人で債務を負わなければならず、相続放棄も視野に入れなければなりません。

会社の財務状況を正確に把握するためには、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の確認が大切です。金融機関からの借入状況と社長個人の連帯保証の有無、取引先との契約状況、資産の実勢価値なども調査しておきましょう。

弁護士などに調査を依頼して、適切な財産額を把握するようにしてください。

法人破産とはどういう手続き?費用相場やメリット・デメリット、スケジュールを解説 

4. 清算手続きを誰がするか

廃業を決定する際は、清算手続きを担当する「清算人」を誰にするか事前に決めておく必要があります。清算人は会社の解散決定後に資産の換価や債務の弁済、残余財産の分配といった一連の業務を行う人です。

清算人には、通常、元取締役や信頼できる相続人が就任するケースが多いです。ただし、複雑な債務関係がある場合は、弁護士や税理士などの専門家が選任されることもあります。

選任は株主総会の特別決議で行い、選任された清算人は選任後2週間以内に法務局に登記する義務があります。

清算人には、会社の業務と財務に精通し、かつ法的手続きを滞りなく進められる人を選びましょう。

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会社の社長の死亡後に廃業する際の注意点

メモ帳にチェックボックスとチェックマーク

会社の社長が死亡し廃業する際は、以下の3点に注意してください。

  1. 社長が連帯保証人の場合は相続人が債務を引き継ぐ
  2. 株式を継ぎたくない場合は相続放棄を検討する
  3. 従業員の解雇は丁寧に説明する

廃業すると、相続人や従業員など、さまざまな人に影響がおよびます。適切な手続きを取って、トラブルを防ぎましょう。

1. 社長が連帯保証人の場合は相続人が債務を引き継ぐ

社長が会社の借入金に対して連帯保証人になっていた場合、保証債務は相続財産として相続人に引き継がれます。

法人と社長個人は法的には別人格ですが、連帯保証の場合は会社の債務が個人にも影響をおよぼす仕組みになっています。

たとえば、会社に3,000万円の借入金があり、社長が連帯保証人になっており、相続人が配偶者と子ども2人であれば、保証債務は法定相続分に応じて以下のように分割されます。

  • 配偶者:1,500万円(1/2)
  • 子ども:750万円(各1/4)

会社が廃業して債務を完済できなかった場合でも、債務は消滅せず、相続人が返済を続けなければなりません。債務の金額によっては個人の自己破産も考えなければならないでしょう。

債務に悩まされる前に、会社の借入金や社長の連帯保証の有無を調査しておきましょう。

2. 株式を継ぎたくない場合は相続放棄を検討する

会社の株式を相続したくない場合や、連帯保証の債務から完全に解放されたい場合は、相続放棄を検討する必要があります。

相続放棄をするとすべての財産の相続権を放棄する必要があり、借金や連帯保証債務、株式だけでなく、預貯金や不動産も手放さなければなりません。

親族で相続人がいない場合は、相続財産管理人が選任され、会社の清算手続きが進められます。

相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。

期間が短く、会社の資産・負債を正確に把握する時間が足りない可能性もあるため、会社の相続を検討する際は早急に弁護士に相談しましょう。

3. 従業員の解雇は丁寧に説明する

会社を廃業する際は、従業員への解雇通知と説明を丁寧に行う必要があります。廃業すると事業を継続できないため、すべての従業員の雇用契約を終了しなければなりません。

法律上、労働者を解雇する場合は30日以上前に予告する必要があります。予告なしの場合は「解雇予告手当」として30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

廃業を決定したら、従業員を集めて説明会を開き、社長の逝去による経営継続の困難さや財務状況の悪化、後継者不在などの廃業理由を率直に伝えます。

同時に、解雇予告日や退職金の支払い時期、社会保険の手続き、離職票の発行など、従業員の今後の手続きについても適切に情報提供しましょう。

可能であれば、関連会社への再就職斡旋など、従業員の将来に対する支援策も示すとよいでしょう。

従業員の生活が大きく変わるため、解雇の説明は慎重に行う必要があります。法的リスクを管理するためにも、社会保険労務士に依頼して解雇手続きの法的要件を確認し、必要書類の作成や提出をサポートしてもらいましょう。

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会社の社長の死亡後に廃業したくない場合の対処法

株主総会での議決権行使

会社の社長が死亡した後、廃業したくない場合は、以下の手続きを取りましょう。

経営を引き継ぐ選択肢もあれば、法人格を維持したまま休止状態にする選択肢もあります。廃業以外の選択肢を積極的に検討したい人は、参考にしてみてください。

後継者を決め会社の経営を続ける

社長死亡後も会社を存続させたい場合、基本的には家族や社内から後継者を選定して経営を継続します。

親族や社内から後継者を選べば、会社の経営理念や社風、取引関係を維持しやすく、従業員の雇用も守れます。株式の承継と経営権の移転を同時に行えば、スムーズに事業承継が進められるでしょう。

できれば社長の生前から後継者の育成計画があるとよいですが、急逝の場合は暫定的なリーダーシップ体制を整え、徐々に正式な後継者への移行を進めていきましょう。

後継者を決定する際は、株主(相続人)間の合意形成が最重要です。株主総会または取締役会で正式に代表取締役を選任し、2週間以内に法務局へ変更登記を申請しましょう。

後継者に経営経験が少ない場合は、外部の経営コンサルタントや顧問税理士などの支援を受けながら、段階的に経営ノウハウを習得していくことが大切です。

第三者に会社を引き継ぐ

親族や社内から適切な後継者が見つからない場合でも、M&Aによって第三者に会社を引き継げば、廃業を回避できます。

M&Aは、後継者不在問題を解決しつつ会社の事業価値や従業員の雇用を守れるため、事業存続を検討する際の有効な選択肢です。

事業自体に競争力や将来性があるにもかかわらず、社長の急逝によって廃業を検討せざるを得ない状況では、戦略的なM&Aを検討してもよいでしょう。

M&Aの形態としては、株式譲渡、事業譲渡、合併など複数の選択肢があり、会社の状況や目的に応じて最適な手法を選べます。まずは会社の財務状況や事業の強み・弱みを客観的に分析し、企業価値を適切に評価しましょう。

必要に応じてM&A仲介会社や専門のコンサルタントに相談し、買い手候補の探索や交渉、契約締結までの専門的なサポートを受けるとよいです。

休眠会社にする

即座に廃業も事業承継もできない場合は、会社を休眠状態にすることを検討しましょう。休眠会社とは、法人格は維持したまま事業活動を停止している状態の会社のことです。

将来の事業再開や、よりよい承継先・売却先が見つかるまでの期間を設けるのに有効です。

会社を清算してしまうと法人格は消滅し、再起業するには新たな設立手続きをしなければなりません。休眠状態にしておけば、状況に応じて事業を再開できます。

休眠状態であっても、決算書の作成・保存、登記事項の変更、法人住民税の納付など、法人としての義務は継続するため、税理士や司法書士に定期的な管理を依頼しておくと安心です。

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会社の社長が死亡した後に廃業するための手続き

相談を受ける弁護士

会社の社長が死亡した後に廃業の手続きを取る際は、以下の手順で行います。

  1. 株主総会で会社の解散を決議する
  2. 法務局で解散・清算人の登記をする
  3. 財産目録と貸借対照表を作成する
  4. 官報公告を掲載して債権者に知らせる
  5. 清算手続きを進める
  6. 決算報告書を作成する
  7. 清算結了登記をする

複数のタスクを消化していく必要があるため、ひとつずつ丁寧に進めていきましょう。

1. 株主総会で会社の解散を決議する

はじめに会社解散の特別決議を行いましょう。会社法第471条に基づき、会社の解散は株主総会の特別決議事項となっています。

決議を通すには、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。社長が死亡した場合、株式は相続人に承継されるため、相続人が株主として解散の意思決定に参加します。

株主総会では、解散の決議に加えて、今後の清算手続きを担当する清算人も選任します。清算人は取締役や相続人が就任しますが、清算が複雑になる場合は弁護士などの専門家を選任することもあります。

株主総会の議事録には、解散の決議内容と清算人の選任について明確に記載し、出席した株主(相続人)全員が署名・押印するようにしてください。

2. 法務局で解散・清算人の登記をする

株主総会で解散を決議したら、2週間以内に法務局で解散と清算人選任の登記申請をしましょう。

会社法では、解散の決議があった日から2週間以内に解散と清算人選任の登記を行うよう義務付けています。登記をすれば、会社が解散状態になったことが公示され、取引先や債権者に対して廃業の事実が周知されます。

登記申請には、以下の書類が必要です。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 清算人の就任承諾書
  • 清算人の印鑑証明書
  • 会社の印鑑カード
  • 登録免許税納付用の収入印紙(3万円+9,000円)

など

登記申請は期限が短いため、株主総会の開催後すぐに司法書士に依頼するとよいでしょう。

依頼する際は、株主総会議事録や清算人予定者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)といった必要書類を準備しておくとスムーズに登記手続きが進みます。

登記を怠ると清算人に対して100万円以下の過料が科される可能性があるため、期限を守って登記を進めましょう。あわせて、税務署や都道府県税事務所などへの異動届出書の提出も忘れないようにしてください。

3. 財産目録と貸借対照表を作成する

選任された清算人は、会社の財産状況を調査して財産目録と貸借対照表を作成します。財産目録と貸借対照表は、会社の資産と負債の全体像を明確にし、債務超過の有無を判断する基礎資料です。

会社法の規定により、清算人には会社の財産状況を把握し、株主に報告する義務があります。

財産目録には、以下のような資産・負債を記載します。

  • 資産
  • 土地・建物などの不動産
  • 車両
  • 機械設備
  • 什器備品
  • 売掛金
  • 預金
  • 有価証券
  • 負債
  • 買掛金
  • 借入金
  • 未払税金
  • 未払社会保険料

財産目録と貸借対照表の作成は、税理士に依頼するとよいでしょう。資産の時価評価や簿外債務の洗い出しなど、専門的な知識が必要な作業が含まれるためです。

また、この段階で会社が債務超過だと判明した場合は、弁護士に相談して特別清算や破産手続きを検討しましょう。

債務超過であるにもかかわらず通常清算を進めると、債権者から損害賠償責任を問われるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

4. 官報公告を掲載して債権者に知らせる

清算人は、債権者に対して会社が解散したことを官報で公告し、一定の期間内に債権の申出を催告しなければなりません。公告と催告は債権者を保護する重要な手続きです。

見知っている債権者には個別に通知し、面識のない債権者にも公告で平等に情報を提供します。

官報公告の内容は、債権者に債権の申出も呼びかけるものです。債権の申出期間は、最低でも2ヶ月以上設ける必要があります。

官報公告と債権者への催告は、弁護士や司法書士に依頼して、法的要件を満たした適切な文言で作成してもらいましょう。

官報公告の費用は約4万円程度で、官報販売所を通じて申し込みます。官報公告を怠ると、後日債権者が現れて支払いを求められても拒否できなくなるリスクがあるため、必ず実施しましょう。

5. 清算手続きを進める

債権者への公告期間が経過したら、実際の清算業務として、会社の財産の換価や債権の回収、債務の弁済などを進めていきます。

清算とは、会社の全財産を現金化して債務を弁済し、残余財産があれば株主に分配する作業です。会社の事業活動は基本的に停止していますが、清算に必要な範囲内でなら、商品の販売や売掛金の回収などは継続できます。

清算手続きの具体的な作業は、以下のとおりです。

  • 売掛金の回収
  • 在庫商品の売却
  • 固定資産(不動産、車両、機械設備など)の売却
  • 買掛金や借入金の返済
  • 従業員の解雇と未払給与・退職金の支払い、
  • 賃貸物件の解約
  • 各種契約(リース、保険、電気・ガス・水道など)の解約手続き
  • 税金の納付

など

不動産の売却には不動産業者との契約や所有権移転登記が、借入金の返済には金融機関との交渉が必要になるなど、多岐にわたる業務が発生します。

清算業務を効率的に進めるには、清算計画表を作成し、期限や担当者を明確にしましょう。

また、弁護士・税理士・司法書士などの専門家と連携し、問題が発生したらすぐに対応できる体制を整えるのも重要です。

なお、債権者への弁済は公平に行い、特定の債権者だけを優遇する偏頗弁済(へんぱべんさい)は避けてください。

6. 決算報告書を作成する

すべての債務の弁済と財産の換価が完了したら、清算人は清算事務の経過と結果を記載した「決算報告書」を作成し、株主総会に提出して承認を得ます。決算報告書は清算業務が適切に完了したことを証明する重要な書類です。

これが承認されると、清算手続きの最終段階である清算結了登記に進みます。

決算報告書には、清算期間中の収入と支出の明細、債権回収状況、債務弁済状況、残余財産の分配状況などが記載されます。作成は税理士に依頼し、正確な内容のものを作成してもらうとよいです。

株主総会での承認を得る際には、すべての清算業務が完了していることを確認しておきましょう。また、株主から質問があった場合は明確に回答できるよう、資料を整理しておきましょう。

7. 清算結了登記をする

決算報告書が株主総会で承認されたら、その日から2週間以内に法務局で「清算結了」の登記申請を行い、廃業手続きを完了します。清算結了登記をもって、会社の法人格は完全に消滅し、登記簿も閉鎖されます。

清算結了登記の申請に必要な書類は、登記申請書、株主総会議事録(決算報告書の承認を記載)、決算報告書などです。登録免許税は収入印紙で2,000円かかります。

清算結了登記も、解散・清算人選任登記と同様に、司法書士に手続きを依頼しましょう。登記を怠ると、会社は法的に存続したままとなり、納税義務も継続となってしまいます。

完全に廃業するためには、必ず登記をしなければなりません。

清算結了登記が完了したら、税務署や都道府県税事務所などに清算確定申告を行い、税務上の手続きも完了させましょう。これをもって会社の廃業手続きは終了です。

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まとめ

笑顔のビジネスウーマン

会社の社長が死亡しても、会社は残ったままです。廃業するにはいくつかのプロセスを踏んで、適切に処理を進めていく必要があります。

また、廃業するのであれば会社の資産・負債や清算人、従業員への対応など、気をつけるべきポイントが複数あります。もし廃業手続きをするなら、要点をおさえてトラブルなく適切に作業を進めていくようにしましょう。

千代田中央法律事務所では、過去のノウハウを活かしながら会社の廃業手続きや法人破産手続きを丁寧に進めていきます。無料で相談も受け付けているので、会社の社長が亡くなって困っている人は、一度相談してみてください。

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京都大学経済学部卒業、同大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。

千代田中央法律事務所を開設し、スタートアップの資本政策・資金調達支援、M&Aによるエグジット・成長戦略の専門職支援と法人破産手続き、事業再生手続きによる再生案件を取り扱う。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)では国際化支援アドバイザーとしても活動経験あり。